英ポンド円-2024年相場予想と戦略-

英中銀の利下げ期待も、円買いは限定的

※本記事は2023年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。

【2023年の英ポンド円相場を振り返って】

 2023年の英ポンド円相場は、2022年からの上昇を継続しました。

 年初は、前年の財務省の円買い介入の影響に加えて、黒田日銀総裁の任期満了の絡めた日銀総裁人事の思惑で1月3日に年間安値となる155.35を付けた後、スイス銀行の破綻に伴う混乱や米地銀2行の破綻などがリスク回避の動きにつながりました。しかし、英中銀の利上げ姿勢が続いたこと、また、植田氏が新総裁就任後の最初の会合において、市場の期待を裏切る形で、強く金融緩和政策を維持するスタンスを表明したことから、じり高が続きました。

 一旦夏場にかけては、日銀が7月の会合において、投機筋の日本国債売りのパワーに負けて、YCCの上限を撤廃したこと、英中銀が9月に利上げを停止したことなどから、186.77が上値を抑えて上げ渋る形となりました。しかし、9月のFOMCにおいて、2024年のFF金利見通しが、6月時点の4.6%から5.1%に一気にサプライズ的に0.50%引き上げたことから、米10年物国債利回りが、5.0%に迫る強い上昇を示現したことで、ドル円相場が、2022年の高値151.95に迫る151.91のまで再上昇し、英ポンド円相場も、188.67の年間高値をつけました。

 ただ、これも植田日銀総裁が、国会において「年末から来年にかけて、よりチャレンジングになる」との発言し再び早期の金融政策変更の思惑が高まったこと、今年最後のFOMCでは、政策金利が据え置かれ、加えて2024年のFF金利見通しが、再び6月時点の4.6%に引き下げられたことがサプライズなり、12月14日に、ドル円相場が140.97まで急落したことで、英ポンド円178.33まで急落しました。現状はこの位置を維持して、年末の取引を終了しようとしています。

【2024年の主な材料】

 以下が現在、知り得る2024年のイベントや材料です。注目度の高いものは赤字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更される可能性があることは、ご了承ください。 

 リポートの作成時点では、情報量が少ないのは残念ですが、2024年は、米国の大統領選挙が、大きな波乱要因となるのか注目となりそうです。

 米大統領選に関しては、トランプ元大統領の再立候補が話題となっています。ただ、前回の大統領選挙に絡めた自身の疑惑に関連して、多くの告訴を抱えています。また米憲法修正第14条によって、一部の州で「大統領選出馬の権利がない」との判決も出ています。裁判自体は長期に渡ることで、大統領選まで時間稼ぎが可能でしょうが、もし、こういった裁判で、次々に有罪が確定した場合、7月の共和党の全国大会に向けて、予備選を勝ち抜けるかは不透明感が残りそうです。また、そうでなくても、もしトランプ大統領が再び大統領に返り咲くなら、バイデン政権の政策を全て「ちゃぶ台返し」する可能性が高く、その場合恐らく世界の政治や経済、金融市場に大きな混乱を招く可能性高いことは、留意しておきたいと思います。

 一方バイデン大統領も次男のハンター・バイデン氏の問題で、共和党が同大統領の弾劾裁判に向けて動いています。また、高齢であることもあって、健康問題も懸念として残りそうです。つまり、夏の全国大会に向けて、両氏が候補者としての立場を維持出来るのかは、現状は全くの不確実です。その場合、次の候補者次第となるでしょうが、現状米国の大統領選の結果を占うことは非常に難しく、特に金融市場においては、この問題に関して、2024年を通して、常に経過を確認しておくことは重要となりそうです。

 また、台湾総統選、ロシア大統領選、9月の岸田首相の任期などの政治的日程が、予定されていますが、台湾の総統選で与党が勝利しても、中国が軍事行動に出る可能性は低く、プーチン大統領の再選は揺ぎ無く、為替・金融市場に大きな影響を与えることはなさそうです。ただ、直近米国の支援が止まる可能性が指摘されているウクライナ情勢では、今年も混戦が続く可能性が高いと思われますが、もし何かの政治的な動きが出て、停戦や終戦に向かう兆しが見えた場合、過去2年のエネルギーや商品市況に、大きな巻き戻しの動きが出るかもしれません。その場合、ユーロ相場や英ポンドドル相場に大きな動きが出る可能性があることは注意しておきましょう。

