スイスフラン円-2025年相場見通しと戦略-

スイス中銀と日銀の金融政策やウクライナ情勢を睨んで

※本記事は2024年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。

2024年のスイスフラン円相場を振り返って】

2024年のスイスフラン円相場は地政学リスクやドル円の堅調な動きがあって、乱高下しながらも堅調な展開を維持しました。

年初は、166.80を安値にスタート。新NISA制度スタートによる株価の上昇期待からドル円は堅調な展開を続けました。日経平均株価は、バブル期の最高値38915円を超えて4月19日には、41087円の高値を示現しました。ただ、スイス中銀がインフレの落ち着きを受けて、早々と金融緩和を開始。日銀も3月の日銀金融政策決定会合で政策金利を0.10%引き上げ、マイナス金利から脱出。量的緩和策の解除の方針を示したことで、スイスフラン円は166.58まで直近安値を更新しました。ただ、日銀自体は、利上げを急がない姿勢を強調したことで、4月29日にドル円が160.17の高値、スイスフラン円も175.08の高値まで上昇しました。

ただ、ゴールデン・ウィークを前に、円安に懸念を強める財務省が、4月29日と5月1日の2日間で、9兆8千億円相当の強力な円買い介入を実施したこともあって、5月3日にはドル円が151.86まで下落、スイスフラン円も一時168.04まで下落しました。しかしながら、このレベルでは本邦輸入勢や投機筋からの値ごろ感も強く、スイス中銀が利下げ姿勢を継続するも、米財務省が半期為替報告書で日本を再び「監視国」に認定したことで、市場介入に踏み切り難くなるとの見方強まりました。

6月のFOMCでは政策金利が据え置かれるも、FOMCメンバーのFF金利見通しが、前回の年内2回利下げ見通しから1回に後退。ドル円相場が7月3日には直近高値を超えて161.95まで高値を更新。スイスフラン円も2024年の高値となる180.07まで値を上げました。ただこれも円安に懸念を示す神田財務官が、自身の退任を控えた7月11-12日に再び5兆5千億円規模の円買い介入に踏み切ったこと。7月31日の日銀金融政策決定会合での利上げ思惑の高まり。米7月雇用統計が弱い結果となり米国の景気後退懸念が高まったこと。日経平均株価が過去最大の下げ幅となる前日比で4753円の下落となったことなどから、リスク・オフの動きが強まり、8月5日にドル円は141.70、スイスフラン円は166.83まで売り込まれる展開となりました。

ただし、株価の急落で日銀に対して批判が高まったことで、内田眞一日銀副総裁が、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要」、「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言したことが安心感を誘い、日経平均株価が大きく反発、スイスフラン円も172.82まで反発しましたが、米労務省が、2024年3月末までの一年間の非農業部門雇用者数の数値を大幅に下方修正、FOMCでの更なる利下げの思惑が高まったことで、9月16日には、ドル円が139.58、スイスフラン円は165.30と2024年の最安値まで下落しました。実際9月18日のFOMCでは、想定外の0.50%の利下げが実施され、ドット・チャートでは、年内にあと2回の利下げが想定されました。

その後は年末に向けて再び本邦実需筋の円売りニーズに加えて、イスラエルがガザやパレスチナに侵攻、イランへのミサイル攻撃、米大統領選前に米が供与したミサイルでウクライナがロシア本土を攻撃、これを受けてロシアが核利用規定を改定したことなどから地政学リスクへの懸念が高まったこと。米国の大統領選挙でトランプ氏が大差をつけて勝利。米上下院も共和党が過半数を上回り「トリプル・レッド」が実現し、「トランプ・トレード」が強まったことから、11月15日にドル円が156.75の戻り高値をつけ、スイスフラン円が177.29まで反発も、シュレーゲル・スイス国立銀行総裁がマイナス金利の復活の可能性に言及したことで、現状(12月13日時点)では、12月のFOMCや日銀金融政策決定会合を控えて、若干軟調な揉み合い気味の展開となっています。

2025年の主な材料】

以下が現在、知り得る2025年のイベントや材料です。注目度の高いものは太字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので、変更されることがあります。

 リポートの作成時点では、情報量が少ないのは残念ですが、やはり年初から大注目となるのは、1月20日からスタートするトランプ次期政権です。トランプ氏は、既に追加関税など多くの発言をしていますが、就任当日から多くの「大統領令」に署名する見通しです。その内容次第では、市場を大きく混乱させることは間違いなさそうです。トランプ氏の政策に関しては後述しますが、2025年の相場を考える上で、特に注意を払っておく必要があるでしょう。

