消費者物価指数の結果

■消費者物価指数

5月10日(水)に発表された4月の消費者物価指数は前年同月比予想5.0%に対し4.9%でした。なお3月は5.0%でした。

(出典:労働省労働統計局)

食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比5.5%でした。これは予想と一致しました。なお3月は5.6%でした。

■連邦準備制度理事会の次の一手

今回の数字は予想にほぼ一致する内容でした。その意味でネガティブ・サプライズでは無かったです。

しかし今回の数字をもって連邦準備制度理事会(FRB)がハト派に転じことが出来るか? と聞かれればそれは困難だと思います。

なぜならインフレの改善幅がわずか0.1%にとどまったことに加えコア・インフレは5.5%と引き続き高い水準だからです。

■トレーダーたちの予想

一方、トレーダーたちは9月、11月、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でそれぞれ0.25%の利下げが行われ、今年最後のFOMCである12月13日の時点では下のチャートに見られるように政策金利が4.25%になる確率が50.8%であると織り込んでいます。

(出典:CME FedWatch)

これは景気後退が来ることを市場参加者が予想していることに他なりません。

しかし先週発表された雇用統計では米国の失業率は3.4%と歴史的に低い水準(=景気は強い)でしたし、平均時給は今年に入って最大の上げ幅である+16¢を記録しました。それらのデータはFRBのインフレ退治の仕事が未だ完了していないことを物語っています。

つまり市場参加者の考えとFRBの考えには隔たりがあるのです。そしてこの隔たりが株式にとってリスク要因であると考えられます。

■投資戦略

先のFOMCでFRBは経済指標をじっくり観察してから態度を決めることを強調しました。その経済指標は未だ景気後退の到来を示唆していません。市場参加者はデータを無視し、勝手に自分の都合の良いシナリオを織り込んでいます。そのようなマーケットの流れに無理やり自分も合わせるのはリスクリワード的にそろばんに合いません。「休むも相場」という諺がありますが、ここは静観するに越したことは無いでしょう。