2018年の豪ドル円はどうなる?年間相場見通しと戦略

【最新】2019年の相場見通しはこちら >> 豪ドル円 – 年間相場見通しと戦略【2019年版】

上値は追えない。あくまで、2019年を睨んで、深めの押し目待ち!

1.豪ドル円の注目点

2018年の豪ドル円相場の注目点としては、以下の通り。
・ インフレの動向
・ 中国経済の動向
・ 商品市況
・ NZドルとの関係
・ 日銀の政策転換(?)

■ インフレの動向

豪ドル相場は、過去高金利通貨で人気があったが、現在の1.50%の金利は、高金利とは言えず、人気が離散気味。ただ、「安全通貨」という面もあり、未だトレーディング的には人気があるようだ。ただ、長期投資としては、RBAのスタンスが利上げに傾くまでは、押し目は買っても反発では利食いながらの方が良さそう。  特に豪州はインフレ・ターゲットを2%から3%と想定しており、インフレが上昇しないと利上げの可能性が低く、今後も4半期ごとに発表される消費者物価指数(CPI)を丹念にチェックして、次期を待つスタンスを維持したい。逆に上昇の芽が見えるなら積極的に買っていきたい。

■ 中国経済の動向

豪ドル相場は、ご存知の通り中国経済との関係が強い。特に石炭などの資源輸出が、豪州経済を支えているが、直近では中国経済の減速傾向が見えており、一部の報道では、2018年の中国GDPが、6.50%に減速するとの見通しも出ている。 以下はRBAのHPからの抜粋であるが、中国のPMIはまだ堅調を示しているが、工業生産、小売売上や資産投資など減速が強まっており、2018年の豪ドル相場も、中国経済の減速傾向が相場の圧迫要因となることは留意しておきたい。

■ 商品市況

一方で、商品市況は一時の下落から反転傾向が見えており、これは資源国通貨としての豪ドル相場の下支え要因となるが、以下のCRBインデックスのチャートからは、200ポイントなどが上値を押さえると上昇も覚束ない。特に原油価格が2018年もOPECの減産政策から底堅く推移できるかは、豪ドル相場の試金石となる。

■ NZドルとの関係

豪州経済は、オセアニア圏として、NZとの関係が深い。現状はNZの方が1.75%の政策金利で豪ドルに勝っているが、今後も豪ドル相場を左右する意味では、NZ経済やNZ中銀の政策の変化、加えてAUD/NZD相場の行方は、大きな焦点となる。  ただ、AUD/NZD相場のテクニカルからは、過去2-3年の期間で、底値圏を形成、またオシレーターもダブル・ボトムをつけると反転傾向となるが、今回も既に安値圏でダブル・ボトムを見せており、今後反発の期待感となる。それでも相場の中間値である1.21レベルをしっかりと超えることが必要だが、AUD/NZD相場の動向が豪ドル相場を支えてくれるか注目したい。

■ 日銀の政策転換(?)

12月の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁は、引き続き低金利政策を維持すると表明しているが、2018年黒田総裁が任期を迎える。もし、交代があれば、その人事次第であり、思惑で相場が揺れる可能性はあるが、恐らく黒田総裁が再任されることは間違いないと考える。その場合一定の安心感が広がるだろうが、注意は、3月19日に任期を迎える両副総裁の人事で、中曽宏日銀副総裁は、恐らく日銀内部人事なので、持ち回りで変わる可能性が高いが、問題は岩田副総裁の去就。
同氏は、2013年の就任時から「2年で2%のインフレ目標」を掲げた張本人であり、ある意味黒田総裁の現在の政策を裏で支える人間。もし、副総裁が変わった場合、同様にリフレ派が採用されるなら問題は大きくないが、直近では一部の元政策委員が、現状の緩和政策の維持に疑問を呈しており、副総裁次第では、「黒田日銀の政策」にも変化が出る可能性もありそう。既に同氏が、「リバーサル・レート」に言及しているが、FOMCやECBが出口戦略を目指す流れの中で、日本の景気も好調を維持しており、今年、ETFの買入減額や「イールド・カーブ・コントロール」政策を見直す可能性もありそうだ。その場合、サプライズ的な円高もあるかもしれない。時期的には、ETFの買入では、これを決めた2017年7月の会合から一年で見ると今年も7月の会合で見直しの可能性があるかもしれない。またない場合も、9月以降の金融政策決定会合には注意しておいた方が良いだろう。