 また、2024年は「選挙の年」でしたが、2025年にはあまり大きな選挙はありません。ただ、ショルツ独首相の連立政権が崩れたことで、2月には独連邦議会選挙が、前倒しで実施されます。2024年世界各国で与党勢力がことごとく選挙で敗退しています。この潮流は止まりそうもありません。保守派与党のキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)が大敗するようなら、大きな混乱を招きそうです。その場合ユーロ相場の圧迫要因となることは留意しておきましょう。 

 一方日本では、7月に参議院選挙と東京都議会選挙が行われます。都議会選挙の影響は直接的にはありませんが、昨年の解散衆議院選挙では、裏金問題などから自民・公明両党が過半数を割れたことで、日本の政局も混乱しています。一部では衆参同時選挙の可能性も指摘されていて状況次第では、再び自公連立が過半数を維持できない可能性もありそうです。その場合石破総理の総理存続も難しくなりそうです。金融面では政局不安が、株価に悪影響を与えるでしょう。為替に対する影響は不透明としても、通常なら株価の下落がリスク・オフの円買いにつながる可能性を考慮しなければなりません。ただ、もしこれが株安、債券安、円安と「トリプル安の日本売り」に繋がるなら大惨事となりそうです。2025年は日本の政局にも注意を払っておきたいと思います。

 その他では、1月から再び米国の債務上限の期限を迎えます。この問題は、12月13日現在あまり話題となっていませんが、恐らく年内に延長され直ぐには問題にならないでしょう。ただ、2025年初頭には再び大きくクローズ・アップされる可能性があり、問題が長引けば米国債の格下げのリスクとなります。毎年のことで若干食傷気味の話題ですが、特に2025年はイーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」がスタートします。「小さい政府」を目指す共和党が、本当に米国の財政問題を解決できるのか、それとも混乱につながるのか注視しておきましょう。

 また、欧州関連では、7月からブルガリアが、通貨ユーロを導入する予定を表明しています。現在の情報ではまだ確定しているわけではありませんが、もし今後決定するようなことがあれば、ユーロを取引する場合には注意が必要です。EUの参加国が、新たにユーロを導入する場合、導入日に一気に通貨が変更されます。ブルガリアの場合、元来2025年から予定されていましたが、7月1日に一旦延期されたようです(過去の通例では1月1日に導入するのが基本)、その場合6月末のコンバージョン・ファクター(交換率)によって、一気にブルガリア内の資産・負債が、ブルガリア・シフからユーロに代わります。つまり、ブルガリアの企業や個人などは、この変更によって大きな為替リスクを負うことになります。当然それを避けるために、事前にヘッジしようとうする行為が自然に行われると思います。つまり、ユーロ・シフ相場では、7月に近づくにつれてユーロ買いが増加しユーロを押し上げる形になります。

 近年では、エストニア(2011年)、ラトビア(2014年)、リトアニア(2015年)、クロアチア(2023年)の導入時に、国の規模により影響度は限られますが、このような傾向がユーロ相場の動きに見えています。まだ2026年からの導入となる可能性がありますが、どちらにしても、もし決定された場合のユーロの動きにも注目しておきましょう。

加えて、近年では年初から大きく世界を変えるような事件や事象が起きています。2020年にはパンデミック、2022年はロシアのウクライナ侵攻、2024年は元旦から能登半島地震、年央からはイスラエルのガザ侵攻など金融市場に大きな影響を与える「リスク」が発生しています。2025年もそのような「ブラック・スワン」が起きるかは誰にもわかりません。起きて欲しくはないですが、奇しくも2025年はアストロ的に、太陽の黒点数がピークに達します。以下のチャートをご参考頂きたいのですが、太陽の黒点の数は、約11年周期で増加・減少を繰り返しています。そして増加のピークと減少のピーク時(半期)には、ぴったりではありませんが、過去ドル暴落、ブラック・マンデーやリーマン・ショックなど多くの金融ショックの発生と重なっています。これが2025-26年にピークをつけて、2031年まで減少過程に入ります。

特に黒点のピーク時は、太陽内で水爆の100万個分相当の爆発が発生し、太陽フレアによる電磁波が地球にも大きな影響を与えるとされています。それが地球を回る衛星を破壊・損失させたりすれば、GPSや通信、インターネット回線や携帯端末に過大な影響を与えるかもしれません。それが世界的に発生した場合、どういった混乱となるか恐ろしい気がしますが、特に金融関連で考えるとインターネットやコンピューターを取引の基盤としている「仮想通貨取引」に大きな影響を与えるかもしれません。それでなくても異常な高値となっていて危険ゾーンにあるような気がしますが、2024年、10万ドルを超えたビットコイン相場が暴落でもすれば、その影響は世界的な資産クラッシュの動きにつながりそうです。

