FXはほぼ24時間365日、利益が狙える投資手法です。しかし闇雲にトレードをしていては、損失が増えてしまい、取引が継続できなくなるかも知れません。この記事では、これからFXを始めたい人向けに、最低限知っておきたいFXの基礎知識や、必要書類について解説しています。またFXをすでに始めている、初心者にも役に立つ内容です。
FXとは
FXとは「Foreign Exchange」の頭文字を取ったもので、米ドルと円など、2つの国の通貨を交換する取引のことです。日本語に訳すと「外国為替証拠金取引」と言います。
米ドルと円を交換する例を考えてみましょう。
例えば手元に100万円があり、1ドル100円のときに米ドル10,000通貨と交換をしたとします。
その後円安で1米ドル101円になったタイミングで10,000通貨を円に戻すと、「10,000通貨×101円＝101万円」となり、1万円の利益が得られます。逆に円高で1米ドル99円になったタイミングで円に戻すと、「10,000通貨×99円＝99万円」となり、1万円の損失です。
FXとは何か？仕組みや魅力、リスクについては以下の記事を参考にしてください。
関連記事：FXとは？仕組みや魅力・危険性について簡単にわかりやすく解説
FXはギャンブルではない
FXはギャンブルではありません。
その理由の1つとして、FXは金融商品取引法に規定されるデリバティブ取引の一種として、認められていることが挙げられます。
またFXは各国の政策金利や経済指標、テクニカル指標などから、ある程度値動を予測することができます。100%確実に予測することはできませんが、FXは知識や経験を積むことでトレードの勝率を上げることは可能です。
FXがギャンブルと言われることがあるのは、タイミングを深く考えずに闇雲に注文したり、レバレッジの高い取引をしたりするなどギャンブルのような取引をしているからかもしれません。
なおレバレッジについては、後の章で詳しく解説します。
FXを始める前に最低限知っておくべきこと
FXがギャンブルのような取引になってしまわないように、基本的な知識を身に付けておく必要があります。ここでは、FXを始める前に、最低限知っておくべきことを紹介します。
円安・円高
円安とは、他国通貨に対して円の価値が相対的に低い状態、逆に円高は円の価値が相対的に高い状態のことです。例えば1ドル130円の状態から、1ドル131円になると円安。1ドル129円になると円高と考えます。
頻繁に為替レートに触れていないと、130円から131円になったのに、なぜ円安なのか？130円から129円になったら、なぜ円高なのか？混乱してしまうかも知れません。
これまで1ドルを130円で交換できたものが、131円が必要になった。つまり円の価値が下がったので「円安」。逆に、これまで1ドルを130円で交換できたものが、129円で交換できるようになった。つまり円の価値が上がったので「円高」と考えると分かりやすいでしょう。
FXで利益が発生する仕組み
FXではインカムゲインとキャピタルゲインという2種類の利益が狙えます。キャピタルゲインとは、資産の売却によって得られる利益、インカムゲインとは資産を保有することで得られる利益のことです。
FXでは2国間の通貨を売買して得られる利益がキャピタルゲイン、ポジションを保有することで、ほぼ毎日のように利益が得られるスワップポイントがインカムゲインにあたります。
| 利益の種類 | 概要 |
| インカムゲイン | ・銀行の利息 ・不動産投資の家賃収入 ・株式投資の配当金 ・投資信託の分配金 ・FXのスワップポイント |
| キャピタルゲイン | ・不動産物件の譲渡益 ・株式投資の売買益 ・投資信託の譲渡益 ・FXにおける2国間の通貨の売買益 |
FXのインカムゲインやキャピタルゲインが発生する仕組みについて、詳しく知りたい人はこちらの記事が参考になります。
関連記事：【図解あり】FXの仕組みを詳しく解説｜利益の出し方やレバレッジ取引も
取引できる時間帯
国内の現物株式は午前が9時から11時30分、午後は12時30分から15時までとなっていますが※、FXは世界中の外国為替市場で取引が行われているため、平日と祝日のほぼ24時間いつでも取引が可能です。
ただし多くのFX会社が、クリスマスは営業時間を短縮しています。さらにクリスマスは、取引量が多いロンドン（イギリス）と、ニューヨーク（アメリカ）市場が休場で、市場の流動性が著しく低下することから、大きな値動きが生じる可能性があるため取引をするときは注意が必要です。
また年末年始は、元日のみ休日でそれ以外は取引ができますが、投資家が年末年始はお休みで市場参加が減少するため、市場の流動性が低下します。
FX初心者のうちは、クリスマスと年末年始の取引は避けたほうが良いでしょう。
※午前中の取引のことを前場（ぜんば）、午後の取引のことを後場（ごば）と言います。
なお為替レートの値動きは、取引する時間帯によって特徴があります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事：FXの取引時間帯の特徴｜初心者におすすめするタイミングや注意点を説明