 一方金融市場では、5月にスタートするNY株式の決済の短縮化が、相場の波乱要因となるとの指摘が出ています。現状2営業日後に決済する売買代金を、翌営業日に決済を前倒しするというものですが、世界的な市場では、まだ2営業日後の決済が主流です。為替市場も、2営業日後に決済されますが、株式の取引に伴う為替ヘッジのリスクと絡めて、機関投資家やファンドなどの対応が遅れているようです。一部でこの変更によって、流動性のリスクも指摘されており、金融市場に混乱が生まれる可能性に注意しておきましょう。

 その他、今年も大きな地震や自然災害、ガザの問題などいろいろ自然・地政学リスクが、市場の混乱につながっています。2024年も温暖化の影響など、何が起きるのかわかりません。こういった事象は突発的に起こることで、準備することはできませんが、常に、こういったリスクも念頭に入れて、相場に臨む姿勢を維持しておいた方が得策もしれません。

【2024年の注目点】

 2023年の相場環境を踏まえて、2024年の英ポンド円相場の注目点をまとめてみました。

  • 英中銀の利下げは?
  • 日本の政策転換が遂に実現するのか?
  • 金利差連動
  • 需給面の下支え

〇 英中銀の利下げは?

 英中銀は、2021年12月にそれまでの歴史的な低金利政策を解除しました。ウクライナ情勢に端を発したインフレの急騰から、政策金利を2023年9月の5.25%まで引き上げ、現状は、インフレの落ち着きや急速な利上げの影響で、落ち込みが見えた英経済に対する懸念から政策金利の当面の据え置きを表明しています。

 ただ、12月最後のMPCの議事録では、「委員会は金融政策を長期間にわたって制限的にする必要がある可能性が高いと引き続き判断している」、「より持続的なインフレ圧力の証拠があれば、金融政策のさらなる引き締めが必要となるだろう」としており、実際委員の投票でも、未だ6対3で利上げを支持するメンバーいて、警戒感を残しています。

 一方市場では、英消費者物価の低下傾向もあって、既に2024年3月にも利下げに踏み切るとの思惑が高まっています。

 ただ、以下の英製造業・非製造業PMIの動向をチェックしておきましょう。 

 パンデミックからの回復も、ロシアのウクライナ侵攻後のインフレの悪化を受けて、再び景気の分水嶺となる「50」のラインを割り込みました。ただ、直近では立ち直りも見えています。

 これを見る限り英経済には、一定の改善期待が見えていて、確かに直近の急激な利上げの効果もあって、将来的にインフレが落ち着けば、利下げの可能性は十分あるでしょう。ただ、あまりにも早期の利下げ期待は、時期尚早感が強いようです。市場の思惑通りの期待感で、英ポンド相場を売り込むのは避けておきたいところです。

 以下は2024年の英中銀金融政策委員会の予定です。議事録は同時に公開されま す。英中銀の政策を見る上で、インフレ・リポートも重要ではありますが、毎回の議事録で発表される9名の総裁・副総裁及び委員の投票の結果もしっかりとチェックしながら、今後の英中銀の金融政策の行方を判断するのが良いでしょう。

英中銀金融政策委員会(同時に議事録公表)

02月01日+四半期インフレ・リポート公表

03月21日

05月09日+四半期インフレ・リポート公表

06月20日

08月01日+四半期インフレ・リポート公表

09月19日

11月07日+四半期インフレ・リポート公表

12月19日

〇 日銀の政策転換が遂に実現するのか?

 2023年は、日本の30年にわたるデフレ経済から脱却したことで、日銀の金融政策の転換が、大きなマーケットの材料となりましたが、実際新たに就任した植田総裁は、YCCの上限撤廃などの一部変更を実施するも、結局2023年度中、本格的な政策変更に踏み切ることはありませんでした。

 一時植田総裁の発言に、期待感を持つ動きもありましたが、今年の最後の会合では、「我が国の景気は緩やかに回復している」としながらも、「経済・物価を巡る不確実性は極めて高い」、「粘り強く金融緩和を継続していく」として、「賃金から物価への波及、サービス価格への動向を見たい」と今後も慎重姿勢を続けそうです。

 ただ、実際の物価の動きを見る限りは、特に円安の影響が強く、日本がコストプッシュ・インフレに晒されていることは明らかな事実です。2024年もこの円安が続けば、引き続き物価が高止まりすることは間違いないでしょう。

 ではなぜ日銀は、政策を動かせないか?

