【特別寄稿記事】トライオートFXの収益率を更に向上させる戦略

インヴァスト証券スタッフです!
今回は、投資家で、証券アナリスト資格(CMA)も保有する元メガバンク為替ディーラーの鈴木様に記事をご寄稿頂きました!
実際にトライオートFXを運用している方にとって、非常に参考になる内容となります。
是非最後までお読みいただければと思います!

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こんにちは、元メガバンク為替ディーラーの鈴木拓也です。

私は2019年6月からトライオートFXで運用しており、今回はその実績を振り返るとともに、運用していく中で気づいた反省点と更にパフォーマンスを向上させるための新たな運用戦略を解説したいと思います。

私は普段、FX自動売買やスワップ投資などの他、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析に基づいた裁量取引もしております。

それらの知見も踏まえ解説しますので、現在トライオートFXを運用している方、そしてこれから運用を始める方の参考になれば幸いです。

1.トライオートFXの1年間の運用実績

私が運用したトライオートFXの運用実績がこちらになります。

運用元本:1,000,000円
累計確定利益:+70,511円
評価損益:-35,446円
運用期間:2019年6月~2020年4月24日(※現在も稼働中)

※2020年4月24日時点
出所:鈴木氏

最初に条件を決めてトライオートFXを稼働した後は完全に放置でしたが、しっかりと利益をあげることができました。

運用戦略は「コアレンジャー」で、以下のような設定条件で運用しています。

  • 運用元本:1,000,000円
  • 運用戦略:豪ドル/NZドル
  • 数量:4ロット(4,000通貨)

私が数ある自動売買セレクトの中から「コアレンジャー_豪ドル/NZドル」を選択した理由は以下の3つです。

  1. 「豪ドル/NZドル」の通貨ペアが安定した値動きである点
  2. サブレンジ帯からコアレンジ帯へ戻る場面で大きな利幅を取れる点
  3. その当時、運用シミュレーションで最も高いリターンであった点

まず、豪ドルとNZドルは同じオセアニア圏の通貨で経済の関係性も強く、どちらも資源国通貨(※豪州は原油等の資源に対し、NZは乳製品等の資源)に分類されます。

よって、通貨の特性上からも比較的安定した値動きが見込まれ、一定値幅で売買を繰り返すコアレンジャーに適した通貨ペアと考えました。

実際に豪ドル/NZドルのチャートを見ても、2014年ころから極端なトレンドは発生しておらず、1.0000~1.1400のレンジを中心に上下しているのが分かります

出所:鈴木氏

また、コアレンジャーは「コアレンジ帯」と「サブレンジ帯」で売買値幅を変え、コアレンジ帯では細かく積極的に売買し、サブレンジ帯では売買値幅を広く取ってコアレンジ帯への戻りを狙う戦略です。よって、仮にレートが大きく変動してサブレンジ帯に到達したとしても、サブレンジ帯からコアレンジ帯へ戻る場面で大きな利益が期待できるため、極端なトレンドが発生しにくい豪ドル/NZドルとの相性も良いと感じました。

そして最後に、当時シミュレーションで最も良い収益率が出ていたことも選ぶ決め手になりました。


しかし、運用をしていく中で、いくつか想定外の事態が発生したので、次は相場概況と損益推移の要因を詳しく分析していきたいと思います。

2.相場状況の振り返りと損益推移の要因を考察

私がトライオートFXを開始した2019年6月以降も、豪ドル/NZドルは予想通りコアレンジ帯とサブレンジ帯の中を推移しました。

2020年3月にはコロナショックで為替相場は大荒れとなり、中国経済や原油価格などの影響を強く受ける豪ドルは対円で73円台から一時60円割れまで急落しました。

一方で、豪ドル/NZドルも一時的に1.0000付近まで下落したものの、ほぼサブレンジ帯の中に収まっており、その後はコアレンジ帯へ反発しています。

まさにコアレンジャーの狙い通りの展開となっており、サブレンジ帯で保有した買い建玉がコアレンジ帯へ戻る場面で次々と利益確定され、利益を積み上げることに成功しました。

出所:鈴木氏

しかし、運用していく中で想定外の事態も起きました。

それは、豪ドル/NZドルの買い建玉を保有した時のスワップポイントのマイナスが想像以上に膨らんだことです。

豪ドル/NZドルでは、売り建玉はプラスのスワップポイントですが、買い建玉はマイナスのスワップポイントになります(※2020年4月24日時点。スワップポイントは日々変動しており逆転する可能性もあります)。


以下は、月間の取引損益(為替差損益)とスワップ損益をそれぞれ分けてまとめたものです。運用当初の6,7月はそこまでスワップ損失は発生していませんが、8月以降は次第に増え始めており、直近の4月では取引利益の7割もスワップ損失が占めています。