またこれは蛇足ですが、日本の干支をベースとした相場格言に、「辰巳天井」という言葉があります。これは辰年と巳年の間に株価が大きなピークをつけて、下落相場に転換するというものです。日本の格言が米国や海外株式市場でも適応されるかは疑問も多いですが、辰年の2024年のNYダウやナスダック指数、日経平均株価の歴史的な高値更新やこの黒点のピークと合わせて考えると2025年、大きな金融ショックが起きる可能性も捨てきれません。悲観的過ぎるかもしれませんが、少なくとも近年は、温暖化の影響もあってか、自然災害、加えてウクライナや中東紛争などの世界的な軍事紛争が続き、自然・地政学リスクが市場の混乱につながっています。2024年7月13日に起きたトランプ氏の暗殺未遂と共に考え合わすと、トランプ氏が神がかり的に生還し、更に大統領選で勝利するという運命の不思議が、2025年以降の世界の分かれ目となるのかもしれません。

あくまで個人的な妄想ですから、信じて頂く必要はありません。それでなくとも、自然災害や紛争、金融リスクは突発的に起こることで、準備することはできませんが、常にこういったリスクも念頭に入れて、相場に臨む姿勢を維持しておいた方が得策かもしれません。

2025年の注目点】

 2024年の相場環境を踏まえて、2025年のスイスフラン円相場の注目点をまとめてみました。

・トランプ大統領の政策は実現するのか?

・スイス中銀は再びマイナス金利に突入するのか?

・日銀はどこまで利上げするのか?

・スイス中銀や日本の円買い介入は続くのか?

・スイス日金利差との連動性

・ユーロ円との連動性

〇 トランプ次期大統領の政策は実現できるのか?

 トランプ氏は大統領当選前から、様々な発言をしています。どこまで本気でやるつもりなのかは分かりませんが、一応現在彼が掲げている政策を以下にまとめてみました。

 

1. 移民政策:不法移民の強制送還、「出生地主義」の廃止

2. 経済政策:トランプ減税の延長または恒久化、法人税の引き下げ、 全ての輸入品に10~20%の関税、中国からの輸入品には最大60%の追加関税、CHIPS法に否定的

3. 外交政策:ウクライナへの支援縮小、NATO加盟国の負担増・必要に応じて米国の関与の見直し

4. エネルギー政策:「国家エネルギー会議」を新設、化石燃料の推進や輸出の後押し、再生可能エネルギーへの移行を遅らせる

5. 環境問題: パリ協定からの離脱、IRA法の見直し(EV補助金の廃止など)

6. 教育政策:教育省の廃止、教育政策の管理を州や地方に委譲

7. 社会政策:連邦レベルでの中絶禁止法案に対する拒否権行使、中絶の権利は各州が決定すべき、LBGT+Qの権利に関するプログラムの廃止

8.「政府効率化省(DOGE)」の新設:連邦政府の規制撤廃、行政部門の縮小、歳出削減

 特に米上下院の共和党勝利で、「トリプル・レッド」となったことで、トランプ次期大統領が掲げる政策が実現し易くなるとの見方が主流です。ただ、実際一部の共和党議員は、CHIPS法やIRA法の見直しに否定的とされています。この「トリプル・レッド」も実際は、2025年の補欠選挙によって変わる可能性が残っています。まだ盤石とはいえないことは、考量しておきましょう。

 この中で特に、金融市場に大きな影響があると思われる3つの課題に関して、注目されるポイントを見ておきましょう。 

≪ウクライナ問題≫

 トランプ次期米大統領が、2025年2月で3年目に突入するウクライナ戦争の終結に向けて元陸軍中将のキース・ケロッグ氏をウクライナ・ロシア特使に指名しました。彼が提唱する和平交渉案は以下の通りです。

1.停戦によって前線を凍結、非武装地帯を設置

2.停戦後は、英仏独軍などが治安維持のため非武装地帯を管理

3.ウクライナのNATO加盟を10年間延長

4.和平協定の締結に伴い、ロシアに対する経済制裁を段階的に解除

5.ウクライナに対する軍事援助と安全保障の継続

6.ただしウクライナが拒否した場合軍事援助の打ち切りもある、一方ロシアが拒否した場合、米国はウクライナ支援を強化する

 これを両国が受け入れるかは不透明ですが、既にトランプ氏は2024年12月7日、ノートルダム大聖堂の再開式典において、マクロン仏大統領の仲介で、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談しています。一部にここで一定の合意があったとの可能性も指摘されています。

 特にトランプ次期大統領は、以前から「就任後24時間以内にウクライナ戦争を終結させる」と発言しています。ロシアと水面下で交渉が進んでいる可能性もあって、これが本当に実現すれば、トランプ次期大統領の「MEGA」の実現に大きな支援となり、ノーベル賞受賞の期待感にもつながりそうです。

 その場合金融市場はどういういった反応を示すでしょう?

