空席になっていた下院議長がようやく決定 予算策定に向け前進

新下院議長

10月25日(水)、空席になっていた下院議長がルイジアナ州選出共和党議員、マイク・ジョンソンに決まりました。下院議長は大統領、副大統領の次に偉いアメリカ政治のナンバー3です。それ以上に重要な点として下院議長が空席の間は新しい法案を審議することができません。

実は来年度の米国連邦政府予算の策定期限はとっくに切れているのですが、暫定的な延長策で11月17日までは連邦政府機能をシャットダウンしなくてよい「その場しのぎ」のやりくりが今行われています。その期限が到来する前にテキパキ下院議長を決めてしまわないとたいへんなことになるのです。

今日、ようやく下院共和党員全員の賛成(220票)を得て、ジョンソン議員が下院議長に選ばれました。彼は51歳と若く、知名度は高くありません。保守派で福音主義(エヴァンジェリカル)のキリスト教徒です。中絶反対、ウクライナへの支援に反対の立場を取っています。彼が選ばれた理由は保守派にも、左寄りの党員にもアピールするバランスの良い信条を持っていたからだと言えるでしょう。

債券市場への影響

このところ米国の長期債はずっと売られており、その関係で債券利回りは上昇していました。10年債利回りは瞬間5%をつける場面もあり、これが株式市場の地合いをしめっぽいものにしてきました。

(出典:セントルイスFRB)

長期債が売られてきた理由は三つに集約できます。まず上に述べたように議会が迷走し下院議長が決まらなかったこと、次に景気が思ったより強く、それが更なる利上げやインフレを誘発するのでは? と投資家を不安にさせたこと、そして折からの量的引締め政策と高水準の新発債の発行により需給関係が悪くなっていることによります。

なお長期金利が上昇し株式市場が下落する局面ではおカネの借りやすさを表す金融コンディションはタイト化します。つまり金詰り感が出るということです。

それはある意味、FRBに代わって市場が勝手に金融引締めの役目を果たしたのと同じ効果をもたらします。それはFRBが利上げする必要が無くなることを意味します。

(出典:セントルイスFRB)

米国の政策金利はフェデラルファンズレートですが7月に利上げされて以来、もう利上げされていません。政策金利は5.25~5.50%です。次の11月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも利上げ確率はほぼゼロとなっています。

つまり過去1年半続いてきた利上げサイクルはどうやら「打ち止め」になったと言って良いのです。

株式ストラテジー

下院議長が決まり、FRBによる利上げが「打ち止め」になったということは、そろそろ金利上昇を心配せず、落ち着いて株式投資に取り組んで行ける環境が整ったことを意味します。

いまマーケットのセンチメントは陰の極に達しています。

こういう時に苦労して建てたポジションがお宝ポジションになると思います。