帰ってきたジョージ・ソロス、一体、いま何を買っている?

■運用から離れていたソロスが再び運用開始

長い間運用の第一線から退いていたジョージ・ソロスが、再び運用を始めています。

ソロスはハンガリー生まれで、現在はアメリカに帰化しています。

彼は1969年から自分の資金、25万ドルをタネ玉としてヘッジファンドを組成、運用を開始し、2011年にリタイアしました。その時点での個人資産は245億ドルになっていたそうです。

■ソロスの運用スタイル

ソロスの運用スタイルは、グローバル・マクロと呼ばれる投資手法です。

グローバル・マクロでは、FX、債券、コモディティ、株式など、あらゆる原資産を投資対象とします。

また特に「割安株を買う」とか「成長株を買う」というルールに縛られることなく、主にマクロ経済の基礎的要件の歪みに焦点を当てます。その歪みが是正されるとき、マーケットが大きく動くわけですが、その瞬間をめがけてトレードするわけです。

ソロス自身は「私はゲームのルールが変わるときを捉えてトレードする」と自分のスタイルを説明しています。

一例としてソロスは1992年にERM(ヨーロピアン・エクスチェンジ・レート・メカニズム)と呼ばれる、各国の通貨を一定のレンジの中に収める合意が危機に瀕した際、英国のポンドを大量に空売りして「イングランド銀行を倒産させた男」として有名になりました。

あのときは欧州の「コモン・マーケット」を目指すマーストリヒト条約がデンマークの国民投票で否決され、その直後に予定されていたフランスでの同様な国民投票の行方が混とんとしました。その大混乱の際にポンドを空売りしたわけです。

■今日の状況

さて、今日の状況を見ると6月23日に英国でEU離脱を巡る国民投票が予定されており、その結果によってはマーケットが大荒れになることが懸念されています。1992年当時とイメージがだぶるわけです。

メディアの報道によれば、ソロスはそういう欧州の懸念に加えて、中国経済の構造的な問題に関しても悲観的な意見を持っているそうです。

■ソロスは何をトレードしている?

それでは具体的にソロスは何を買っているのでしょうか?

米国証券取引委員会(SEC)に四半期ごとに提出される「13-F」と呼ばれる保有証券報告書によると、ソロスは金鉱株や銀の会社に投資しています。

銘柄としてはバリック・ゴールド(ティッカーシンボル:ABX)とシルバー・ウィートン(ティッカーシンボル:SLW)になります。

またゴールドそのものにも強気だそうです。代表的な金のETFにはSPDRゴールド・シェアETF(ティッカーシンボル:GLDがあります。