 当然株価などは好感すると思われますが、ただドルが買われるかはわかりません。ウクライナ戦争での懸念が、過去3年上値を押さえていた欧州通貨、特にユーロ、スウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネ、ポーランド・ズロチなどの対ドルでの買い戻しにつながる可能性で見ています。また、原油や金には利食いが出てくるでしょう。

 ただ、個人的には簡単ではないと考えています。トランプ氏は、プーチン露大統領と仲が良いとしていますが、彼はもっとしたたかです。また、ロシア国民は、これまで大きな犠牲を払っており、簡単に許すとも思えませんし、経済制裁の段階的な解除がされるとしても、得るものは少ないでしょう。ともかく、プーチンがカギを握ることを考えると、交渉の決裂の可能性は考慮しておきたいと思います。

≪トランプ氏が主張する関税強化策≫

 「タックス・マン」を自称するトランプ氏は、既に大統領選での勝利後、早々と「メキシコとカナダからの全ての輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す」と表明しています。以前は「全世界からの輸入に一律10~20%、中国には100%の関税を課す」と述べていて、若干数字的に矛盾があるようです。

 これは米国の関税に関しては、通商法や通商拡大法の規定があって、議会での決定がなければ、トランプ次期大統領の一存だけでは変えることはできません。トランプ大統領第1期の時も、就任後直ぐには追加関税は実施できませんでした。ただ、この「メキシコとカナダの25%、中国に10%の追加関税」に関しては、米国で大きく問題となっている「フェンタニル」という麻薬密輸に関して、十分な措置が講じられていないという「国家安全保障上」の理由を適応することによって、直ぐに実施出来る料率のようです。その場合はやはり、当該通貨に売りが強まる可能性には注意が必要となります。

 ただ、「全世界からの輸入に一律10~20%」の追加関税となると、話は複雑となりそうです。北米では、北米通商条約(NAFTA)を2018年に「USMCA」に切り替えています。既に世界的には、様々なFTAやFAが締結しており、自由貿易の流れが強まっていることや、実際追加関税によるコストは、米国民が負担することになります。トランプ氏は、あくまで「ディール的な駆け引き」として利用している可能性もあって、2025年早々この問題に大きな懸念を持つ必要はないようです

≪「政府効率化省(DOGE)」の行方≫

 トランプ次期米政権で政府外の助言機関として、実業家のイーロン・マスク、ビベック・ラマスワミ両氏が主導して2025年から発足します。 

 この「DOGE」の役割は、連邦政府の規制撤廃、行政部門の縮小、歳出削減の3本柱として、少なくとも年間5000億ドル(約77兆7千億円)の歳出削減を目指します。また国際機関への拠出金を削減し、政府機関の余剰人員を減らすために民間企業への転職を促す方針も明らかにしていて、ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)とも連携し、建国250周年を迎える2026年7月までに一連の改革を行う計画です。

 米国の財政赤字が巨額であることを考えると実際にこういった削減が実現できれば、米経済に良い効果を与えることになるでしょう。ただ、一方で中央政界の既得権益層からは大反対が起きる可能性が高く、米国の分断と2極化を拡大させ経済社会的な大きな混乱の要因となる可能性にも注意が必要です。

 以上簡単にまとめてみましたが、現状市場で考えらえている「トランプ政権→景気の過熱→インフレ→ドル高・株高」という「トランプ・トレード」シナリオもあまり期待を強めない方が良いかもしれません。その面では、関税強化策や政府効率化省の問題は、先行きの長い話として、直ぐに影響は見えないでしょうが、就任時に本当にトランプ次期大統領が、ウクライナ戦争を終わらせることが出来るかは大きな注目です。

実現できるなら政権の評価や威信は高まるでしょうが、もし失敗するようならトランプ次期政権の失望に変わりそうです。こういった面に関しては、相場がどういった反応を示すかは不透明ですが、トランプ氏は態度をころころ変えることも多く、第1期トランプ政権の時と同様、2025年も荒れた相場展開となる可能性に注意して対応するのが良いかもしれません。

〇 スイス中銀は再びマイナス金利に突入するのか?

