
FXに興味があるけれどリスクが高いので、なかなか始められないと思っている方はいませんか?実はFXは1万円程度の少額からでもスタートできます。この記事では、FXの必要資金の考え方や少額資金で取引をするメリット・デメリットについて解説しています。FXに興味がある方、FX取引はいくらから始めるべきかわからない方、何か良い投資方法がないか探している方に役に立つ内容です。
FXはいくらから始められる?
FXはいくらから始められるのでしょうか?最低必要資金(レバレッジ25倍)と推奨必要資金(レバレッジ10倍)、初心者向け必要資金(レバレッジ3倍)の3パターンで、通貨ペアは米ドル円、1通貨、1000通貨、1万通貨単位でドル買いをしたケースで見ていきましょう。
【FX取引で必要な金額(米ドル円の場合)※】
最低必要資金(レバレッジ25倍) | 推奨必要資金(レバレッジ10倍) | 初心者向け必要資金(レバレッジ3倍) | |
1通貨単位 | 約6円 | 約14円 | 48円 |
1000通貨単位 | 5,760円 | 1万4,400円 | 4万8,000円 |
1万通貨単位 | 5万7,600円 | 14万4,000円 | 48万円 |
※1ドル=144円で計算
ちなみに株式取引の場合、どれくらいの資金が必要になるのでしょうか?
東京証券取引所の各上場会社は、100株単位で取引できます。 これを元に計算すると、仮に株価が1株1,000円の銘柄の場合、1,000円×100株=10万円、つまり10万円の資金が必要です。
このことから、FXは株式よりも比較的少ない金額で始められることが分かります。
FXの必要資金は「取引単位・レバレッジ・通貨ペア」で変わる
FXの取引金額は、取引単位とレバレッジ、通貨ペアを元に計算をします。FXの取引金額の仕組みについて見ていきましょう。
FXの取引単位とは
FXの取引単位とは、「1口あたりの通貨の量」のことです。取引単位は1万通貨、1,000通貨、100通貨、1通貨
など があり、取引単位はFXの必要資金を考える上で重要な要素です。具体的な計算方法については後の章で紹介します。
FXのレバレッジとは

レバレッジとは「てこの原理」の「てこ」という意味があり、FXでは少ない資金で大きな金額分の取引ができる仕組みのことを表します。
例えば、1ドル100円で1万通貨分の取引をする場合、本来は100万円の原資が必要です。しかし、仮に10倍のレバレッジをかけると、100万円÷10(レバレッジ)=10万円となり、10万円の資金があれば、100万円分の取引が可能ということになります。
また、このケースで仮にレバレッジを25倍とした場合は、100万円÷25(レバレッジ)=4万円となり、4万円あれば100万円分の取引が可能です。
FXの必要資金を考える上では、取引単位と並んでレバレッジも重要な要素です。
必要資金が多い通貨ペア・少ない通貨ペア
ドル円、ポンド円、ユーロ円などのメジャー通貨は円と比べて価値が高いので必要資金も多くなり、トルコリラ 円、メキシコペソ円、南アランド円などのマイナー通貨は安く、必要資金も少なくて済む傾向があります。
例えばメキシコペソ円の場合、1メキシコペソは約7.1円(2022年9月末時点)なので、レバレッジなしでも、1万通貨を7万1,000円で購入できます。
米ドル円で1万通貨を購入するためには、おおよそ144万円(2022年9月末時点の為替レートで計算)であることを考えると、マイナー通貨の必要資金が少なくて済むことがおわかりいただけるでしょう。
FXの必要資金の計算方法

