政策金利に変更なし→バランスシートに注目が移った
3月20日(水)、2日に渡り開催されてきた米国の政策金利を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会し米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)は大方の予想通り現行の5.25~5.50%を維持することが発表されました。
市場参加者は(6月利下げ開始に関し、パウエル議長が何か手掛かりになるコメントをするのでは?)と期待していましたが、議長は「データ次第」という答弁に終始し、その点ではがっかりさせられました。
利下げのタイミングについては完全にスルーされたけれど、もうひとつのFRBのツールであるQT(=量的引締め政策)に関しては「引締めのペース(=それは連邦準備制度総資産の圧縮のチャートに現れます)を減速することを検討に入った」ことが打ち明けられました。
(出典:セントルイスFRB)
つまり利下げよりバランスシートの議論が先行するカタチになったということです。これは極めて婉曲に「方向としては緩和ですよ!」ということをシグナルしているに他なりません。
経済予想サマリー
今回のFOMCでは経済予想サマリー(SEP)が公表されました。それによれば今年年末のFFレートに関しFRBのメンバーは去年の12月のアンケート調査と同じ4.6%、言い換えれば年内3回の利下げを予想していることが読み取れました。
(出典:FRB)
なお2025年と2026年のFFレートに関しては少し予想が上昇している点に注目してください。
次に2024年末のGDPに関しては予想が大幅に上方修正されました。
(出典:FRB)
つまり足元の米国経済は強いということです。
失業率の予想に関しては余り大きな変化は見られませんでした。
(出典:FRB)
PCEインフレの予想に関しては2025年の数字が若干上方修正されました。
(出典:FRB)
以上を総括すれば直近の米国経済が予想より少し強かったのでFRBはさらに観察を続け利下げのタイミングに関しては明言できない事情が浮き彫りになったと言えます。
まとめ
今回のFOMCでは6月利下げをほのめかす発言は残念ながら出ませんでした。しかしバランスシート圧縮のペースを鈍化させることは討議に入ったと説明され、FRBは依然として緩和を念頭に置いていることがやんわりとほのめかされました。
これは株式にとっては良いニュースです。