FXのやり方・始め方を初心者向けにわかりやすく解説|リスクを減らす方法や注意点も説明

FXを始めてみたいけれどリスクが高いので、なかなか気が向かないという人はいませんか?FXは確かにリスクの高い投資ですが、やり方次第ではリスクを抑えることもできます。

この記事では、FX・投資初心者向けにFXのやり方・始め方をわかりやすく解説しています。FXを始めたい、あるいは始めたばかりだけれど不安という方はぜひ最後までお読みください。

FXのやり方・始め方

FXのやり方・始め方
図:取引画面はイメージです

まずは、FXのやり方・始め方について紹介します。

FX会社選びから、実際にFXで収益を得るまでの流れは次の通りです。

  • ステップ①FX会社を選ぶ
  • ステップ②取引するFX口座を開設する
  • ステップ③証拠金をFX口座に入金する
  • ステップ④通貨ペアを選ぶ
  • ステップ⑤新規注文を発注する
  • ステップ⑥保有しているポジションを決済する

順番に解説していきます。

ステップ①FX会社を選ぶ

FXを始めるにあたり、まずは自分にあったFX会社を選びましょう。FX初心者が、FX会社を選ぶときは以下のポイントを重視します。

●スプレッドの狭さ
通貨の売値と買値の差をスプレッドと言います。スプレッドはFX取引にかかる実質的なコストになるので、損益に影響を与えます。スプレッドはなるべく狭いものを選びましょう。

●通貨ペアの数
FXはたくさんの通貨ペアでトレードができます。資源価格が上昇すると強くなる通貨や、金利の高い通貨、値動きが大きくハイリスク・ハイリターンの通貨など、通貨によって特徴はさまざまです。取り扱っている通貨ペアが多ければ、投資の選択肢が増えるため、さまざまな投資チャンスに対応できるようになります。

●少額取引が可能か
FXはリスクの高い投資です。ただ、最近では数百円からスタートできるFX会社もあります。少額取引なら、損失は大きくならないので FXの経験を積むことができます。

●約定力があるか
約定力とは投資家の希望通りの価格で注文を成立できる力のことです。 約定力が低いと、 取引が成立しなかったり、 希望よりも高い価格で買い付けをしたりすることがあります。 約定力はFXの損益に影響してくるので、重要なポイントです。

●取引ツールの使いやすさ
取引ツールが使いにくいと、 購入する通貨の量を間違えたり、 購入する通貨を間違えたりする可能性もあります。 自分にとって、使いやすい取引ツールを提供しているFX会社を選びましょう

ステップ②取引するFX口座を開設する

自分に合った FX会社を見つけたら、 さっそくFX 口座を開設してみましょう。FX会社のサイトの申込み画面に、住所・連絡先などの必要な情報を入力し、本人確認書類とマイナンバーカードを提出します。最近では、スマートフォンで自分自身と本人確認書類を撮影するだけで、手続きが完了するFX会社もあります。

【FX口座開設に必要な書類】
FX口座開設のためには、マイナンバー書類と本人確書類が必要です。

<マイナンバー書類>

  • マイナンバーカード
  • 通知カード
  • 個人番号付の住民票の写し

<本人確認書類>

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 住民基本台帳カード
  • 健康保険証
  • 印鑑登録証明書

上記のうち、いずれか2種類が必要になるものもあります。

申込みフォームに入力をし、 必要書類を提出すると審査に入ります。 審査で問題がなければ FX口座が開設されます。

ステップ③証拠金をFX口座に入金する

FX口座を開設したら、証拠金をFX口座に入金します。証拠金とは、FX会社に預ける資金のことで、担保のような役割を果たしています。

FX取引は、売買の都度、代金を受け渡すのではなく、決済時に生じた損益の受け渡しのみを行う仕組みです。こうした取引を「差金決済」といいます。実際に取引をスタートして、利益が発生すれば利益が証拠金に加算され、損失が発生すれば証拠金から差し引かれます。