 スイス中銀は、原油・資源価格の上昇を受けた国内物価の上昇を受けて、2022年6月に、2007年9月以来の利上げに踏み切りました。それまで▲0.75%を下限としたマイナス金利政策から、政策金利を2023年6月に1.75%まで引き上げました。

 ただ、2024年に入るとインフレの落ち着きやスイスフラン高に落ち着きが見えたことで、3月、6月、9月に0.25%の連続利下げ、2024年最後の会合では0.50%の利下げを実施、政策金利は0.50%まで下落しています。

 2024年最後の会合の声明では、「基調的なインフレ圧力は今四半期も再び低下」、「2025年のインフレ率は0.3%と予測」、シュレーゲル・スイス国立銀行総裁は、「さらなる利下げが必要になる可能性があると既に述べている」、「マイナス金利の可能性は低くなった」、「必要ならば3月会合で金利を調整するだろう」と述べています。

 それではスイスの物価指数をみてみましょう。

 スイスの消費者物価指数は、3.50%まで上昇後、現在では0.60%まで低下しました。更なる低下は不透明ですが、既にスイス中銀のターゲットとする0.00%から2.00%内に低下しています。

 次にスイスの製造業PMIを見てみましょう。

 パンデミックで、指数は40.7まで下げた後、71.1まで急反発後は、再度38.5まで下落しています。また、直近では50を下回った状況です。

 スイス経済は、2024年は0.9%の成長が見込まれています。これは、近年の平均成長率である1.8%を下回る低調な伸びです。 主な要因として、最大の輸出先であるドイツや中国の景気減速が挙げられ、これによりスイス製品の需要が低迷しています。また、米国の通商政策の不確実性もリスク要因となっています。

  今後、2025年は成長率が1.5%、2026年は1.7%と徐々に回復する予測が立てられていますが、長期平均を下回る水準で、外需の不振や国際的な経済・貿易政策の不確実性が引き続き懸念材料となっています。

こういった面を考えると、特に2025年はトランプ政権が誕生することで、インフレへの警戒感も強く、中銀の姿勢も様子見ムードが続きそうです。2025年3月の会合で利下げする可能性はあっても、非伝統的政策となるマイナス金利政策の再開は当面はなさそうです。

以下は、2025年のスイス国立銀行の政策金利の公表日です。他の中銀は、年8回程度金融政策会合を開催しますが、年4回に限られています。少ない分だけ、毎回の声明や会合後のジョーダン総裁の発言から、しっかりと次の金融政策のヒントをつかむことが重要です。

≪スイス国立銀行金融政策決定会合≫

03月20日

06月19日

09月25日

12月11日

〇 日銀はどこまで金利を引き上げるのか?

2024年は、日本が30年にわたるデフレ経済から脱却したことで、遂に3月の日銀会合で、マイナス金利から政策金利を0.10%引き上げ、量的緩和策の解除、YCCやETF購入の停止を表明しましたが、7月に政策金利を0.25%まで引き上げた後は、現状(12月13日現在)据え置きを続けています。12月の会合で政策金利を引き上げるか注目ですが、リポート作成時では、「トランプ政権の誕生で米経済の先行きに不透明感が高まっているうえ、春闘の賃上げ動向を確認したい考えで、利上げを急ぐ必要はないとの判断に傾きつつある」、「消費者物価は前年比で、2025年度以降は2%に届かない可能性がある」として未だ政策金利の引き上げを躊躇しているようです。

以下日本の2013年からの全国総合物価指数のチャートをご覧ください。

 このチャートは、2020年を基準とした物価の動向を「インデックス」で示したチャートです。通常物価を見る場合に、前年比で判断するのが基本です。現に日銀も「物価が2%で安定的に推移するまで金融緩和を継続する」としていました。しかしながら、この見方の場合、既に前年の物価が上昇していると翌年同月の物価は、あまり上昇していない形に見えます。これを以下のチャートのように、「インデックス自体」で見ると様変わりします。

 2022年までデフレ状態が続いていましたが、黒田総裁の任期最後の1年前から、物価はレンジ・ブレイクしている形が見えると思います。一方政策金利の方は、植田総裁就任後1年を経てやっと引き上げに変わっていますが、この出遅れ感は異常です。