 日銀や人々がデフレ慣れしていることも、大きな要因の一つですが、加えて、これは憶測ですが、植田総裁の過去の発言からは、「拙速な引き締めで物価目標が達成できないリスクの方が大きい」としています。過去自身が速水元日銀総裁時代に、審議委員を務めていた時期、速水日銀の利上げが、景気の腰折れにつながったことへの悪いイメージが残っていて、現状の日本経済においても、自身の政策転換が、再び景気の腰折れにつながることを恐れているのではないかと疑ってしまいます。通常金融政策は、「フォワード・ルッキング=将来の見通し」によって政策運営されますが、来年の春闘で、順当に賃上げが実施されるのを確認するまで、政策変更はないのではないでしょうか。

 そうなると政策が変更されるのは、早くても来年の4月会合以降であり、その場合も「マイナス金利の解除」、「YCC政策の撤廃」が限界で、その後も、長くデフレにつかり切った日本経済が、政府の減税策を受けても、強い上昇圧力をみせる可能性は低く、年内の「利上げ」に踏み切る可能性は低そうです。

 それでは、日本の長期金利動向も見ておきましょう。

 10年物国債の利回りは、3回のYCC政策の上限の変更で、一時1.0%に迫るレベルまで上昇しましたが、テクニカル的にははっきりと上ヒゲを出しています。下段のスロー・ストキャスティクスも、既に上昇し過ぎ(売られ過ぎ)の位置にあって、来年もこの1%を超えることはなそうです。一方下方では、流石に0.55%のそれ以前の高い位置は逆サポートされそうです。来年の日本国債の利回りとしても、0.55%から1.00%での推移が限界となりそうです。

 ただ、2024年も、長らく市場から全く注目を集めなかった日銀金融政策が、大きな注目となりそうです。以下は2024年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。しっかりと押さえておきましょう。

日銀金融政策決定会合(議事録公表日)

01月23日+展望リポート公表(03月25日)

03月19日

04月26日+展望リポート公表(06月19日)

06月14日(08月05日)

07月31日+展望リポート公表

09月20日

10月31日+展望リポート公表

12月19日

〇 金利差連動

 また、日本と英国の金利差が、英ポンド円相場にどういった影響を見せるか、下記の日英10年物国債利回りとユーロ円相場の2006年から動きを見ておきましょう。

 一部連動性の低い時期もありますが、総じて連動性が高い形が見えると思います。ただ、現在は再び連動性が低下しているようです。この要因は、断定はできませんが、英中銀が、9月の会合で、中銀が保有する英国債の保有残高の縮小ペースを、過去1年間の800億英ポンドから1000億英ポンドに加速させる決定をしたことが、大きな要因となっているようです。

 2024年は、一応日銀が金融政策の正常化に入り、英中銀の利下げが現実化してくると、再び金利差の縮小が、英ポンド円相場に影響してくる可能性もありそうです。現状が金利差を離れて、大幅に英ポンドが対円で買われているだけに、逆に金利差の縮小によって、再び英ポンド円相場が金利差に連動するなら、相場の上値を抑える可能性に注目しましょう。

〇 需給面での支え

 日本の貿易収支は、過去長らく黒字を維持していましたが、2011年には、東北大震災の影響もあって赤字に転落しました。その後2016年に回復も見えていましたが、新型コロナウィルスの蔓延を受けたワクチンの購入や訪日外国人観光客の激減し、更にロシアのウクライナ侵攻を受けた資源・商品価格がの上昇しました。、加えて、大幅な円安の悪影響もあって、2021年以降再び、大きく赤字幅が拡大しています。

 一応2022年10月以降は、資源・商品価格の落ち着き、円安によるJカーブ効果などもあって、一定の改善が示されていますが、これが2024年に黒字転換できるか保証はありません。

 貿易赤字の要因としては、様々な要因があって、一言で示すことはできませんが、訪日外国人はある程度回復しているものの、過去のような中国勢の爆買いが見えていないことに加えて、自動車産業を中心とした輸出の拡大も頭打ちとなっており、あまり期待するのは難しそうです。一方で日本では、再生エネルギーへの転換が遅れていること、電気自動車の普及も拡大せず、来年以降も高水準の原油・天然ガスなど石化エネルギーの輸入が続きそうです。また、岸田政権が打ち出した防衛費の拡大政策によって、毎年5兆円弱の海外調達が実施されることなどから、こういった面のドル需要は、来年も高水準を維持しそうです。

