9月のマーケット展望

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう一ヶ月のターゲットはこれまでの2870から2950へ引き上げます。現在、同指数は新高値圏にあり値動きが軽くなりやすい局面です。従ってマーケットが上にオーバーシュートするというシナリオもありうると思います。

93日はレーバー・デイの休日です。アメリカは学校の新学期が9月から始まる関係でレーバー・デイ明けの火曜日はちょうど日本で言えば桜の咲く4月に相当し、学生やビジネスマンが心機一転、新年度で張り切る時期です。

それを株式市場の文脈で解説すればこの時期は往々にして相場の物色の流れがガラリと変わりやすい時期だと言われています。一例としてアメリカが未曾有の大恐慌に巻き込まれる原因を作った1929年の「暗黒の木曜日」へとつながる株安はレーバー・デイ明けが起点となりました。

もっと最近ではリーマンショックのあった2008年はレーバー・デイの後から急転直下の金融パニックが始まりました。
したがって皆さんもレーバー・デイの後はマーケットの「場味(ばあじ)」に変化が出ないかどうか細心の注意を払ってください。

 

■経済の現況

米国経済は快調に飛ばしています。829日に発表された第2四半期のGDP(改定値)は速報値をさらに上回る前期比+4.2%でした。

一方、米国10年債利回りは引き続き3%以下で推移しています。普通、市中金利と株式は「シーソー」の関係にあり、市中金利が上昇すると株式には下落プレッシャーが働きます。

その観点から言えば10年債金利が3%以下で推移しているということは株式にとってたいへん支援的と言えるでしょう。

景気がこれほど強いにもかかわらず長期金利が安定している背景には市場参加者のインフレに対するエクスペクテーション(期待)が、引き続き極めて低いからだという説明をすることができると思います。

 

■企業業績の現況

企業業績は絶好調です。下はS&P500指数の一株当たり利益のチャートです。

 

2018年と2019年のコンセンサス予想は去年のクリスマス直前に税制改革法案が成立して以来、じりじりと着実に上がってきています。このように安定的にコンセンサス予想が伸びる事は極めて稀です。

次にS&P500指数の四半期EPSが前年同期比でどれだけ伸びたか? をチャートにしたのが下です。

これを見ると2018年は1Qから4Qまで全て前年同期比で+20%以上を達成できるという見通しになっています。これは素晴らしい利益成長です。

 

■注目イベント

秋に相場が荒れるとすれば、そのひとつの原因はドル高かも知れません。

いまは世界の中でアメリカの景気が飛び抜けて強く、世界の投資資金がアメリカに集まってきています。その関係で新興国からは資金が抜けてしまっています。このためアルゼンチンやトルコでは通貨安が起きています。

普通、米国の株式市場は新興国通貨市場が荒れても「どこ吹く風」で無視します。しかし新興国の状況が本当に悪くなると如何にアメリカとはいえ、それを無視できなくなります。1998年のロシア・ルーブル危機がまさしくそのような状況でした。したがって9月はアメリカ以外の国々、とりわけ新興国の動向に注意を払いたいと思います。

 

■注目ETF

バンガードFTSEエマージング・マーケッツETFVWOは中国、台湾、インド、南ア、ブラジル、メキシコなどの新興国に投資するETFです。いま新興国は上に述べたように難しい局面に立たされています。したがってこのETFをショートするという投資方法も考えられると思います。

また米中貿易戦争によりアメリカと中国との間の緊張が高まっていますが、iシェアーズ中国大型株ETFFXIは中国株を対象としたETFです。したがって事の成り行きによってはこのETFをショートするというトレード方法が考えられると思います。

iシェアーズ・ラッセル2000ETFIWMはアメリカの小型株に投資するETFです。いまアメリカの景気が良く、世界の市場がそれに劣後しているということは輸出比率の高いアメリカの大型株よりむしろ中小型株の方が良いことを示唆しています。したがってこのトレンドが続くと仮定するのであればIWMをロングするという戦法が考えられます。

一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド(XLYは消費者が財布のひもを緩めたとき潤う消費関連銘柄を組み込んでいます。いまアメリカの消費者のセンチメントは強いです。したがってこの傾向が継続すると考えるならばXLYをロングするという手法が有効です。

いまとりわけ人気の圏外になっているのがゴールドです。SPDRゴールド・シェア(GLDは金地金の価格に連動するETFです。金価格が軟調な最大の理由は連邦準備制度理事会(FRB)が利上げモードに入っているからであり、次の利上げは926日の連邦公開市場委員会(FOMC)で発表される事と思います。それが済んでしまえば「悪材料の出尽くし」でゴールドが見直される場面があるのではないかと思っています。

 

■まとめ

米国株式は新値圏にあり目先は一段高も期待できます。9月は相場の景色が一変するリスクがあります。ドル高で世界の投資家の資金はアメリカに集まっています。その反動で新興国の経済は不安定になっています。