雇用統計の結果

2月は例年大幅な改訂が入る

2月2日(金)1月の非農業部門雇用者数が発表されました。予想18万人に対し結果35.3万人でした。

(出典:労働省労働統計局)

注意しなければいけないことは例年2月の発表では過去の数字に大幅な改訂が入るという点です。一例として12月の数字は21.6万人から33.3万人へと大幅に上方修正されています。

改訂を行わなければいけない理由としてベンチマーキングと呼ばれる見直し作業の存在が挙げられます。非農業部門雇用者数は当初CES(Current Employment Statistics)調査と呼ばれる暫定的な手法で予想値が割り出されるのですが、後に四半期ごとに実施されるQCEW(Quarterly Census of Employment and Wages)と呼ばれる、より精緻な正式調査によって置き換われます。それにより基準値が動いてしまうので過去に発表された非農業部門雇用者数も遡って改訂されるというわけです。1年の最期のQCEW調査で数字が確定したタイミングでベンチマークを見直す関係で、どうしてもその発表が2月になるのです。

つまり2月の数字が大きくブレるのはこのような技術的な理由に因る部分が多く、サプライズが出ても余り大騒ぎすべきではないということです。

いずれにせよ足下の雇用はしっかりしており、連邦準備制度理事会(FRB)が慌てて利下げしないといけないような状況ではありません。

失業率

1月の失業率は予想3.7%に対し結果3.7%でした。

(出典:労働省労働統計局)

平均時給の増減

平均時給は0.19ドルの上昇でした。

(出典:労働省労働統計局)

賃金は依然として力強く上昇しているため、この面からもFRBは性急に利下げすべきではないと思います。

なお1月の天候不順で労働時間が減ったことと併せて考えれば、平均時給の伸びの中には悪天候に対する特別手当も含まれていたのかもしれません。

まとめ

例年2月に発表される雇用統計はベンチマーキングの関係で大幅改訂が入ります。だから今回数字が大幅に外れたことはある程度差し引いて考える必要があります。賃金に関しても悪天候の要因を念頭に入れる必要があります。つまり今回の数字が皆とても強かったことで大騒ぎする必要は無いのです。

それを断った上で足下の雇用市場はがっちりと底堅く、景気が暗転している様子は全く見られません。

利下げという「援護射撃」を期待するのは少々虫が良すぎるように思われます。その一方で米国経済はとても良い感じで成長しているわけだから、株式はそれを素直に好感するカタチで買われて然るべきだと思います。