Bid・ASK
FX会社が提示する売値をBid（ビッド）、買値をAsk（アスク）と言います。
FXは不正な為替レートの提示を防ぎ、公平性を保つために、BidとAskを同時に提示する2Wayプライス方式を採用しています。
例えば米ドル/円は「131.859-131.861」のように表示され、左側の数字がBid、右側に表示される高い金額のほうがAskです。この場合、買い手側であれば、FX会社が提示したAsk131.861円で買うことになり、売り手側であれば、FX会社が提示したBid131.859円で売ることになります。
レバレッジ
レバレッジとは、もともと「てこの原理」という意味がありますが、FXにおけるレバレッジとは、少ない自己資金で、大きな取引ができる仕組みのことを指します。
例えば米ドル/円で1ドル130円のときに、米ドルを1万通貨購入するには、130万円の資金が必要です。しかしレバレッジを10倍に設定すると130万円÷10（レバレッジ）＝13万円となり、13万円の自己資金で、130万円分の取引ができることになります。
このケースで仮に1円円安になったタイミングで米ドル1万通貨を売却すると、「自己資金130万円の場合」「10倍のレバレッジを設定して自己資金13万円で取引をした場合」どちらも1万円の利益となります。
しかし逆に1円円高になったタイミングで米ドル1万通貨を売却すると、どちらも1万円の損失となります。
このようにレバレッジは少ない自己資金で大きな利益が狙えますが、反面、損失も相対的に大きくなるため注意が必要です。
レバレッジ取引の仕組みや注意点、メリット・デメリットを詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。
関連記事：FXのレバレッジ取引とは？現物取引との違いや特徴をわかりやすく解説
スプレッド
スプレッドとはAskとBidの差のことを言います。仮に米ドル/円が「Bid110.120-Ask110.125」であれば、スプレッドは0.5銭となります。
しかし米ドルをAsk（買値）110.125円で購入して、すぐに売却しようとするとBid（売値）が110.120円なので、0.5銭損をしてしまいます。
このケースではBid（売値）が少なくとも0.6銭円安が進んで110.126円にならないと、利益になりません。したがって0.5銭というスプレッドは、FXにおける実質的な手数料と言えます。
仮に米ドル/円が「Bid110.123-Ask110.125」であれば、スプレッドは0.2銭です。このケースでは、Ask（買値）110.125で購入した後、0.3銭円安が進んでBid（売値）110.126円になると利益になります。
つまりスプレッドは狭いほうが、利益を出しやすいのです。
スプレッドはFX会社ごとに異なり、同じFX会社でも通貨ペアや時間帯で異なります。
スプレッドの仕組みについて詳しく知りたい人は、こちらの記事が参考になります。
関連記事：FXのスプレッドとは？広がる理由や計算方法・注意点を説明
pips
pipsとは、「percentage in point」の頭文字を取ったもので、通貨ペアの価格の変動幅を表す単位のことです。
1pipsがいくらになるのかは、FX会社によって異なりますが、通貨ペアに円が含まれる円絡みの通貨ペアは「1pips＝0.01円（1銭）」、米ドルとその他の通貨を組み合わせたドルストレートの通貨ペアは、「1pips＝0.00001ドル」などと表します。
例えばユーロ/円の為替レートが150.001円から150.011円に動いたら、変動幅は「1pips」、150.001円から150.101円に動いたら、変動幅は「10pips」です。
証拠金
証拠金とはFX口座に預け入れておくお金のことで、FX取引をする上で担保の役割を果たします。FX取引をするためには、最低限必要な証拠金を預け入れなければなりません。これを必要証拠金と言います。
国内のFX会社では個人の場合、必要証拠金を取引金額の4％以上、差し入れなければなりません。米ドル/円の通貨ペアで、1ドル130円、1,000通貨の取引をするのであれば、130円×1,000通貨×4％＝5,200円の証拠金が必要です。
ポジションを維持するために必要な証拠金が、一定水準を下回ると、ロスカットとなり保有しているポジションがすべて強制的に決済されてしまいます。
ロスカットは、FX会社が定めている証拠金維持率を下回ると執行されます。証拠金維持率の計算式は以下の通りです。
| 【証拠金維持率の計算式】 証拠金維持率＝有効証拠金÷必要証拠金×100 有効証拠金＝FX口座残高＋含み益―含み損 |
ロスカット
ロスカットとはFX取引で一定水準以上の損失が発生した場合に、投資家のさらなる損失の拡大を防ぐために、保有している全てのポジションを強制的に決済する仕組みのことです。
ロスカットの本来の目的は、投資家の損失拡大を防ぐことです。しかしロスカットは、含み損が増えて有効証拠金が減ったときに執行されるため、大きな損失につながる場合があります。また、ロスカットのタイミングによっては、入金額以上の損失が発生する場合があるため、注意が必要です。
