消費者物価指数、連邦公開市場委員会の結果

消費者物価指数

6月12日(水)に発表された5月の消費者物価指数は前月比予想+0.1%に対し結果0.00%、前年同期比予想+3.4%に対し結果+3.3%でした。

(出典:労働省)

コア指数は前月比予想+0.3%に対し結果+0.2%、前年同月比予想+3.5%に対し結果+3.4%でした。

注目されていたコア・サービス価格の上昇は前月比+0.2%にとどまり2021年9月以降で最も小さな上昇幅でした。このようにコア・サービス価格の上昇が小幅にとどまった要因のひとつとして運輸サービス価格が−0.9%だったことが挙げられます。これは航空運賃の下落が原因です。

連邦公開市場委員会

連邦公開市場委員会(FOMC)は6月12日に閉会し、現行の政策金利、5.25〜5.50%が堅持されました。

経済予想サマリー(SEP)では連邦準備制度理事会(FRB)メンバーによるフェデラルファンズ(FF)レートのコンセンサス予想が上方修正されました。

(出典:FRB)

それによると今年の年末までの利下げ回数は1回(5.1%)というコンセンサスになっています。

一方、FRBメンバーによるGDPのコンセンサス予想には全く変更がありませんでした。

(出典:FRB)

失業率の予想については来年以降のコンセンサス予想が若干上昇しました。

(出典:FRB)

さらにFRBメンバーによるPCEコアインフレ予想は今年年末がこれまでの2.6%から2.8%へ引き上げられました。

(出典:FRB)

つまりインフレを抑え込む努力は5月の消費者物価指数の発表に見られるようにやや進捗したものの、全体としてはまだまだ満足な成果を生んでおらず、そのデータポイントを受け入れるカタチでFRBメンバーは利下げ回数の予想を減らしたというわけです。

マーケットへの影響

今回の経済予想サマリーはFRBメンバーが当初考えていたほどインフレ退治が進捗していないことを受けて、それを素直に認め、利下げのタイミングを先送りする内容になっていました。

既に市場参加者の多くは年内1回の利下げという線を予想していたので、これは大きなサプライズではありません。

現在の米国株は金利の見通しに突き動かされているのではなく、AIに代表される技術革新と、それがもたらす労働生産性の改善に対する期待によって買われています。しばらくはそちらの方が重要だと思われます。