有効証拠金の構成フロー
証拠金を預ける→レンタル(実質的に)→エントリー(ポジション保有)→含み損益発生

ステップ④通貨ペアを選ぶ

証拠金を入金したら、いよいよ通貨ペアを選びます。各FX会社ともに多くの通貨ペアを用意していますが、初心者は、流通量が多いもの、値動きが比較的小さいもの、通貨に関する情報が多いものを選びましょう。

具体的には、以下の通貨が初心者におすすめです。

  • 米ドル/円
  • ユーロ/円

米ドルやユーロは流通量が多く取引参加者も多いことから、価格変動率(ボラティリティ)が安定しています。また、流通量が多い通貨は、FX取引にかかる実質的なコストにあたるスプレッドが小さい傾向があるので、低コストで運用ができます。米ドルやユーロに関する情報はニュースやテレビで比較的容易に得られるのでおすすめです。

こうしたメジャー通貨と別に、トルコリラや南アフリカランド、メキシコペソといったマイナー通貨もあります。このような通貨は金利が高いので高金利通貨と言われます。高金利通貨は、トレード手法によっては魅力のある通貨ですが、情報も少なく、値動きが大きいため初心者にはおすすめできません。高金利通貨はトレードに慣れてきてからチャレンジしましょう。

ステップ⑤新規注文を発注する

取引する通貨ペアが決まったら、今度は実際に発注をしてみましょう。ここでは3種類の注文方法を紹介します。

●成行(なりゆき)注文
レートを指定しない注文方法です。注文を入れると、現在のレートですぐに売買が成立します

●指値注文
売買するレートを指定する注文方法で、現在のレートよりも有利なレートで買いたい(売りたい)ときに利用する注文方法です。注文を入れておけば、希望価格になると自動的に売買が成立します。希望価格に到達せず、売買が成立しないこともあります

●IFD注文
If done(イフダン)と読みます。新規注文が約定すると、同時に決済注文が有効になる注文方法です。

ステップ⑥保有しているポジションを決済する

保有しているポジションと反対の取引をすると決済となります。つまり、買いポジションでエントリーしたときは売却、売りポジションでエントリーしたときは、買い戻しをすることで決済され、損益が確定します。

FXを始めるうえで理解しておくべきリスク

FXを始めるうえで理解しておくべきリスク

FXでは次のようなリスクがあることを、あらかじめ理解しておきましょう。

  • 基本的にハイリスク・ハイリターンの投資商品である
  • 為替変動で損失が発生する可能性がある
  • ハイレバレッジが原因で大損失や追証が発生する可能性がある

それぞれのリスクを詳しく解説します。

基本的にハイリスク・ハイリターンの投資商品である

FXは、基本的にハイリスク・ ハイリターンの投資商品です。 ただし、リスクについてはレバレッジの調整によってある程度コントロールすることは可能です。レバレッジについては、この後の章で詳しく解説します。

為替変動で損失が発生する可能性がある

FXは、目まぐるしい為替変動を利用して利益を出す方法ですが、 為替変動によって損失が発生する可能性があることも知っておきましょう。

ハイレバレッジが原因で大損失や追証が発生する可能性がある

FXは、 レバレッジを利用することで大きな収益を得ることができます。レバレッジとは「てこの原理」の「てこ」を表しており、FXでは実際の資金(証拠金)よりも大きな取引ができる仕組みのことを言います。

レバレッジ取引とは
小さな元手で大きく取引できる仕組み

100万円の証拠金がある場合、レバレッジ3倍では300万円分、レバレッジ20倍では、2,000万円分の取引が可能です。ただし、仮に損失が発生した場合は損失も、それぞれ3倍、20倍になるので注意が必要です。

