雇用統計の結果

非農業部門雇用者数

2月の非農業部門雇用者数は予想+20万人に対し結果27.5万人でした。しかし2023年12月の数字は33.3万人から29万人へ、2024年1月の数字は35.3万人から22.9万人へとそれぞれ下方修正されています。合計で-16.7万人というのは大きな修正です。言い直せば先月、先々月の非農業部門雇用者数は第一印象ほど強くなかったということです。

(出典:労働省労働統計局)

失業率

2月の失業率は予想3.7%に対し結果3.9%でした。失業率は徐々に上昇してきています。

(出典:労働省労働統計局)

平均時給

平均時給は5¢の上昇でした。なお2023年12月は12¢から11¢へ、2024年1月は19¢から18¢へ、それぞれ-1¢下方修正されています。

(出典:労働省労働統計局)

FRBの次の一手

賃金の上昇にブレーキがかかったことで連邦準備制度理事会(FRB)は利下げしやすくなったと思います。3月と5月の連邦公開市場委員会では利下げを見送り、実際に利下げが実施されるのは6月だと思います。いまはそれに向けて「下ごしらえ」する段階です。

FRBが最後に利上げしたのは去年の7月なので約1年間政策金利を横ばいにしてきたことになります。その背景には「利下げに転じるのが性急すぎる!」という批判を受けないようにとの配慮があったと思います。

1990年代の半ばに米国経済がソフトランディングしたときはFRBは一旦緩和に舵を切ったかのように見せかけて、すぐにまた政策金利を横ばいに保つアプローチに逆戻りしました。その理由は実体経済が強く、利下げの必要が少なかったことに加え労働生産性の向上でインフレ・プレッシャーがそれほど強くなかったことによります。いまもその当時と似たようなパターンになりつつあります。