FRB高官の相次ぐタカ派発言で利下げ開始時期は遠のいた

タカ派発言

12月の消費者物価指数が発表された後、数人のFRB高官が相次いで「3月の利下げは時期尚早」という旨の発言をしました。

これを受けて3月20日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想に大きな変化が出ました。具体的には下のチャートに見られるように現行の政策金利5.25~5.50%が維持される確率が52.9%になっています。

(出典:CME FedWatch)

ちなみに消費者物価指数の発表前は「3月のFOMCで0.25%の利下げがある」と考える市場参加者が圧倒的に多かったです。

10年債利回り

これを受けて10年債利回りは上昇しています。

(出典:セントルイスFRB)

株式市場の動き

普通なら長期金利の上昇は株式にとってネガティブ要因です。しかしS&P500指数は先週金曜日に過去最高値を更新しました。

(出典:セントルイスFRB)

市場参加者はハイテク大型株がAIブームで恩恵をこうむるだろうという考えから、それらの銘柄を積極的に買い上がっています。実際、今般のAIブームで大型の先行投資をしているのは「マグニフィセントセブン」と呼ばれる大手であり、AIの恩恵に浴するのも同じグループだと考えられています。

つまり大型ハイテク株が見直されているわけです。

このような事情から、長期金利の動き(=株式にはネガティブな方向に動いています)と株価指数の動きは、ちぐはぐになっています。

しかしAIへの投資が将来それらの企業の収益力の向上につながるのであれば、いまは目をつぶってそのシナリオに賭けたい……そう考える投資家が多いのだと思います。

AIが労働生産性の向上をもたらすかは、まだわかりません。しかしもし労働生産性が向上するのであれば、それは好景気の持続性に大きく寄与します。マグニフィセントセブンの各社はAIによる余剰人員の発生を見越して既に人切りを始めています。そのことからもこれら企業が真剣にAIをテコにした経営の効率化に既に腕まくりして取り組んでいる事が伝わってきます。