アメリカのマーケット展望【2024年12月度】

短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは6,000とします。

通常、12月ならびに1月は例年相場が良い月として知られています。今年の場合、11月5日の総選挙でドナルド・トランプ氏が勝利したことで市場参加者が米国経済に対し楽観的になった為、短期的にはやや買われすぎになっています。

したがって12月中に軽い下押しがあるかも知れませんが、基本、それは買い場だと思います。

強いて言えば今年の相場のリーダーだったGAFAM、すなわちアルファベット(GOOG)、アップル(AAPL)、メタ(META)、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)の各銘柄の動きが鈍い点が気になります。

アルファベットの場合、グーグル検索のビジネスがオープンAI(未公開会社)のチャットGPTからの競争に晒されていることを懸念する投資家が多いです。 メタの場合、大統領選挙が終わったので、選挙キャンペーン期間中の高水準の広告売上が無くなることで売上モメンタムの鈍化が懸念されます。加えてトランプ政権はイーロン・マスクの「X」に傾斜する一方でメタが所有するインスタグラムやフェイスブックは敵視しているのでそれを不安に感じる投資家も居ると思います。

米国経済の現況

トランプ氏が次期大統領になることでビジネス界や国民の間にはアニマル・スピリットが戻ってきていると言われています。これは目先の米国の消費にとってプラスの材料です。いまアメリカはクリスマス商戦期間の真っ最中ですが概ね順調に推移しているようです。

トランプ氏は来年1月に大統領に就任するとカナダとメキシコに対し直ちに25%の関税を課し、中国にも現行の関税に10%の追加関税を上乗せすると発言しています。もしこれが実行に移された場合、それはインフレ誘発要因になるかも知れません。

その関係で連邦準備制度理事会(FRB)は利下げに慎重な態度になりはじめています。

特に自動車産業は米国で売れている新車の3分の1は、実はメキシコとカナダで組み立てている関係で、上記の関税が実施に移されるとコスト増に見舞われる恐れがあります。 これらのことから2025年上半期の米国経済の見通しについては不透明な要因が増えてきていると言えるでしょう。

企業業績

第3四半期の決算発表シーズンはおおむね終了し、EPSでは大体例年並みに事前予想を上回る企業が出ましたが、売上高で事前予想を上回った企業はいつになく少なかったです。これは第3四半期中に為替が一時ドル安に転じたことがある程度影響していると思われます。しかし今後の予想に関してはいまのところ余り変化がありません。ただし新年を迎えるとアナリストが予想を大幅に変更することが例年行われます。それに加えて今回は大統領選挙の結果を受けて予想を変えるアナリストも多数出ると思われます。

注目CFD

大統領選挙の結果を受けて11月に米国株が急伸した反動で月初は米国D30(NYダウ)、米国NQ100(ナスダック100)、米国S500(S&P500)、米国R2000(ラッセル2000)、日本225(日経225)などのインデックスは利食い先行で始まるかも知れません。その場合、例年12月、1月は相場が良いことが知られているので、慌てず、バーゲンハンティングのチャンスをうかがうべきだと思います。