ゴールド価格が1オンスあたり2,700ドルを超え、連日過去最高値を更新しています。
ゴールドが買われている理由は;
- 中央銀行による買い
- 消費者による買い
- 米国連邦政府が予算的に「ばらまき」していること
によります。
中央銀行による買い
ロシアがウクライナに侵攻した際、西側諸国はロシアの海外資産を凍結しました。これを見た中国は(外貨準備を全部ドルで持っていたら危ないな)と感じ、金の延べ棒を購入し、それを本国へ移送することを始めました。
電子的に記帳される(=ブックエントリー方式)資産は差し押さえがカンタンですし、ロンドンやニューヨークのようなマネーセンターにある金庫に保管されている金の延べ棒を「荷札の差し替え」のような簡便な方法で所有権移転登記するだけでは戦争の際、自国の資産の保全としては不十分であることが今回のロシア資産凍結のエピソードで明白になったからです。 中国に倣い、世界の他の中央銀行もゴールドによる外貨準備を増やす行動に出ました。結果として世界の中央銀行の外貨準備に占めるゴールド比率は10年前の3%から現在は10%までシェアをUPしています。
消費者による買い
中国では蓄財の最もポピュラーな方法はマンション投資でした。しかし最近は不動産開発業者の経営危機が相次いで報じられており、ちゃんと完成・引き渡しされないケースや物件価格の値下がりなどの事例も報道されています。株式市場も長期のスランプを経験しており投資家は新しい分散投資の対象としてゴールドに注目しています。
一方、インドでは昔から金細工に対する親近感が強く、折からの好景気で沢山の「中流」が生み出されておりそれらの消費者はゴールド・ジュエリーに高い関心を持っています。 アメリカではコストコでゴールドを購入することが出来るようになり一般消費者がゴールド投資に開眼しています。
米国連邦政府が予算的に「ばらまき」していること
最後の要因として今年は米国の大統領選挙の年であり与党の民主党は選挙戦を有利に進めるために散布的な財政政策を敷いています。その結果、連邦政府の財政赤字はGDPの7%に迫る勢いとなっています。このことはある時点で財務省証券の入札の不調などの好まざるシナリオが発生するリスクを孕んでいると言えます。
ゴールドはそのような事態に対するヘッジとして買われているのです。
まとめ
ゴールドが買われている理由は1.中央銀行が外貨準備としてゴールドを買っている、2.新興国の消費者がゴールドに注目している、3.米国連邦政府の放埒な財政政策に対する投資家の自己防衛、などによります。これらは構造的な要因であり継続性のある材料だと考えられます。