FOMCの結果 来年の利下げを頭ごなしに否定せず、自然体で考える余裕がFRBに生まれている

連邦公開市場委員会

7月26日(水)、二日間に渡って開催されていた米国の政策金利を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会し、連邦準備制度理事会(FRB)はフェデラルファンズ・レートを0.25%引き上げ、5.25~5.50%にすると発表しました。

FRBは過去1年半に10回連続利上げした後、前回のFOMCでは利上げを見送り、今回再び11回目の利上げをしたことになります。これは見方を変えれば毎回のFOMCでの利上げ幅を実質的に0.125%へ減速したのと同じ効果があります。これはインフレ対策としての利上げが、いよいよ最終段階に入ってきたことを感じさせます。

焦点はコア・インフレに

すでに米国の消費者物価指数は6月のデータでは前年同月比+3.0%まで下がってきており、あとはコア・インフレ(=現在+4.8%)をどう下げてくるか? にかかっています。

コア・インフレを下げるためには賃金インフレに注目する必要があります。その点、求人数が少し減ってきている事、労働者の方から自発的に離職するケースが減ってきている事など、労働市場がかなりバランスを取り戻したことを感じさせます。FRBの仕事は、完成に近づいているのです。

高金利維持に関するニュアンスの変化

今日の記者会見でパウエル議長は「当分の間、政策金利は高いままで維持する」というこれまで繰り返してきたメッセージを引っ込め、2024年のある時点で、それが適当だと判断すれば利下げに転じることもありうるという柔軟な姿勢を打ち出しました。

FFレートは既に十分に引締め的

足下の政策金利は過去の長期でのニュートラル・レートに比べると、十分に引締め的な水準にあり、これを暫く維持すれば、それはじわじわ実体経済に効いてくるという手ごたえをFRBは感じています。

次のFOMCまで空白がある

次のFOMCは9月20日で、約二か月先です。それまでに雇用統計の発表が2回、消費者物価指数の発表が2回あります。つまり数字をじっくり見極めることが出来るのです。

FRBが「政策金利をどうするかは、データ次第」という風に述べる理由は、FRBの仕事が完成に近づいていることに加えて、次のミーティングまで空白期間が長いことも関係しています。

銀行不安はおさまった

3月の銀行不安は、その後の預金や融資の動向を見る限り、かなり落ち着いてきた観があり、金利政策を決めるにあたって、先ず銀行に配慮するという態度は、もう必要なくなりました。

従って今後は経済全体の流れの中での一要素として銀行の活動を観察することで十分という判断をFRBは下しています。

まとめ

今回のFOMCはFRBがうまくインフレの抑え込みに成功しつつあることへの自信が現れており、「当分の間、政策金利は高いままで維持する」という頑なな態度が消え、2024年のある時点で、利下げに転じることもありうるという柔軟な姿勢が打ち出されました。これはマーケットにとって良い材料だと思います。