ロスカットを回避する方法については、以下の記事が参考になります。
関連記事：FXのロスカットとは？計算方法や回避のコツ3つをわかりやすく解説
追証
追証（おいしょう）とは、FX口座の証拠金維持率がFX会社の定めた水準を下回った場合に、追加で証拠金の差し入れを求める仕組みのことです。マージンコールとも言います。
追証を一定期間までに差し入れなかった場合、最終的にロスカットとなります。
スリッページ
FX取引では、注文時に提示されていた為替レートと、実際に約定したときのレートの間で、ズレが生じる場合があります。このズレのことをスリッページと言います。
為替レートは絶えず変動しているため、注文がFX会社のサーバーに到達するまでの間に、為替レートが変わってしまうことがあるのです。
米雇用統計や米消費者物価指数など重要な経済指標の発表前後や、災害発生時などは為替レートが急激に変動する可能性があるため注意しましょう。
FX会社によっては、「許容スリッページ」を設定できる場合があります。許容スリッページとは、設定した範囲を超えるスリッページが発生した場合、取引を不成立にできる機能のことです。
FXを始めるために必要なもの
FXはFX用の取引口座と、資金さえあれば始められます。FXを始めるための、申込方法や必要書類、必要資金について解説します。
FXの初め方について詳しく知りたい人は、以下の記事が参考になります。
関連記事：【初心者向け】FXの始め方は？基礎知識や少額取引の注意点を解説
取引口座
FXを始めるには、FX会社でFX専用の口座開設をする必要があります。FX会社の公式サイトにある申込フォームに必要情報を入力後、必要書類を提出します。
必要書類はFX会社によって異なりますが、一般的に本人確認書類とマイナンバー確認書類があれば、口座開設は可能です。
【マイナンバー確認書類】
マイナンバー確認書類とは、主に以下のいずれかの書類を指します。
- マイナンバーカード
- 通知カード
- マイナンバー付住民票の写し
【本人確認書類】
以下の書類は、いずれか1点あれば本人確認書類として認められます。
- 各種運転免許証の表面
- パスポート
- 在留カード
- 外国人登録証明書
- 住民基本台帳カード
- マイナンバーカード
以下の書類は、いずれか2点を用意しなければ本人確認書類として認められません。
- 各種運転免許証の表面
- パスポート
- 在留カード
- 外国人登録証明書
マイナンバーカードはマイナンバー確認書類と、本人確認書類の役割を兼ねるため、マイナンバーカードがあれば、必要書類は1点で済みます。
参考として、インヴァスト証券で口座を開設する場合に必要な書類を、ご確認ください。
関連記事：口座開設に必要な書類は何ですか？
資金
FXはレバレッジがかけられるため、少ない資金で取引が始められます。必要最低限の証拠金は、通貨ペアによって異なりますが、トライオートFXなら、数千円程度から取引が可能です。
インヴァスト証券の最低取引額については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事：【トライオートFX】最低いくらから取引できますか？
FXの必要資金の目安や、少額資金で取引をするメリット・デメリットを知りたい人は以下の記事が参考になります。
関連記事：FXはいくらから始められる？必要資金の目安と少額資金のメリット・デメリット
FXだけで生活できる？
FXの利益だけで生活できる専業トレーダーは存在します。ただし、FXだけでは生活するには、豊富な経験と知識が必要であり、容易なことではありません。
初心者は、いきなり専業トレーダーを目指すのではなく、余剰資金から取引を始めるように心がけてください。
最初はまずトレードの勝率を上げることを心がけ、勝率が上がってきたら通貨量やレバレッジを増やすことも検討してみましょう。
まとめ
FXの利益だけで生活している専業トレーダーにあこがれを持つ人もいるでしょう。
しかしFXだけで生活していくのは、容易なことではありません。まずは基本的な知識を身に付け、トレード経験を積むことを心がけてください。トレード経験と知識を積み重ねていけば、少しずつトレードの勝率が向上していくでしょう。
また、いきなり大きな金額で取引をすると、損失で自己資金を減らしてしまい、取引が続けられなくなるかも知れません。FX取引は余剰資金で行うことが大切です。
基本的な知識やトレード経験を積む時間がないという人は、FX自動売買システムの活用がおすすめです。インヴァスト証券のトライオートFXは、あらかじめ設定したトレードルールに基づいて、自動的に売買を繰り返します。あらかじめ用意されたトレードルールのなかから選ぶだけで始めることも可能です。
また、マイメイトはエージェントというキャラクターが過去のトレードを分析し、学習内容を反映させたトレードを行うFX自動売買ツールです。学習はトレード開始後も、継続的に行います。マイメイトも、すでにあらかじめ稼働しているエージェントのなかから選ぶだけで始められます。