 また、先ほどの全国総合物価指数のチャートを見てドル円レートと比較してみましょう。 2022年からの物価の強い上昇が、円安とともに拡大している姿が見えると思います。日銀は円安を食い止めるためにも、早期に利上げを実施すべきだと思います。また、適切な時期に金利を引き上げておかないと、再び景気が悪化した場合に、金利を引き下げるという「伝家の宝刀」という手段も錆びついてしまうでしょう。従って、2025年日銀は、最低でも0.75-1.00%への利上げは必要だと思います。 

以下が2025年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。日銀の政策の行方が、2025年のドル円相場を左右するでしょう。しっかりと押さえておきましょう。

日銀金融政策決定会合(議事録公表日)

01月24日+展望リポート公表(03月25日)

03月19日(05月08日)

05月01日+展望リポート公表(06月20日)

06月17日(08月05日)

07月31日+展望リポート公表(09月25日)

09月19日(11月05日)

10月30日+展望リポート公表(12月24日)

12月19日

〇 スイス中銀や日本の円買い介入は続くのか?

 過去、スイス中銀は、輸出振興の意味で、スイスフラン高を避けるためにスイスフラン売り、ユーロ買いの介入政策を継続的に実施していました。ただ、一転2022年からスイスフラン高が、輸入物価を押し上げることを懸念して、スイスフラン買いの市場介入に、為替政策を100%転換しています。

 ただ、現在はスイスの消費者物価指数に落ち着きが見えています。あまり必要とは思いませんが、最後の会合でシュレーゲル総裁は、「必要なら為替市場に介入する用意がある」と述べています。未だ警戒感が強いようですが、恐らく再度物価が急激に上昇しない限り、スイスフラン買いの介入は限定されそうです。

 一方日本ですが、2024年も、2022年に続いて財務省が強力な円買い介入を実施しました。

過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。こういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円であれば、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「ドル売り」介入には限界があると言えます。

 そこで「ドル売り」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。

 以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。

 2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、この運用収入分を考慮すれば、まだ「円買い介入」の余地はあると思います。

 一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか知る由もありません。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたび出来るわけではありませんが、少なくとも次の170円は間違いなく介入してくるでしょう。問題は、次に160円をトライした場合でも、再び介入してくるのか、大きなポイントとなりそうです。(個人的には160円は再び防衛ラインだと思います)

 実際この点に関しては、ある意味グレーだと思いますが、少なくとも2025年も円安が一過性に進んだ場合も、安易に上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場は、4-5円の円高が進んでいます。あくまでこういったタイミングで円を売る方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 スイス日金利差との連動性

それでは両国の金利差とスイスフラン円相場の比較をみてみましょう。以下のチャートは、2006年からの両国の10年物国債利回り差とスイスフラン円相場の推移です。

 

2014年までは、リーマン・ショックによるリスク回避志向の時期ですが、比較的両国の金利差にスイスフラン円相場は連動した動きとなっています。ただ、2014年から2016年は、この連動性が全く機能していません。この要因は一概には言えませんが、恐らくアベノミクスによる日本の景気拡大やトランプ政権で強まったリスク回避の動きが、相場に影響を与えている可能性がありそうです。また直近では、スイス中銀のスイスフラン買い介入、日本の財務省が円買い介入と連動性が薄れているようです。ただ一方ではスイス中銀が利下げムードを残す中、2025年日銀は最低でも利下げすることはありません。金利差の低水準の状況が続くことで、スイスフラン円に関しては、地政学リスクの後退も伴えば、下落リスクは低くないのかもしれません。

〇 ユーロ円との連動性

 スイスフラン相場は、ユーロ諸国に囲まれていることもあって、特にユーロ相場と連動性が高い通貨ペアとなっています。

 以下のチャートは、2000年からのスイスフラン円相場とユーロ円相場を比較したチャートです。

乖離のレベルは、その時々の地政学リスクの状況で異なります。また、現在は、スイス中銀のスイスフラン買い介入によって、スイスフラン円の方が高くなっていますが、総じて同調する展開が続いています。

 そうなるとスイスフラン円相場は、ユーロ円相場を参考にトレードしても良さそうです。

 では、以下のユーロ円相場の月足チャートを見てみましょう。

 ユーロ円相場は、169.97の史上高値示現後は、94.12で下値を支えて、149.79の高値から109.57まで値を下げた後、114.41でサポートを形成、2020年以降は堅調な上昇を続け歴史的な高値を超える175.43まで上昇しました。

