2018年の英ポンド円はどうなる?年間相場見通しと戦略

ブレグジットに対する思惑で、揺れる展開が続きそう。ただ、最後は失望か?

1.英ポンド円の注目点

 2018年の英ポンド円相場の注目点は以下の通り。
・ ブレグジットの行方
・ 英中銀の金融政策
・ 地政学リスク
・ 株価面?
・ 日銀の政策転換(?)
・ ドル円とポンドドルのモメンタム

■ ブレグジットの行方

 2018年も「ブレグジットの行方」が、ポンド相場の試金石となりそうだ。
英国はこれから2019年3月の離脱最終期限まで、移行期間の調整、通商交渉など調整を続ける見通し。スケジュール的に、現在明らかになっているのは、2018年3月までに移行期間などの調整、4月以降に、関税など包括的な通商関連交渉がスタートし、10月までに実務的には決着できないと、2019年3月の離脱は困難となる。
 EUサイドは、あくまで「いいところ取り」はさせないだろうし、この交渉が難航することは間違いない。またスコットランドの独立問題なども再燃する可能性があり、ともかく2018年のポンド相場は、2017年同様、こういった思惑で神経質な展開を続ける可能性に留意して対応したい。ただ、最終的に英国は、ブレグジットを後悔すると考えている。

■ 英中銀の金融政

 英中銀は、2017年11月に10年ぶりの利上げに踏み切った。ただ、これは利上げというより、2016年のブレグジット決定後の0.25%の利下げが、政策的な誤りであり、あくまで通常レベルに戻した程度と考えておくのが良い。当然2018年も、英中銀の利上げ姿勢が、ポンド相場に大きな影響を与える。
 また英国は、恒常的に貿易赤字国である。ポンド相場が上昇すれば、輸入物価を押し下げ、逆にポンド相場が下落すれば、インフレが上昇する。一方で英中銀が利上げすれば、ポンドが買われるが、ポンドの上昇がインフレを落ち着つかせることもあり、英中銀の利上げは、「表裏一体」となる。その面では、今年英中銀は、特にブレグジットの決着の行方やその影響を見極めるまで、利上げを躊躇する可能性も高い。ただ、再度利下げする可能性は低く、金利面では、ポンド相場の下値を支えそうだ。また以下の英10年物国債利回りの推移を見ても、今後は上昇傾向にあり、当面ポンド相場の下値を支える見通しとなる。

■ 地政学リスク

 2018年も地政学リスクは、大きな相場の懸念として残りそうだ。少なくとも北朝鮮は、核を搭載できるICBMの開発を終わらないと米国との会話のテーブルには付かない。今後も粛々とミサイル発射や核実験を継続すると見られ、随時リスク回避の展開が見えるだろう。一時的なリスクの動きが出れば、最悪の事態に陥らない限り、株やクロス円は押し目買いのチャンスが続くとみられる。

■ 株価面?

 株価面では、2018年も堅調が維持できるかは大きな焦点となるが、以下の日経平均株価の月足チャートを見ると現状の高値が既に上昇チャンネルの上限に近く、また過去4000円範囲で、一定の揉み合いが続いていることからは、早々と大きく2万5千円や3万円を目指すと見るのも難しい。直近では、株価とドル円相場の動きが乖離しているが、少なくとも日経平均がこの2万円から2万4千円のレンジで動くなら、大きく円売りが拡大するとは見づらい。あくまで相場の一定の下支え要因であり、引き続きリスク・オフの動きが見えた場合に、ポンド円相場の買い場を探すことが安全となりそうだ。

■ 日銀の政策転換(?)

 12月の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁は、引き続き低金利政策を維持すると表明しているが、2018年黒田総裁が任期を迎える。もし、交代があれば、その人事次第であり、思惑で相場が揺れる可能性はあるが、恐らく黒田総裁が再任されることは間違いないと考える。その場合一定の安心感が広がるだろうが、注意は、3月19日に任期を迎える両副総裁の人事で、中曽宏日銀副総裁は、恐らく日銀内部人事なので、持ち回りで変わる可能性が高いが、問題は岩田副総裁の去就。
 同氏は、2013年の就任時から「2年で2%のインフレ目標」を掲げた張本人であり、ある意味黒田総裁の現在の政策を裏で支える人間。もし、副総裁が変わった場合、同様にリフレ派が採用されるなら問題は大きくないが、直近では一部の元政策委員が、現状の緩和政策の維持に疑問を呈しており、副総裁次第では、「黒田日銀の政策」にも変化が出る可能性もありそう。既に同氏が、「リバーサル・レート」に言及しており、FOMCやECBが出口戦略を目指す流れの中で、日本の景気も好調を維持しており、今年、ETFの買入減額や「イールド・カーブ・コントロール」政策を見直す可能性もありそうだ。その場合、サプライズ的な円高もあるかもしれない。時期的には、ETFの買入では、これを決めた2017年7月の会合から一年で見ると今年も7月の会合で見直しの可能性があるかもしれない。またない場合も、9月以降の金融政策決定会合には注意しておいた方が良いだろう。 

