消費者物価指数の結果と投資戦略

■消費者物価指数

4月12日に発表された3月の消費者物価指数は先月から急改善の5%でした。

(出典:労働省労働統計局)

しかし市場の反応はいまひとつでした。その直接の理由は食品・エネルギーを除いたいわゆるコア指数が5.6%と悪かったためです。

実は今回の消費者物価指数の改善は原油価格の下落に因る部分が大きいです。思い出して頂ければ去年の2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、3月のコモディティ相場は大荒れになりました。あれからちょうど1年が経ち、いまは前年比較が容易になったというわけです。

食品・エネルギーを除いたコア指数にぜんぜん改善が見られなかったのは、そのような理由によります。

■FRBの次の一手

さて、連邦準備制度理事会(FRB)はコア指数の動きを注視すると思います。コア指数に改善が見られていないということは5月3日に予定されている次の連邦公開市場委員会(FOMC)でも既にシグナルされている通り、0.25%の利上げが行われると考えるのが順当です。

たぶんこれが最後の利上げで、それ以降はとうぶんの間、政策金利は5.00~5.25%の水準で水平飛行に入ると思われます。

ただ3月中旬に銀行セクターに不安が走ったことでアメリカが景気後退に陥るリスクがやや高まったことを考えると水平飛行の期間はやや短くなると考えるのが自然でしょう。

市場参加者は夏にも利下げが始まると予想していますが、それはやや気の早い考えであり、トレーダーの目論見通り利下げが始まらなければ落胆売りが出るリスクもあります。

■まとめ

3月の消費者物価指数がざっくりと改善し5%で入ってきたことはFRBのこれまでの処方が正しかったことを証明しました。いよいよ5月3日のFOMCで「利上げ打ち止め」が宣言されると思います。株式市場はこれを好感すると思います。ただし夏以降の政策金利の行方に関してはFRBがシグナルしていることと市場参加者の考えている事が大きく食い違っており、この溝を埋める必要があります。株式市場的にはそれが何を意味するか? と言えばしばらく足踏みの局面に入るリスクがあるということでしょう。