非農業部門雇用者数
7月5日(金)に発表された6月の非農業部門雇用者数は予想+19万人に対し結果+20.6万人でした。
(出典:労働省)
なお、4月ならびに5月の数字はそれぞれ下方修正されているため過去3ヶ月全体でみると今回は弱い数字だったと評価できます。一部の市場参加者はそれを見て(ひょっとすると9月利下げもアリかも?)と考え始めています。
私は今回の一連の数字は連邦準備制度理事会(FRB)をして利下げに踏み切らせるだけの決定打的な弱さに欠けていると考えています。
失業率
一方、6月の失業率は予想4.0%に対し結果4.1%でした。失業率は下のチャートに見られるようにじわじわ上昇しており、ある時点でペースが加速する懸念があります。ただ絶対的水準としては4.1%というレベルは未だ「景気はすこぶる強い」と判断すべき水準なのであり、今回数字が少し上に外れたことで即利下げしなければいけないとは言えません。
(出典:労働省)
平均時給
一方、平均時給の増減は+10¢でした。これは未だFRBにとって高すぎる水準です。いますぐに金融緩和できない理由を提供しています。
(出典:労働省)
総括
以上をまとめると今回の雇用統計は、ややソフトな内容でした。このため気の早い市場関係者は(すわ9月利下げか!)と期待しはじめています。
しかしインフレの中でも賃金インフレは一旦始まるとなかなか沈静化できないしつこい性格を持っており、現状としてはFRBはそれに手を焼いているというのが紛れもない事実です。
利下げ期待から株を買うという発想は、それが空振りに終わる可能性が高いため、あまり感心しません。