■ ドル円とポンドドルのモメンタム

 ポンド円相場は、ドル円相場とポンドドル相場の影響を大きく受けるが、以下のドル円の月足とポンドドルの月足のモメンタム(スロー・ストキャスティクス)からは、両方とも買いサインとなっており、これが反転するまでは、ポンド円相場は買いが良い状況が続くか注目したい。

2.ファンダメンタルズ面

 ファンダメンタルズ面からは、英国のPMIの推移をチェックしておきたい。
 以下が、英国のサービス業、製造業、建設業のPMIの2010年からの推移だが、一時2015年のブレグジット決定後、この悪影響から、英経済が落ち込むとの見方が出ていだが、思いのほか堅調な展開が続いている。ただ、2019年に最終決定できるまでは、せいぜい横ばいぐらいに見ておくのが無難。つまり、その面では、英中銀が早々と金利を引き上げるという見方は、時期尚早となると見ておきたい。

3.テクニカル面

 テクニカル面で、ポンド円相場は、ブレグジット後2016年10月に116.85の安値まで急落も、過去の安値圏を前に下げ止まりを見せて反発的。オシレーターの反転もあり、今後も下値は、月足の転換線からは144.50前後、138.65-141.20ゾーンが維持されるとサポートから堅調が続く見通し。ただし、133.55-60を割れると126.45-132.25ゾーンなども視野となるが可能性は残るが、こういった位置が維持されると更に突っ込み売りの状況ではない。
 一方上値は現状の高値が基準線となる153.45-55で抑えられており、直ぐに上値追いはできない。ただ超えると雲の下限となる156.35-40などが視野となるが、丁度この位置が、フィボナッチ・リトレースメント(116.85-195.89)の半値となる156.37と重なる位置で、当面の良いターゲットとなる。更なる上昇は不透明だが、もし、こういった位置まで超えると160.65-164.10ゾーンまでの可能性は残るが、現状はやれやれの売り場となりそうだ。

4.予想レンジと戦略

 2018年のポンド円相場は、ユーロ円同様、ドル円やポンドドル相場のモメンタムの反転傾向、少なくとも英中銀が利下げに踏み切る可能性が低いことなどから、押し目買いが基本戦略となる。ただ、ブレグジットに対する懸念が恒常的に上値を押さえる可能性や英中銀が、利下げはなくとも、利上げにも慎重なスタンスを継続することで、追いかけて買うことは推奨されない。随時インフレ指標の動向や英MPCでの声明などの変化に注意が必要だが、年前半はしっかりと押し目を待って買うことが必要と見たい。
 一方年後半は、日銀の金融政策の転換リスク、加えて10月がブレグジットの事務的な最終交渉時期で、こういった時期に大きく値を下げる可能性も指摘される。大きな上昇が年央までにあれば、売り向かいも検討課題となりそうだ。
 想定レンジは、140円から157円として、具体的には、既に149.90-00が守られるなら、この手前から、買い場探し。割れるケースからは、140円ミドルから140円への調整があれば、再度買い狙い。この場合のストップは135.55割れなどで対応するかたちとなる。ただターゲットは、もし現状の高値153.45-55が抑えられるなら利食いながらだが、それでも押し目は買い直しながら、156円ミドルはグッドターゲットとなると見たい。また、更なる上昇の場合、160.65-164.10などは戻り売りも検討してみるが、165円などを超えるなら止めるぐらいの軽いスタンスで臨みたい。売りの場合の利食いは、148-150円ゾーン程度となる見通し。

5.英ポンド円相場の主なマーケットカレンダー

2018年の英ポンド円相場に影響を与えると見られる主な重要材料は以下の通り。
また、発表予定やイベントは、現在把握できるものに限っていますが、変更や追加になることもあるので、その点は留意して対応して下さい。