出所:鈴木氏

これは、下図のようにコアレンジ帯で約定した買い建玉がなかなか決済されず、毎日マイナスのスワップポイントが蓄積されていき、その後、その建玉は利益確定となったものの、為替差益以上にスワップポイントのマイナス分の方が大きくなったためです。

実際に、私は1週間ごとにトライオートFXの損益を記録していますが、週間損益がマイナスになった時もありました。

出所;鈴木氏

もちろん、毎日蓄積されるスワップポイントのマイナス分よりも、売買で稼ぐ利益の方が大きいので、トライオートFXの全体的な損益はプラスになっています。

しかし、為替差益全体の約2割もスワップの損失が発生しており、現在保有している買い建玉にもかなりのスワップポイントのマイナス分が貯まっているため、運用パフォーマンスの下振れ要因になっていると言えます。

3.リターンを更に向上させる戦略を考察

以上を踏まえ、更にリターンを向上させる戦略を考えていきたいと思います。

マイナスのスワップポイントがリターンの下振れ要因と判明しましたが、それを避ける方法は以下の2つです。

  • スワップポイント受取のみの自動売買を選択
  • 相場観に基づいて相場にマッチした自動売買を選択

スワップポイントがプラスになる方向のみに仕掛ける自動売買は、高金利通貨の「スワッパー」か、自分で「ビルダー機能」を使って自動売買を作成する方法があります。しかし、一方向のみに売買する自動売買は、万が一予想が外れて相場が反対の方向にトレンドが出ると、含み損がどんどん膨れ上がるリスクもあります。

また、相場観に基づいてその時々で自動売買を使い分ける方法は、相場に戦略がマッチすれば大きな利益が期待できますが、それであればわざわざ自動売買を使わずに、裁量取引をすればいいだけの話です。

トライオートFXの良いところは、一度戦略を決めた後は自動売買が24時間、人間に代わって売買してくれることです。なので、そのメリットを生かさない手はありません。


そこで考えたのが、現在の「コアレンジャー_豪ドル/NZドル」を独自に改良して、コアレンジ帯における買い注文の比率を低くし、売り注文の比率を高くするよう調整することです。

実際の運用でも、コアレンジ帯で抱えたスワップポイント支払いの買い建玉が足を引っ張りリターンを下げていますので、その比率を改善することで、スワップポイントの支払い負担を軽減することができると期待できます。

一方、サブレンジ帯は大きな値幅で利益を稼ぐところなので触りません。

あくまで、両建てが発生するコアレンジ帯のみを調整するという戦略で、以下のようなイメージです。

出所:鈴木氏

4.「ビルダー機能」で独自の戦略を作成

独自の戦略を作成するには、トライオートFXの「ビルダー機能」を使用します。

その前に、収益率を改善する上記戦略が本当に有効なのかを検証するため、実際にコアレンジ帯で、①売りと買いの数量が同じパターン、②売り数量の方が多いパターンの2つの自動売買をビルダーで作成し、シミュレーションしてみました。

なお、コアレンジ帯とサブレンジ帯、数量などは、私が実際に運用している豪ドル/NZドルコアレンジャーの条件に似せており、パターン①はほぼ同一です。

4-1.パターン①:売りと買いの数量が同じ

出所:鈴木氏
出所:鈴木氏

4-2.パターン②:コアレンジ帯で売りの数量を買いよりも増やす

出所:鈴木氏
出所:鈴木氏

シミュレーションの結果、コアレンジ帯でスワップポイント支払いになる買い注文の数量を2,000通貨にし、スワップポイント受取になる売り注文の数量を6,000通貨とすることで、期間収益率の54.08%から59.51%への向上を確認出来ました。

これは、リターンを向上させる戦略の通り、スワップポイントの支払い負荷が軽減されたことによるものと考えられます。


もちろん、スワップポイントは日々変動しておりますので、この戦略のリスクとしては将来スワップポイントの受け払いが逆転することが挙げられます。

また、コアレンジ帯で売りの比率を増やしていますので、豪ドル/NZドルがコアレンジ帯を上に抜ける場面では、通常パターン(①)よりも含み損が膨らんでリターンが悪化するリスクもあります。

なので、今後の豪ドル/NZドルの値動きやスワップポイントの動向には一定の注意を払いつつ、トライオートFXで運用を続けていきたいと思います。

最新の運用実績などはブログでも公開していきます。
トライオートFXユーザーの皆様に、ご参考になれば幸いです。

ブログ:元メガバンク為替ディーラーが教えるFX初心者講座
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