雇用統計の結果

非農業部門雇用者数

6月2日(金)に発表された5月の非農業部門雇用者数は予想19万人に対し結果33.9万人でした。

(出典:労働省労働統計局)

また3・4月の数字も合計で9.3万人上方修正されました。

失業率

一方5月の失業率は予想3.5%に対し結果3.7%でした。

(出典:労働省労働統計局)

今回、失業率が上昇したことは、ややサプライズでした。

平均時給

平均時給は+11¢でした。これは4月の+13¢から少し伸びが減りました。

(出典:労働省労働統計局)

次は物価統計に注目

次は6月13日に発表される消費者物価指数(CPI)に注目したいと思います。
先月発表された4月のコアCPIは+5.5%でした。すると上で労働収入は+4.2%しか伸びてないわけですから労働者の実質賃金はマイナス成長であると解釈することも出来ます。3月から4月にかけて米国の多くの小売店が売上の突然の鈍化を経験しましたが、それは児童手当税控除還付金がルール改正で減ったことが一因だとされています。この事例からもわかるように低所得者層を中心にインフレがだんだん国民生活を圧迫し始めています。

連邦準備制度理事会の次の一手

連邦準備制度理事会(FRB)は次の6月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げを見送ると見られています。今回の雇用統計の結果も、そのシナリオには影響を与えないと思われます。

6月14日の利上げ見送りはこれで利上げサイクルが完了したという風に決めつけることは出来ません。なぜなら一部FRBメンバーは「今回の利上げ見送りは単なるスキップに過ぎない。したがってその次のミーティングではさらに利上げもありうる」と語っているからです。

長期金利に注目

もしFRBが今後も1回おきのFOMCでじわじわ利上げを繰り返すのなら、それは長期金利が上昇する要因だと思います。

それから連邦債務上限引き上げに関して議会の合意が成立したわけですが、そのことは暫く見合わせられていた国債発行が再開されることを意味し、これは財務省証券の需給関係にとっては悪い材料、すなわち長期金利上昇要因に他なりません。

長期金利が上昇すれば株式にとっては苦しい環境になると思います。