損失が大きくなると、担保のような役割を果たす証拠金が不足し、FX会社から追加の証拠金を入金するように求められます。これを追証(おいしょう)といいます。

追証を求められても、規定の水準まで証拠金を入金すれば問題はありません。しかし、大きく証拠金が不足すると、保有しているポジションが全て強制的に清算されてしまうことがあります。これをロスカットと言います。

ロスカットは、投資家がこれ以上損失を広げることがないように各FX会社が用意しているセーフティネットですが、ロスカットになると大きな損失に繋がる可能性があります。初心者のうちは、低レバレッジでの取引を心がけましょう。

FX初心者におすすめ!失敗リスクを減らすやり方

FX初心者におすすめ!失敗リスクを減らすやり方

FX初心者が失敗するリスクを減らすには、次のような方法があります。

  • FXの基礎知識を身につける
  • 余剰資金で取引を始める
  • 証拠金に余裕を持たせておく
  • 低レバレッジで取引を始める
  • あらかじめ損切りラインを決める
  • 相場の分析方法を理解する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

FXの基礎知識を身につける

FXで損失が発生するのは、FXに関する基礎知識が不足している可能性があります。

FXに関する基礎知識が不足していると、通貨の値動きの特徴を理解していなかった、為替レートの値動きを左右する経済指標の発表を見落としていたなどの理由で、思わぬ損失を被る可能性があります。

「アメリカの長期金利が上昇すると米ドル/円は円安に向かう傾向がある」「FOMCで政策金利の発表があると結果次第で為替レートが大きく動く」などといった情報は、トレード経験を積むことで養われていくものですが、書籍や新聞、経済に関するテレビ番組を日々チェックしておけば回避できる可能性があります。

余剰資金で取引を始める

FXはリスクの高い投資なので、余剰資金で取引を始めることが基本です。自分の預貯金やその他の資産を色分けして、余剰資金を把握することから始めましょう。

まず、自分の資産を、日常的に生活で使う資金、将来の生活やイベントに備える資金、使い道の決まっていない余剰資金の3つに分類します。このうち、余剰資金は以下の計算式で計算します。

【余剰資金の計算方法】

余剰資金=全体の資産-{(日常的に生活で使う資金(毎月の生活費の半年~1年分程度が目安))+将来の生活やイベントに備える資金}

余剰資金=全体の資産-{(日常的に生活で使う資金(毎月の生活費の半年~1年分程度が目安))+将来の生活やイベントに備える資金}

当面の生活費や将来の備えは確保できていて、余剰資金の範囲内で投資をしていれば、仮にFXで損失が発生したとしても精神的な負担は比較的少なくて済むでしょう。

証拠金に余裕を持たせておく

高レバレッジでFX取引をして、ロスカットが発生すると大きな損失が発生してしまいます。思わぬロスカットを発生させないためには、使う・使わないは別として、多めの証拠金を用意しておくように心がけましょう。

1ドル100円、10,000通貨をレバレッジ25倍で取引をする場合の必要証拠金は4万円ですが、わずかな為替レートの変動でロスカットにならないよう、このケースでは、FX取引口座に2倍の8~10万円程の証拠金を入金しておきましょう。

低レバレッジで取引を始める

レバレッジをかけることで、少額でも大きな取引ができる点はFXの魅力ですが、初心者のうちは低レバレッジでの取引をおすすめします。最初はレバレッジ1~3倍から、慣れても10倍程度にとどめておきましょう。

あらかじめ損切りラインを決める

損失が発生すると、いつか上がるかもしれないと期待してしまいがちです。しかし、こうしたケースでは期待通りにならず、さらに損失を広げる原因になります。そのため、この水準に達したら損切りするという「損切りライン」をあらかじめ決めておきましょう。