2.ファンダメンタルズ面

豪州のファンダメンタルズ面は、それほど悪い印象はないが、現状のGDPの推移からは、懸念も残りそう。この辺が3%程度まで回復できないとなかなかRBAも利上げには踏み切りづらい。CPIの動向を合わせてみる必要はあるが、一応見通しとしては2018年内のRBAの利上げの可能性は低いのかもしれない。ただ、将来的には、世界的な景気回復もあり、持ち直し期待となるが、恐らく利上げも、2019年などを待つ形となりそうだ。

3.テクニカル面

テクニカル面で、豪ドル円相場は、現状比較的堅調だが、ただ月足チャートからは、過去105.44と102.85の高値をダブル・トップとした長期の「H&S」を形成しており、これを手掛かりと見ると、当面72-73円の下値圏と90-91円の高値圏とのレンジが続く可能性が高い。またオシレーターもデッド・クロス気味で、左肩の展開が2009年9月から3年8カ月程度の期間を経ていることを考えると、右肩も同様と仮定するなら2019年4月末まで続く可能性があり、ブレイクの期待感は時期尚早となる。また左肩は高値を3回持っており、右肩は若干不透明だが、再度の上昇が上値を押さえる可能性は残っている。従って、2018年度中は、90-91円に迫る上昇も更に上値を追う状況とは見えない。

一方下値はオシレーターの反落気味から戻しており、上昇サポートとなる84.30-40の維持では良いが、もし割り込むなら81.45-80ゾーン、更に80円のサイコロジカルなども視野となるが、過去の半値圏であり、こういった維持では更に下落は拡大しない。ただ割れると74.55-76.80ゾーンなどの可能性が残ることは留意しておきたい。

一方豪ドルの対ドル相場を見てみよう。こちらはオシレーターにデッド・クロス気味の状況が見えており、まだ不透明だが、しっかりと割れると再度0.7000方向への調整がありそう。ただ、維持できれば、更に調整は拡大しない見通しだが、こういった面が豪ドル円相場の上値を押さえる可能性に注意したい。リスクは0.6825-30の安値割れで、割れると調整が深まる。一方上値はあくまで0.8125-65の高値圏を超えて、0.8660から0.9000方向の上昇期待となる。

4.予想レンジと戦略

総合すると豪ドル円相場は、少なくとも上値を買うべきではない。RBAが利上げスタンスに変わるなら目を瞑っても買いで良いと思われるが、前述の通りそれも、2019年以降の話となりそう。
想定レンジは、75円から91円として、現状の反発ではロングは利食い優先で、91円方向への上昇があれば、売り狙いも検討してみたい。ストップは95円超えなどで対応する。買いは再度高値をつけた後の調整局面となるが、84.30-40を割れる展開が来れば、80円方向の調整で、下げないリスクを考えながら、さらに75円方向、更には72円まで買い下がれる余裕を持って対応できれば良い。恐らくこういった調整は、2018年の後半で、日銀が金融政策を引き締めるような状況での期待感となるが、そういった下落局面では、2019年のRBAの利上げ期待やテクニカル面での対NZドルでの上昇要因から、積極的に買い場を探すイメージとなる。

5.豪ドル円相場の主なマーケットカレンダー

2018年の豪ドル円相場に影響を与えると見られる主な重要材料は以下の通り。
また、発表予定やイベントは、現在把握できるものに限っていますが、変更や追加になることもあるので、その点は留意して対応して下さい。