FOMCの結果

FOMC

9月20日(水)、2日間に渡って開催されていた連邦公開市場委員会(FOMC)が閉会し米国の政策金利であるフェデラルファンズレート(略してFFレート)は現行の5.25~5.50%が維持されました。

経済予想サマリー

今回のFOMCでは19人のFRBメンバーへの今後の政策金利ならびに経済指標に関するアンケートの結果が添付されました。経済予想サマリー(SEP)がそれです。

SEPはあくまでも個々のメンバーの予想の総和にすぎず、これがFRBの公式見解ではありません。また2日間の討議の後で個々のメンバーが自分の数字を修正するということもしません。

フェデラルファンズレート

SEPに示された2023年末のFFレートのコンセンサスは前回の調査(6月)同様、5.6%でした。細かい話をすれば7人のメンバーは今後年末まで利上げなしを予想、12人は1回の利上げを予想しています。つまりFRBの中でも「次の一手」に関しては意見が割れているのです。

次に2024年と2025年のFFレートの予想はそれぞれ0.50%ほど引き上げられました。これは主に米国の景気が思ったより強かったことを反映していると言えます

(出典:FRB)

GDP

次にGDP予想ですが2023年末は6月のコンセンサス予想1%から今回は2.1%に大幅に上昇修正されました。率直に言って米国経済は足腰が強いと言えます。そしてジェローム・パウエル議長はその理由を「消費が予想の他、強かったからだ」と説明しました。

(出典:FRB)

失業率

失業率の予想は2023年末が3.8%、2024年末が4.1%とそれぞれ下がりました。

(出典:FRB)

PCEインフレ

次にPCEインフレですが、PCEとは個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)の略です。2023年末の数字はこのところの原油価格の上昇を織り込むカタチで少し上方修正されました。

(出典:FRB)

PCEコアインフレ

PCEコアインフレは先ほどのPCEインフレから変動の激しいエネルギーと食品価格を除いたものです。FRBメンバーはこのデータをいちばん信頼しています。ここでは2023年末の予想が6月の3.9%から3.7%へ下がっています。これは労働市場の需給バランスが平常に戻り賃金インフレのプレッシャーがやや緩和されたことを考慮に入れたものと思われます。

(出典:FRB)

まとめ

まとめると今回のFOMCは大方予想通りでサプライズはありませんでした。強いて言えばSEPのFRBメンバー予想は心配していたほどタカ派ではありませんでした。予想数字が動いた理由は主に米国経済が大方の予想よりも強かったことが原因であり物価のアウトルックが外れたからではありません。

米国経済はいまちょうど良い具合で推移しています。景気の足腰が強いのでインフレがFRBのターゲットまで下がってくるのは少し先までお預けになりそうですが、それは全体としては決して悪い事ではありません。