FXのロスカットとは?計算方法や回避のコツ3つをわかりやすく解説

FXのロスカットとは、これ以上損失が拡大しないように、保有しているポジションを強制的に決済する仕組みです。ロスカットは基本的に投資家保護を目的とした仕組みのため、ロスカットがあっても原則、有効証拠金以上の損失が発生することはありません。ただし一部例外もあります。

この記事では、ロスカットの仕組みや、回避策、有効証拠金以上の損失が発生する事例について解説しています。

FXのロスカットとは

ロスカットとはFXの取引で一定額以上の損失が発生した場合に、損失をそれ以上拡大させないために保有していた全てのポジションを強制的に決済する仕組みです。ロスカットは強制的に決済されることから、「強制ロスカット」とも言われます。

損切りとの違い

ロスカットは損切りとよく混同されます。しかし、損切りはFXで含み損を抱えた投資家が、自身の判断で任意に行うものです。FX会社の基準を下回ると、強制的に決済されるロスカットとは大きく異なります。

マージンコールとの違い

マージンコールとは、ポジションを保持するために必要な最低資金を下回っていることを投資家に知らせ、FX会社が追加で証拠金の差し入れを求める仕組みのことを言います。追証(おいしょう)とも言われます。仮に期限までに最低資金を下回っている状態が解消されない場合は、ポジションが強制決済されます。

ロスカットの計算方法

FX会社はロスカットの判定基準として証拠金維持率を使用します。証拠金維持率とは、ポジション必要証拠金に対する純資産の割合のことで、以下の式で計算をします。

【ロスカットライン(証拠金維持率)の計算式】
証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100

なおインヴァスト証券のロスカットの証拠金維持率は100%となっています。証拠金維持率が低いとレバレッジリスクが高くなるため、レバレッジをかけ過ぎないよう注意が必要です。証拠金維持率を100%以下に設定しているFX会社は意外に多いため、利用するときは事前に証拠金維持率を確認しておきましょう。

有効証拠金とは

有効証拠金とはFX口座の残高と、含み損、含み益の合計額のことです。FX取引で為替差益を得たり、スワップポイントを得たりすると、有効証拠金は増加します。そして、為替差損やマイナススワップが発生すると、有効証拠金は減少します。

FX運用がうまくいかずに有効証拠金が減少すると必要証拠金を下回り、証拠金維持率が低下してしまうことになります。

必要証拠金とは

必要証拠金とはFX口座に預けておくべき必要最低限の金額のことを言います。必要証拠金は以下の金額で計算をしおます。

また、以下の計算式から、通貨ペアによって必要証拠金は異なり、取引数量が大きくなるほど必要証拠金が大きくなることがわかります。

【必要証拠金の計算式】
必要証拠金=現在の為替レート×取引数量×証拠金率
または、
必要証拠金=現在の為替レート×取引数量÷レバレッジ

例)1米ドル100円、取引数量1万通貨、レバレッジ25倍の場合(証拠金率4%)
100×1万通貨÷25倍(または×4%)=4万円

ロスカットが間に合わない原因

FXでは含み損の拡大によって強制ロスカットが発動すると、損失が確定してしまいますが、原則、証拠金維持率が100%の場合で1ドル100円であれば4万円未満の資金が最低限の資金残ります。しかしまれにロスカットが間に合わず、証拠金以上の損失を負う可能性があります。

ロスカットが間に合わない可能性があるのは次のようなケースです。

  • 急な価格変動
  • 窓開け

以下、詳しく解説します。

急な価格変動

株式市場や為替市場などで、ごくまれに相場が数秒、数分の間で大きく価格が変動するフラッシュクラッシュが起こることがあります。直近では2019年1月3日に米ドル円相場でフラッシュクラッシュが起きています。この日はわずか5分の間に、約4円も下落し、多くのトレーダーが強制ロスカットに見舞われました。

こうした急落時は下落のスピードが速すぎてロスカットが間に合わず、有効証拠金がゼロどころかマイナスになることがあります。有効証拠金がマイナスになると、マイナス分をロスカット等未収金としてFX会社に支払う必要があります。

窓開け

FXは土日の取引はできませんが、土日に為替レートに影響を及ぼすような大きな事件があると前週末の終値と、月曜日の始値が大きく乖離して、チャートが窓を開けたような状態でスタートすることがあります。これを窓開けと言いますが、窓開けも価格変動が急激のため、ロスカットが間に合わないことがあります。

ロスカットを回避する方法

ロスカットは投資家保護のためにある制度ですが、強制ロスカットになると多くの場合で損失額が大きくなりがちです。ロスカットを避けるため、以下のことを心がけましょう。

  • 低いレバレッジで取引する
  • 損切りルールに従う
  • 証拠金を追加で入金する

以下詳しく解説します。

低いレバレッジで取引する

レバレッジとはてこの原理のことで、レバレッジをかけることで少ない証拠金で大きな金額の取引ができます。10万円の証拠金があったとすると、10倍のレバレッジをかければ100万円の取引をすることが可能です。レバレッジを利用すれば、少ない証拠金で大きな利益を得られますが、失敗したときも同等の損失を出すおそれがあるため、過度なレバレッジの設定は控えましょう。

レバレッジは初心者のうちは1~3倍程度、慣れてきたとしても10倍程度に抑えておくと、比較的少ないリスクでトレードができます。

損切りルールに従う

どんなに熟慮してトレードに臨んでも、自分の想定とは反対方向に為替レートが動いてしまうことがあります。そのような場合も、「いつか上がるかも知れない」など根拠のない理由で放置するのではなく、一定額まで含み損が拡大したら損失を確定する「損切りルール」を決めておきましょう。損切りルールの例としては、「1円下がったら損切り」「50Pips下がったら損切り」「サポートラインを下抜けしたら損切り」などがあります。

いつか上がるかも知れないという根拠のない期待から、含み損がでているポジションを複数抱えている有効証拠金が減少しロスカットにつながりやすくなります。損切りを徹底して、資金効率の良いトレードを心がけましょう。

証拠金を追加で入金する

証拠金を追加すれば、ロスカットを回避することはできます。ただし証拠金を差し入れるのは、差し入れた後に利益が出る見通しがあるのかを確認してからにしましょう。その場しのぎで追加の証拠金を差し入れても、引き続き損失が続けば、何度も証拠金を差し入れることになる可能性もあるからです。

まとめ

FXでは、一定額以上の損失が発生すると、これ以上損失が拡大しないように保有しているポジションを強制的に決済するロスカットという仕組みがあります。ロスカットは、投資家の損失拡大を防ぐという趣旨で設けられている仕組みですが、ロスカットになると大きな損失につながる可能性があります。ロスカットを避けるために、低レバレッジの取引、損切りルールの徹底を心がけましょう。

FXの損切りルールが自分の中でまだ決まっていないため、まだ自信を持ってトレードができないという人は、自動売買も検討してみましょう。インヴァスト証券の「トライオートFX」は、予めプログラムされた内容に基づいて自動的に売買を繰り返すFX自動売買システムです。人間の感情が介在しないため、損切りで遅れることはありません。必ず利益が出ることを約束するものではありませんが、自分で取引をするのはまだ不安という人は、トライオートFXを活用してみましょう。