市場参加者は極端な利下げシナリオを織り込み過ぎている

フェデラルファンズ・レート

米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートです。略してFFレートと呼ばれることが多いです。現在のFFレートは5.25〜5.50%となっています。

フェデラルファンズには先物があり、それはデリバティブ取引所、CMEで取引されています。

その取引実勢価格から市場参加者がどのような確率で将来利下げがあると織り込んでいるかを逆算する方法があります。その計算式は割愛しますが、計算結果はCMEのウェブサイト、CME FedWatchに毎日公表されています。これを見れば先物のトレーダー達が何を考えているかわかります。

これを書いている8月8日午後の時点で、9月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.50%の利下げが実施されるという確率が55.5%、0.25%の利下げの確率が44.5%となっています。

普通、利下げは0.25%刻みなので、0.50%の利下げは通常の2回分に相当します。

雇用統計

このように市場参加者が大きな利下げを予想している理由は8月2日に発表された7月の失業率が予想4.1%に対し結果4.3%と大きく悪化したことが原因です。非農業部門雇用者数も予想17.5万人に対し結果11.4万人と弱い数字でした。

利下げ幅は大きいほど良いのか?

投資家は「景気がつんのめりそうになっているのだから……ここはガッツリと大きく利下げして欲しい!」と願っています。

しかし過去にザックリとした利下げがあったケースでは、金利政策が後手に回ってしまった事例が多いです。ハチャメチャ感が醸し出されると株価にとっては逆効果な事もあります。言い直せば「利下げ幅は大きければ大きいほど良い」という考え方は間違っているのです。

1回のデータで極端な結論に到達すべきでない

たしかに8月2日の雇用統計は景気が目に見えて弱くなっていることを示唆するデータでした。しかし1回の統計ではそれがトレンドなのかどうかを判断できないと思います。皆が考えているほど米国の景気は暗転していないかもしれないのです。