 以下は2009年10月からの通関ベースの貿易収支と円ドル相場(下方が円安)ですが、通関ベースの貿易収支が、赤字転換したタイミングで、しっかりと円安が進んでいる形が見えています。そうなるとこれが黒字に改善できれば、また円高の再来も期待できるのでしょうが、2013年から2021年の間、どうにか黒字を維持している時期でも、円ドルレートは、円高というより、円安傾向での揉み合いの動きに留まっています。国際収支との関連もあって、一概には言えませんが、貿易の代金決済は、直接的に為替市場に影響を与えることもあって、あくまでこの貿易収支が、過去のような大幅黒字にでもならないと、大幅な円高を期待するのは難しいでしょう。

【テクニカル面】

≪英ポンドドル≫

 テクニカル面からまず、英ポンド円を構成する英ポンドドル相場の月足をチェックしておきましょう。

 英ポンドドルは、英国が国民投票で、ブレグジットを決定した2016年から売りに押されるも下値を1.1378で支え1.4337まで反発、その後パンデミックの影響で、再度1.1412まで下落後この位置を支えて反発が、最高値2.1162からのレジスタンスを越えるも1.4251で再度抑えられて、ダブルトップを形成。一時1.0350の歴史的安値まで急落後は、現状は反発気味の推移となっています。

 若干不透明感が強いですが、2023年の相場は、1.1804の安値から1.13143まで反発後、1.2037が下値を支え、下段のスロー・ストキャスティクスも反転上昇が続いています。この位置をサポートとして維持出来ると堅調が想定されそうです。ただ、揉み合い気味の展開が続いていることを考えると上値は、最低でも1.3143の戻り高値から下落がスタートした1.3167を超えてくれないと強気は見えません。あくまで超える動きがあって、1.4251-1.4377のダブルトップを目指す期待感となりますが、そういった強い上昇は不透明で、フィボナッチ・リトレースメント(1.7188の高値から1.0350まで下落)50%となる1.3769などが上値を抑える可能性もありそうです。

 一方下値は、1.2037が維持出来ると強いですが、現状のレジスタンスとなる1.28-1.29が上値を押さえ、1.2037を割れると、1.1804の安値を再度目指す可能性があります。こういった位置が維持できると、更に突っ込み売りは出来ませんが、これも維持出来ない場合、1.1647-1.1779、1.1334を割れると1.1150、1.0953、1.0850,1.0538などもターゲットとなりますが、流石に歴史的な安値を前に、こういった位置は支えられる見通しです。

  従って2024年の英ポンドドルの想定レンジを1.1800~1.3800とします。

≪ドル円≫

 テクニカル面からは、1989年からの長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。

 ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、151.95まで急反発しました。

 特にこのチャートで注目して頂きたいのは、チャート形状から「E」の75.31をボトムとしたリバースH&Sを形成していることです。また現状は、このショルダー部分のネックラインとなる「D」と「F」をクリアして、151.95の上ヒゲで、アーム部分「G」の形成を完了しています。

 これを前提とすると、チャート形状の観点からは、75.31の安値を基準に、ロールシャッハ・テストのように、左右対称の動きをすることが、2023年の相場では、期待されていました。もし、その通りであれば、再び「J」の動きを「K」で繰り返し、「B」と同様に「I」の位置まで相場が下落して、その後再び「A」の160.35方向を目指し「I」を完了するというが想定です。

 ただ、2023年の相場は、「D」と「F」のネックラインを割れることはなく、再度高値を目指す動きに留まりました。つまり、前述の前提が崩れているわけですから、理想的なリバースH&Sは、実現しなかったという事です。

 そうなると次の見方は、あくまで昨年のレンジである127.23と151.95をどちらが先にブレイクするかで方向感が決まると考えざるを得ません。もし、2024年の相場が、151.95を越えて行くなら160.35の高値を目指す動きとなり、一方127.23を割れて、更にネックラインとなる「D」と「F」を割れるなら、「H」方向への調整リスクとなります。ただ、ファンダメンタルズ面を考えると、2024年に、そこまでの円高が再燃するリスクは、想定することは難しく、「D」と「F」のネックラインさえ維持されるかもしれません。あくまでこういった位置を割れて、120円程度までの下落が目途となりそうです。

