10月のマーケット展望

1.短期の相場見通し

 S&P500指数の向こう一ヶ月のターゲットは2950を維持します。現在、S&P500指数は新値圏にあるため株価が上方にオーバーシュートすることも十分に考えられます。

次に原油価格に目を転じると、ベネズエラ、イランなどにおける供給減少リスクを反映し、じりじりと上昇してきています。

 11月からはイランへの経済制裁が再び始まるため、原油には先高観があります。

2.経済の現況

 927日に発表された第2四半期の米国のGDP成長率(最終値)は前回の暫定値に一致する4.2%でした。

3四半期にかけて米国のGDP成長率はやや鈍化すると見られています。その一因は米中貿易戦争です。しかし米国のGDP7割弱を占める消費は堅調(第2四半期は年率+3.8%)なのでそれが経済を下支えすると思われます。

3.企業業績の現況

企業業績は絶好調です。下はS&P500指数の一株当たり利益のチャートです。

次にS&P500指数の四半期EPSが前年同期比でどれだけ伸びたか? をチャートにしたのが下です。

これを見ると2018年は1Qから4Qまで全て前年同期比で+20%以上を達成できるという見通しになっています。これは素晴らしい利益成長です。
ひとつの要因として下半期は米国企業の海外利益の米国への送金のペースがやや衰えると予想されます。そのことは自社株の買戻しのペースも減速することを示唆しています。四半期EPSの伸びがこれまでの強烈なペースからやや衰えるのはそのためでもあります。

4.注目イベント

 116日はいよいよ中間選挙です。このため市場関係者はだんだん選挙を意識するものと思われます。リアルクリアポリティクスによると上院議員選挙では現在共和党が47議席取り、民主党が44議席取ると見られています。どちらともわからない議席数は9議席です。このところ、やや共和党の見込み獲得議席数が減り(-2)、どちらともわからないが増えました(+2)。
一方、下院議員選挙では現在民主党が206議席取り、共和党が189議席取ると見られています。どちらともわからない議席数は40議席です。7月頃、両党の差は縮まりましたが、現在は再び民主党のリードがやや拡大中です。

5.注目ETF

米中貿易戦争がエスカレートしている関係で中国株は不安定な状態が続いています。iシェアーズ中国大型株ETF(FXI)は中国株を対象としたETFです。したがって事の成り行きによってはこのETFをショートするというトレード方法が考えられると思います。
 926日に実施された連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げが実施されましたが、このように米国が利上げしている局面では新興国株式は神経質な動きになることが知られています。バンガードFTSEエマージング・マーケッツETFVWOは中国、台湾、インド、南ア、ブラジル、メキシコなどの新興国に投資するETFです。場合によってはこのETFをショートするという投資方法も考えられると思います。
 iシェアーズ・ラッセル2000ETFIWMはアメリカの小型株に投資するETFです。いまアメリカの景気が良く、世界の市場がそれに劣後しているということは輸出比率の高いアメリカの大型株よりむしろ中小型株の方が良いことを示唆しています。したがってこのトレンドが続くと仮定するのであればIWMをロングするという戦法が考えられます。
 一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド(XLYは消費者が財布のひもを緩めたとき潤う消費関連銘柄を組み込んでいます。いまアメリカの消費者のセンチメントは強いです。したがってこの傾向が継続すると考えるならばXLYをロングするという手法が有効です。
先月、バリックゴールド(ABX)とランドゴールド(GOLD)の合併が発表されましたが、産金会社は金価格の低迷でM&Aブームがおこる可能性があります。SPDRゴールド・シェア(GLDは金地金の価格に連動するETFです。

6.まとめ

米国株式は新値圏にあり目先は一段高も期待できます。米中貿易戦争の影響がじわじわ出て米国経済の成長に衰えが見られる可能性があります。116日に中間選挙を控え、投資家は政治のニュースに敏感になると予想されます。