【損失ラインの決め方】

●損失額で決める方法
10万円の取引で3,000円の損失が発生したら損切りする、など

●pipsで決める
10pips損失が発生したら損切り、20pips損失が発生したら損切りする、など

●テクニカル分析で決める
ローソク足が長期の移動平均線を触れる、あるいは下に抜けたら損切りする、など

しかし、損失が発生すると、冷静に対処できない場合があるので、機械的に損切りをする仕組みを作っておくことをおすすめします。

機械的に損切りできる仕組みである、逆指値注文やOCO注文、IFO注文についてそれぞれ紹介します。

逆指値注文とは?
売買するレートを指定する注文方法で、指値注文とは逆に、現在のレートよりも不利なレートになったら買いたい(売りたい)ときに利用する注文方法です。指値注文同様、希望価格に到達しなければ売買は成立しません。逆指値注文は、損失の拡大を抑えたいときに有効な注文方法です。
OCO注文とは?
One Cancels the Otherの略で、2つの注文を同時に出し、一方が約定すると、もう一方の注文がキャンセルされる注文方法です。利益確定の指値と、損切の逆指値を同時に出すことができます。
IFO注文とは?
IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。新規注文が約定すると、OCO注文が有効になるという注文方法です。

相場の分析方法を理解する

為替レートの値動きを予想する方法には、テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類あります。

相場の分析方法を理解する

●移動平均線
テクニカル分析の一種で、過去の一定期間の平均値を結んだ線のことです。移動平均線が下向きなら、下降トレンド、上向きになっていれば上昇トレンド、横ばいならトレンドなしと判断します。

図:インヴァスト証券作成

●ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は経済の状態や金融政策の結果から、為替相場に与える影響を分析する方法です。同じ指標でも、そのときの経済情勢によって見方が異なりますが、代表的な2つの指標の2022年度時点での考え方を紹介します。

米消費者物価指数…消費者物価指数が予想を上回ると、FRBの金融引き締めが今後続くとの見方が強まり、円安ドル高に。逆に弱くなると、金融引き締めペースが鈍化するとの見方が広がり、円高ドル安に向かいます。

米雇用統計…予想を上回る結果になると、雇用に対する需要はまだ旺盛で、FRBの金融引き締めが不十分と判断され円安ドル高に。予想を下回ると、景気減速が意識され、FRBの金融引き締めペースが鈍化するとの見方が広がり、円高ドル安に向かいます。

デモトレードで練習する

初心者はFX会社で用意しているデモトレードの活用がおすすめです。デモトレードは、仮のFX口座で資金が与えられて、通常のFXと同等の取引ができます。もちろん利益が出ても自分のものにはなりませんが、操作方法や値動きなどを体験できるので、実際にFXを始めてみたけれど思っていたものと違った、という事態は避けられます。

最低でも1ヶ月は継続的にデモトレードで練習しておくことをおすすめします。

関連記事①:FX初心者によくある失敗事例7選|失敗の回避方法や注意点

関連記事②:FXを始める前に知っておきたいFXの危険性/リスク6選|失敗を回避するコツ

FXをおこなう際の注意点

FXをおこなう際の注意点

FX取引で利益が出た場合、利益に対して20.315%の税金がかかり、原則確定申告が必要です。

ただし、その他の所得とFX取引で得た利益の合計額が20万円以下の場合や、自営業、フリーランスでFXの所得を含めても基礎控除48万円を超えない場合、確定申告は不要です。

また、FXの収入は雑収入なので、その他の「先物取引にかかる雑所得」があれば、損益通算が可能です。

関連記事:「FXはやめとけ」と言われるのはなぜ?向いてる人・向いていない人

まとめ

FXのやり方・始め方を初心者向けにわかりやすく解説|リスクを減らす方法や注意点も説明

FXは比較的気軽に口座開設ができます。しかし、FXは決してリスクが低い取引ではありません。ただし、やり方次第ではリスクを抑えて運用することも十分可能です。

FXをこれから始めてみたい人は、今回紹介した初心者におすすめの失敗リスクを減らす方法を活用して、FXをスタートしてみましょう。