 以上を勘案して、ドル円の2024年の想定レンジを130.00から150.00とします。

≪英ポンド円≫

 それでは、最後に英ポンド円の月足を見てみましょう。118.85や116.85の安値から195.89まで上昇も、これをトップに再度124.85や124.10で下値を支えて、上昇が188.67まで拡大しています。この位置は月足のレジスタンスや戻り高値となる195.89を前に不透明で、上げ止まりを100%確認することはできません。また波動的な展開も不透明で、下段のスロー・ストキャスティクスも買われ過ぎにあるも、未だ調整が見えず、この高値圏を目指す動きが残っていることは、留意しておきましょう。

 一方下値ですが、それ以前の高値圏からは172.13やサイコロジカルな170円が維持すると強く、割れてもサポートからは、160円ミドル、156.62-163.09の過去の戻り高値はサポーティヴな位置となりそうです。このリスクは155.45の戻り安値や148.86の戻り安値割れで、その場合は140円までのリスクとなりそうです。

≪マトリックス・チャート≫

 次に英ポンドドルとドル円の想定レンジから作成したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)を見てみましょう。

 英ポンドドルの想定レンジを1.1800~1.3800、ドル円を130.00~150.00としましたので、これから算出された英ポンド円相場の最大想定レンジは153.40から207.00となります。ただ、少し広すぎることもあって、164.82から194.18を適当水準とします。

【予想レンジと戦略】

 以上を踏まえて英ポンド円相場の来年の見通しと戦略についてお話します。

 来年の英ポンド円の想定レンジを、170.00から190.00とします。

 基本的な考え方は、

  • ファンダメンタルズ面では、日英金利差は、今後あまり大きく縮小することはなさそうです。この点では英ポンド円は買いが推奨されますが、現状が既にこの金利差を大幅に離れていることで、金利差に連動する形で、英ポンド円が一定の調整を迎える可能性には、留意しておきましょう。
  • テクニカル面では、英ポンドドルのモメンタムは買い、ドル円は現状まだ買いを維持していますが、今後買われ過ぎから売りに展開する可能性が高そうです。その面でも、英ポンド円相場の上値は追わず、あくまでしっかりと押し目を待って、買いを検討するのが得策と考えます。

 従って、まず、英ポンド円相場は、上値が現状の高値が押さえるなら、まずは戻り売りから入る形となります。売りの目途は186-188円ゾーンです。ストップは現在の高値188.67越えで、超えても195.89などをストップに売り直し場を探る形です。下値は、現状の安値178.00が維持されると利食い優先となりますが、176.29の下ヒゲも割れると、170円方向への調整で買い戻し場を探しましょう。また、こういった位置は買い場を探す形が想定されますが、できれば165円ミドル、160円と買い下がりの余裕を持つのが良いかもしれません。この買いのストップは、155.35や148.70割れ、更に148.98などを割れると調整が深まることは注意しましょう。また、こういった下落が示現した場合、買いのターゲットは、低くなるでしょう。恐らく176.29-178.00のそれ以前が上値抵抗となる可能性が高く、利食いを優先するのが無難となりそうです。 

 また、タイミング的な注意点は以下となります。こういった面も勘案しながら、戦略を立てて頂ければと存じます。(詳細は、ドル相場の2024年見通しの「ドル円の季節性」を参照ください)

  1. 1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと。
  2. 株価面では、アノマリーから5月の「セルインメイ」、米国の大統領選挙を睨んで、年央にNY株が調整入りし易く、地政学リスクなどリスク回避の動きに注意しましょう。
  3. 一方ドル円でも、例年アノマリー的に、8月中旬に瞬間的な円高が示現することが多いことは注意ですが、逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも、覚えておいてください。
  4. 9月のレイバーデー明けからは、年末に向けて方向性が出易い時期です。この時期に一定の動きが見えた場合、逆張りで向かわないようにしましょう。

※文章中に使用されている、高値・安値等の価格につきましては、筆者が作成に利用したデータ元の価格であり、インヴァスト証券がトライオートFXにて提示した過去の価格とは異なります。