2018年5月アメリカのマーケット展望

短期の相場見通し

S&P500指数の向こう一ヶ月のターゲットは2800を予想しています。これは「4月のマーケット展望」で書いたターゲットと同じです。つまり2月以降の急落局面での戻り高値(2801.9313日)を取りにゆく展開だと見ています。

チャート的には三角保ち合いを形成しており、上にも、下にもブレイクアウトし得るチャート・パターンと言えます。ちなみに200日移動平均線は2610を通っており、目先はこれが下値のサポートを提供しています。

一方、上値に関しては1月末の高値を基準として引いたダウントレンドラインはちょうど2700を通っています。従ってS&P500指数は、まずこの水準を破り上昇してゆくことが必要となります。

経済の現況

米国経済は堅調に推移しています。好景気を反映して、米国10年債利回りは、いよいよ3%の大台を超えてきました。

普通、市中金利と株式は競争関係にあります。その意味するところは「金利高は株式にとってマイナスだ」ということです。したがって投資家は今回、10年債利回りが3%に乗せたことをハラハラしながら見守っています。

ただ3%というのは単に「きりの良い数字」であり「ひとつの通過点」に過ぎません。実際、今年に入ってから「2.6%が危ない」とか「2.9%になった途端、株が売られた」など、いろいろな「壁」の存在が取り沙汰されてきました。しかし相場はそれらの障害を乗り越えて今日に至っています。したがって3%がどうしても越えられない障壁であると考える理由はどこにもないと思います。

乱暴な議論をすれば10年債利回りのような長期金利は米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(FFレート)とインフレ期待を合計したものだと言えます。つまり:

FFレート + インフレ期待 = 長期金利

という数式です。このうちFFレートに関しては今年3回の利上げを予想する市場参加者が多いです。毎回0.25%の刻み幅で利上げされたとして合計0.75%ということになります。今年は既に1回の利上げがあり、現在のFFレートは1.75%なので、あと残り2回利上げがあれば年末のFFレートは2.25%になるわけです。

すると仮にインフレ期待に関する市場参加者の見方に全然変化が無いとしても10年債利回りは少なくとも3.2%くらいにまで上昇していると考えるのが自然なのです。

それでは実際に市場参加者のインフレ期待には変化は見えるのでしょうか? 

それを知るひとつの方法が5年先5年物期待インフレ率を調べるやり方です。これは「5年先を起点として、そこから5年後のインフレ率を市場参加者がどう見ているか?」を表しています。そのチャートを見ると下のように殆ど動きは出ていません。

すなわち市場参加者のインフレに対する見方は、安定しているわけです。言い換えれば「今年3回」という政策金利の利上げスケジュールに照らして粛々と長期金利が上昇している構図なのです。

これは我々投資家がどうしても避けて通れないことであり、今年のある時点で3%超の10年債利回りを克服しつつ、株価が今年の高値を更新すると考えるのが自然だと思います。その際、決め手になるのは企業業績です。そこで次に企業業績を見ることにします。

企業業績の現況

いま2018年第1四半期の決算発表シーズンに突入しており、これまでにS&P500採用企業のうち17%が決算発表を終えています。8割の企業がEPSで市場予想を上回っています。つまり今期も決算シーズンの滑り出しは好調だということです。今期のEPS成長率は前年同期比+18.6%が見込まれています。

いまのところ、楽々とこれを達成できそうな展開です。

S&P500指数の向こう12ヵ月のEPSに基づいた株価収益率(PER)は16.6倍です。これは過去5年の平均とほぼ同じであり、アメリカ株は決して割高ではありません。

ましてや今は上に見たように米国企業の業績は18.6%で伸びているわけですから株価はもっと買われてもおかしくないと思います。

注目イベント

この楽観的なシナリオが崩れるシナリオとしては原油価格の高騰が挙げられると思います。事実、原油価格(WTI)は70ドルを目指す展開となっています。

原油価格が高騰している理由は、テキサス州のパーミアンにおけるシェール・オイルが、パイプラインのキャパシティーの払底で出荷しにくくなっていることによります。私の考えではパイプラインの増設は比較的簡単に出来るのでボトルネックの解消にはそれほど時間はかからないと思いますが、それまでは目が離せないと思います。

注目ETF

私は原油価格の追い風を受けて石油株を中心としたエネルギー・セレクト・セクターSPDR(ティッカーシンボル:XLEに注目しています。また原油そのものに投資するWTI原油連動ETF(ティッカーシンボル:USOも面白いと思います。

このところ珍しくテクノロジー株が苦戦しているのでテクノロジー・セレクト・セクターSPDR(ティッカーシンボル:XLKにも妙味が出ていると思います。

またハイテク株の比重の高いナスダックをトレードするならパワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(ティッカーシンボル:QQQならびにナスダック100指数の3倍の値動きをするように設計されているプロシェアーズ・ウルトラプロQQQ(ティッカーシンボル:TQQQにも注目したいと思います。

まとめ

米国株式市場は三角保ち合いの商状を呈しており、上にも、下にも、どちらにでもブレイクアウトし得るチャート・パターンになっています。10年債利回りが3%につっかけており、さらに原油価格も70ドルに乗せようとする展開になっていることは懸念材料です。しかしその一方で企業業績はすこぶる好調であり、それが強気派の根拠を提供しています。