まずFXの必要資金は、「取引単位×購入する通貨の為替レート」で計算をします。
米ドル円の為替レートが1ドル100円で、最低取引単位が1,000通貨の場合、最低必要資金は100円(為替レート)×1,000通貨 =10万円です。
しかしレバレッジを25倍にした場合、10万円÷25(レバレッジ)=4,000円となり、本来は最低必要資金10万円が必要な取引でも、4,000円あれば取引が可能になります。
FX初心者はいくらから始めるのがおすすめ?
FXは数ある投資方法の中でもリスクの高い部類にあたります。初心者はまず5万円~10万円くらいの少額から取引することをおすすめします。
関連記事:FXを少額で始めるメリット・デメリット|少額取引に適したFX会社の選び方
少額資金でFX取引をおこなうメリット
少額資金でFX取引をおこなうメリットは主に以下の4つです。
- FXを始める「心的ハードル」が下がる
- 損失額を抑えられる
- 複数のポジションを保有できる
- 取引を多く経験できる
関連記事:FXの最低資金はいくらから?少額取引におすすめのFX会社の選び方も紹介
FXを始める「心的ハードル」が下がる
少額資金でFX取引ができると、FXを始めるための心的ハードルが下がる可能性があります。また、手元資金が一度に大きく減少することが無いので、継続もしやすくなるでしょう。
損失額を抑えられる
少額資金で取引ができると、損失額も抑えられる傾向があります。
例えば買いポジションで米ドル円を1万通貨保有していた場合、為替レートが1円円高になると発生する損失は1万円です。しかし、保有している通貨が1,000通貨であれば、1,000円の損失ですみます 。
複数のポジションを保有できる
最低取引単位が1万通貨で米ドル円を1ドル100円で購入する場合、レバレッジが25倍でも1つのポジションを保有するのに4万円の資金が必要ですが、1,000通貨単位で取引ができれば必要資金は4,000円ですみます 。
つまり最低取引単位が小さいと、少額資金で取引ができるため、複数ポジションの保有が可能です。複数ポジションの保有は、リスク分散につながる場合があります。
またドル円を保有している間、ユーロドルでチャンスがありそうだけれど、証拠金が不足して買えずチャンスを逃してしまった。少額資金で取引ができれば、こんなケースは減るかも知れません。
取引を多く経験できる
1回あたりの取引が少額なので、取引を何度でも行うことができるため、その結果多くの取引が経験できます。
例えば、テクニカル指標を生かしたトレード手法などは、一朝一夕で成功率が上がるわけではありません。こうした経験が必要なトレード手法も、少額資金で取引ができれば何度もチャレンジできるので経験値が上がり、ひいてはトレードの成功率の向上につながるでしょう。
少額資金でFX取引をおこなうデメリット
次に少額資金でFX取引をおこなうデメリットを見ていきましょう。
- 利益が少ない
- スワップポイントが少ない
- 損益が少ないことで真剣になれない人もいる
- レバレッジ次第でロスカットされやすい
利益が少ない
少額資金で取引をする場合、損失額は少なくなりますが、利益も少なくなります。
例えば買いポジションで米ドル円を1万通貨保有していた場合、為替レートが1円円安になると得られる利益は1万円です。しかし、保有している通貨が1,000通貨であれば、利益は1,000円になります。
1トレードにかかる時間は1万通貨で取引しても、1,000通貨で取引しても同じなので、少額資金での取引は効率が悪いと考えることもできます。
スワップポイントが少ない

スワップポイントとは、2国間の通貨の売買によって生じる金利差調整分のことです。
1ドル100円、アメリカの政策金利2.0%、日本の政策金利-0.1%とした場合のスワップポイントを計算してみましょう。なお、下記内容はあくまでも一例として参考にしてください。
このケースではアメリカと日本の金利差は2.1%なので、1万通貨保有している場合のスワップポイントは、{(100円×1万通貨×2.1%)÷360 }=1日あたり約58円になります※。
しかし、保有している通貨が1,000通貨の場合、同じ計算式で計算すると、受け取れるスワップポイントは約6円です。
したがって、保有している通貨量が多い方が、受け取れるスワップポイントの金額は大きくなります。
損益が少ないことで真剣になれない人もいる
少額資金でトレードすると何度でも取引ができるので経験を積むことができますが、それはあくまでも1回ずつテーマをもってトレードした場合です。損益が少ないからといって、大雑把なトレードを繰り返しても、自分の経験値にはならずトレードの成功率が上がりません。
同じトレードをするにしても、経験値が上がっているのと、そうでないのとでは、長い目でみると大きな差になっていくでしょう。
レバレッジ次第でロスカットされやすい

ロスカットとは、損失が発生した場合、投資家の損失がこれ以上拡大しないように、一定の証拠金維持率を下回ると、強制的に反対売買をする仕組みです。
レバレッジをかけて取引をすると、少額でも大きな金額と同等の取引ができるので、大きなリターンが期待できますが、損失が発生したときの損失額も大きくなります。レバレッジを25倍にすると取引量が増加することになり、レバレッジをかけないときと比べると損失は25倍です。
仮にレバレッジ1倍で1ドル100円のときに、100万円の証拠金で米ドルを1万通貨購入した場合、1ドル円高になれば1万円の損失ですみます。しかしレバレッジ25倍とすると2,500万円分の取引ができることになるため、1ドル円高になれば25万円の損失です。
このように高レバレッジの取引はわずかな値動きで追証を求められたり、ロスカットの水準に到達したりしやすくなります。
【ロスカット基準の計算例】
口座残高が200万円、為替レートが1ドル100円で、10万通貨を購入。証拠金維持率100%、 レバレッジ25倍の場合、約83.334円 で約16.666円高になるとロスカットの水準に到達します。
なお、同条件でレバレッジ10倍とした場合は、約55.556円で約44.444円、円高になるとロスカットの水準に到達します。
ただし通常の取引では証拠金維持率50%の場合、突然ロスカットになることはありません。証拠金維持率50%に到達する前に、追加で証拠金が求められ、証拠金を差し入れないとロスカットになります。
まとめ
FXはリスクが高い取引と言われていますが、少額資金で取引ができるので、損失を小さくできる可能性があります。その他にも少額資金での取引は、複数のポジションを保有できる、取引を多く経験できるなどのメリットがあります。
一方、利益がでても大きな金額にはならない可能性が高いこと、レバレッジをかけて少額資金で取引をする場合は、ロスカットになりやすい点には注意が必要です。
FX初心者の方は、少額資金からスタートすると、利益も少額ですが、損失も少なくなるのでおすすめです。しかし、FXトレードで利益を出すためにはトレード経験を積み重ねる必要があり、時間がかかるかも知れません。