11月の雇用統計は雇用市場が依然強いことを示唆

■非農業部門雇用者数


先週の金曜日に発表された11月の非農業部門雇用者数は26.3万人で市場予想を上回りました。

(出典:労働統計局)

内訳を見るとレジャーならびにホスピタリティー産業が+8.8万人、ヘルスケアが+4.5万人、政府部門が+4.2万人でした。

普通、クリスマス商戦期間は小売業や運輸の雇用が堅調なのですが、今回は小売が-3万人、運輸が-1.5万人と不振でした。これはクリスマスに向けて小売業者が慎重であることを物語っています。

言い直せば今回の非農業部門雇用者数の数字が強かったのは景気に関係の無いヘルスケアや政府部門などの好調に助けられた側面があり、見かけほど強い数字ではないということです。

■失業率


11月の失業率は3.7%でした。

(出典:労働省労働統計局)

■平均時給


11月の平均時給は+18¢でした。これは予想より強い数字でした。

(出典:労働省労働統計局)

連邦準備制度理事会(FRB)は賃金の上昇を警戒します。その意味では今回の賃金上昇はFRBが許容できる範囲の上限に近い、かなり居心地の悪い数字だったと言えます。

しかし、既に市場に対しては「12月の連邦公開市場委員会(FOMC)から利上げ幅を0.50%に縮小する」というメッセージを発しているので、12月14日のFOMCでは当初の計画通り0.50%の利上げを行うと思います。

更に言えば賃金は典型的な遅行指標でありそれを見ながら金利政策を猫の目のようにコロコロ変えていたら後手に回るリスクもあります。

これまで0.75%という大幅な利上げをずっと繰り返してきたのだから金融引締めはそろそろ仕上げの段階に入っています。ここは過去の利上げの積み重ねが実体経済にじわじわ効いてくることを信じて、予定通り利上げ幅を小さくしてゆくのが堅実な手綱さばきだと思います。

■投資戦略


今回の雇用統計は市場予想より強かったですがFRBが戦略を根本的に見直さなければいけなくなるほどは強い数字ではありませんでした。12月は季節的に株式が強い月ですので、ここは強気のスタンスを堅持すべきだと思います。