ただ、現状はこの位置が上値を抑えて若干揉み合い気味の展開です。一応下段のスロー・ストキャスティクスが反転下落傾向を示していますので、下方リスクの方が高いとの見方になりますが、それも現状のレンジとなる154.42の下値と166.69の戻り高値のブレイクからの流れとなりそうです。

上値は166.69を越えても、170円のサイコロジカル前後が押さえる可能性は残っていて、あくまで175.43を越えて更なる上昇となる形ですが、この場合の上値は、歴史的な高値圏であり、想定は出来ません。

下値は154.42や153.14をクリアに割れると、過去の戻り高値と②のサポートである148.41-149.79ゾーン、サイコロジカル的には150円などがターゲットとなりますが、更に割れると次の③のサポートからは、146.13や137.50-141.06ゾーンがターゲットとなります。こちらもサイコロジカル的には140円前後という見方で良いと思いますが、こういった位置は維持される可能性が高そうです。リスクは、134.13-137.39などを割れるケースです。

従って、ユーロ円相場の2025年の想定レンジを150.00から170.00としています。

【テクニカル面】

≪ドル・スイス≫

テクニカル面からまず、スイスフラン円を構成するドル・スイス相場の長期月足をチェックしておきましょう。

 ドル・スイスは、1.0328-1.0344-1.0237-1.0148が上値を押さえて、下値は一時の下ヒゲはあるものの0.8700-0.9071-0.9188-0.8758が支えるレンジ相場を長らく維持してきました。ただ直近ではこの下限を下回り、0.8333の安値まで下落しました。この位置は0.7072や0.7406で結んだサポートを維持して、更に戻り安値を0.8375で守る形です。またスロー・ストキャスティクスは、既に売られ過ぎから反転上昇を示現しており、今後下値は0.8615の戻り安値や0.8500前後が維持されると堅調が続く形です。もし維持出来ずにサポートを割り込むと過去には下ヒゲしかなく、ポイントが見えづらくなりますが、一応サイコロジカルからは0.8000や0.7500などがターゲットとなります。

 一方上値は、0.9224や0.9244の戻り高値を超えると、短期レジスタンスの上抜けが示現しますが、その場合も0.9462の戻り高値、前述のレンジ相場の半値となる0.9522が視野となりますが、上値を抑える可能性が高そうです。あくまでこういった位置を超えて、パリティや1.0148の戻り高値、更に1.0237-1.0344が視野となる形です。

従って、ドル・スイスの2025年の想定レンジを0.8500から0.9500とします。

≪ドル円≫

次にドル円相場も見ておきましょう。

  ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状からE」の75.31をボトムとして、「C」と「G」をアームとした「リバースH&Sが一旦確定したと見られました。

ただ、下値は「D」と「F」のネックラインが逆サポートして、更に反転がこの「G」の高値を超えて、161.95まで上昇する形からは、このリバースH&Sが崩れた形となっています。2024年の相場見通しもこれを前提に見通しを述べていますが、これが全く誤った形で、そうなると140円前後が今後も維持されると、更なる上昇と見るしかない形となります。その場合161.95を越えると次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

強いて上げ止まりの可能性を言えば、日柄からの判断となりますが、「C」の高値から「E」安値の期間が、13年2ヵ月ですので、次の「E」からの次の同期間が、2024年12となりますので、もし、この12-1月にこのトップが維持され続け、更に140円前後のネックラインを割れるなら相場の天井を示唆する可能性が残っていることは、留意しておいてください。

次により近い2011年からの月足チャートをみてみましょう。

 75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。

 エリオット的な波動からざっくりと見れば、75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波とするなら、現状の上昇が第5波の渦中にあることは意識してください。

 また下段に表示したスロー・ストキャスティクスが、買われ過ぎから反転下落しています。ダイバージェンスの可能性はありますが、上値は161.95を中心に、151.91や156.75がトリプル・トップとして意識されるなら上値つきの可能性が高まります。

 こういった面を考慮すると総合的には上値付きと考えるのが妥当に見えます。ただ、前述の通り、今後12月から1月の間に161.95を越えないことが必要です。一方で下落トレンドがスタートするためには、ネックラインとなる140.25-139.58を割れるケースが必要です。その場合の下値のターゲットは、127.23の戻り安値から125.86の過去の戻り高値となります。

 従って、ドル円の2025年の想定レンジを140.00から160.00とします。

≪マトリックス・チャート≫

 加えてドル・スイス相場とドル円の想定レンジから作成したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)も参考にみておきましょう。

 ドル・スイス相場のレンジを0.8500から0.9500、ドル円を140.00から160.00としましたので、これから算出されるスイスフラン円の最大想定レンジは、147.37から188.24となります。少し広すぎるので、155.68から178.29を適正とします。 

≪スイスフラン円≫

 それでは、最後にスイスフラン円の月足を見てみましょう。

 スイスフラン円は、過去58.80の安値から2015年の1月のスイスフラン・ショックで、一時155.37の歴史的高値を示現しましたが、流石にこれは大きな上ヒゲで終わっています。その後、下値を102.00や106.66で支えて、180.07と想定外の強い上昇を示現しました。これは歴史的な高値ですが、テクニカル的に不透明な位置です。一応58.80の安値から134.60までの上昇幅を102.00から上げた位置が177.80と計算されることで、この位置のオーバー・シュートと考えることが出来ますが、断定はできません。一応波動的な見解からは

第1波=58.80から105.06

第2波=105.06から74.69

第3波=74.69から134.60(155.37)

第4波=134.60から102.00

第5波=102.00から180.07(?)

となります。可能性としては、下段のスロー・ストキャスティクスも買われ過ぎから反転下落を示していて、第5波の高値の可能性が見えています。断定はできませんが、もし、現状の戻り高値177.29とレジスタンスを形成して、下値は、160円のサイコロジカル前後、158.48の戻り安値を次に割れると確定的となります。

 そうなるとどこまで調整できるかが焦点ですが、まず、それ以前の高値151.49、更には137.10-42の戻り安値圏などがターゲットとなりますが、第3波の高値となる134.60は、78.37-106.66を結んだサポートとして当面守られそうです。ただ、割り込む場合は、127.50や120円までの調整となります。 

 従って、スイスフラン円の2025年の想定レンジを、マトリックス・チャートも参考にして、155.00-178.00とします。

【予想レンジと戦略】

それでは以上を踏まえて、スイスフラン円相場の2025年の戦略についてお話します。

 2025年のスイスフラン円の想定レンジを155.00から178.00としました。

≪2025年の注意点≫

・株価やビッドコイン、米国の不動産市況の悪化を背景としてバブルがはじけるケース

・トランプ次期政権を睨んで荒れた展開となる可能性

・ウクライナ情勢が終息する、この場合スイスフラン売りにつながるでしょう

・円高になるためには、①原油価格の下落などを背景に日本の貿易収支が大幅に改善する②トランプ政権に大きな失望が出、③トランプ政権に大きな失望が出る④世界的に株価が調整局面に入る⑤ウクライナや中東情勢が更に混迷を深める(プーチンが戦術核を使うなど)が想定されます、その場合の円売り戦略は注意しましょう

・ドル円の160円前後または161.95を守るために、再度財務省から円買い介入が入ると考えています、超えても170円では介入してくると思います

 ・クロス円の場合ストレートの動き次第では、テクニカル的なポイントと合致するとは限りません、オーバー・シュート的な騙しの動きも留意してください

≪具体的なトレード戦略≫

テクニカル的観点やスイスの低金利化を背景にしたキャリー取引が活性化する可能性も考慮して、基本的に178円方向への反発では戻り売りを狙います。低金利でスワップ・コストが低くなることも好都合です。ストップは歴史的な高値の180.07越え。超えても恐らくそのケースでは、ドル円も大幅に上昇しており、財務省の円買い介入のリスクもありますから、上値追いは避けましょう。

ターゲットは、160円前後が維持されると買い戻しとなりますが、買い戻しても売り回転を利かせる形も検討しましょう。もし158.48も割れてくれると151.49や150円を睨んで利食いを優先しましょう。

一方買い戦略ですが、もし、短期張りで160円前後から買いに入るならストップは158.48割れ。理想的には150円台で買い下がるのが良いと考えますが、この場合のストップは、騙しも考慮してクリアな150円割れで検討しましょう。

また、特に財務省の円買い介入で下げた局面は、毎回絶好のスイスフラン円の買い場となっています。ただ、介入のケースでは、スイスフラン円相場が2024年度中で、平均で4.44円程度下落していることは考慮しておいてください。

また、タイミング的な注意点は(詳細はドル円の「2025年相場見通しのドル円の季節性」をご参照ください)

  • 1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと
  • ドル円は例年アノマリー的に、7月や8月中旬に瞬間的な円高が示現することが多いことは注意です、ただ逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも覚えておいてください
  • 9月のレイバーデー明けからは年末に向けて方向性が出易い時期です、この時期に一定の動きが見えた場合、逆張りで向かわないようにしましょう 

 以上、一応テクニカルやファンダメンタルズ面からシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。