7月のマーケット展望

■ 短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1か月のターゲットは2975とします。

S&P500指数は621日に過去最高値を更新しました。この水準は過去に3回トライされた水準であり今回が4回目の挑戦です。指数自体は過去最高値を更新した後、小休止しています。

しかし今回はこの上値抵抗線を越え、新波動入りを狙うことも可能のように思われます。その理由は連邦準備制度理事会(FRB)が次の731日の連邦公開市場委員会(FOMC)でいよいよ利下げすることを強くシグナルしているからです。

ジェローム・パウエル議長は先の記者会見で「予防は治療に勝る」と語り早めの利下げに対する意欲を表明しました。FRB議長が記者会見でこのような喋り方をすることは異例です。それゆえ市場関係者は(7月の利下げはほぼ確実だ)と感じたのです。

一方、米国10年債利回りはついに2%割れの水準まで下がってきました。つまり債券は利回り的に魅力に乏しく、株式の相対的な魅力がUPしているのです。

向こう12か月のS&P500指数の一株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率(PER)は16.8倍です。これは過去5年の平均(16.5倍)よりやや割高ですが、我慢できないほどの水準ではありません。

 

■ 経済の現況

いま世界経済の中で特にリスクを抱えているのは中国と欧州です。

中国は米中貿易戦争を戦っておりネットワーク機器ならびにスマートフォンのメーカー、ファーウェイが米商務省の輸出規制の対象になりました。

同社は既に今年の売上高が前年比で-30%程度落ち込むと発表しています。それに伴いアメリカのみならず世界のサプライヤーへの発注を減らし、在庫を圧縮する考えです。

中国国内の自動車販売は低調で、これが欧州の機械工具、自動車関連セクターに打撃を与えています。

そのような背景の中から、一部の中国企業は資本市場へのアクセスが困難になりはじめています。言い換えれば「クレジットクランチ(信用の緊縮)」のような現象が中国では起こり始めているのです。

欧州でも流動性の低い資産を組み込んだ投資信託がちょっとした噂から解約の嵐に見舞われる事件が621日頃起きました。

このような現象はリーマンショックの前、2007年頃に見られた「パリバ・ショック」にも相通じる、嫌な感じです。

今回、ひょっとするとショックの震源地はアメリカではなく中国ないしは欧州かも知れません。実際、経済のファンダメンタルズを見てもこの2地域の内容が特に悪いです。

一方、米国経済は? と言えば、FRBが米議会に対して責任を負っている1. 失業率と、2. 物価の安定、という二つの使命に関しては理想に近い状態にあります。つまり経済は好調なのです。

普通、FRBはアメリカ国内のことに専ら注意を払い、海外情勢は重視しません。しかし今回は特別海外動向に注意を払っているのは上に述べたような事情によります。

 

■ 企業業績

今年のS&P500指数のEPS167.62が見込まれています。2018年の実績が161.50なので前年比+3.8%成長ということになります。これはやや不満が残りますが2018年は税制改革の後でEPSが凄く伸びた(20.9%)後ですので前年比較が苦しいのは仕方ありません。

 

■ 注目イベント

71日にはウイーンでOPEC総会が開催されます。そこで原油価格の下落を食い止めるための新しい合意が発表されるか注目したいと思います。

それに加えてイラン情勢からも目が離せません。イランはこのところアメリカを中心とする経済制裁を受けており経済が疲弊しています。ハイパー・インフレ、通貨の暴落などを経験しているのです。国民生活の困窮に応じて国民の不満も高まっています。

その不満を逸らすため、イランはペルシャ湾で相次いでタンカーを攻撃するなどしてアメリカを挑発しています。

いまのところアメリカはこの挑発に乗っていません。しかし今後、アメリカ兵に死傷者が出ると米国内の世論が刺激され、トランプ大統領がイランに対して報復する可能性もあります。

ホルムズ海峡は世界のタンカーによる石油の輸出の4割を占めています。また日本の石油の輸入の8割がここを通ります。その関係でホルムズ海峡でアメリカとイランが武力衝突すると世界経済がキリキリ舞いするリスクもあります。

 

■ 注目ETF

上に述べた有事のシナリオではWTI原油連動ETF(ティッカーシンボル:USOが買われる可能性があります。金価格の動きを反映するSPDRゴールドシェア(ティッカーシンボル:GLDも目が離せません。ホルムズ海峡で武力衝突があるシナリオでは日経平均株価変動率に対してマイナス2倍の動きをするように設計された日経ダブルインバース上場投信(コード1357にも注目です。

そういう悪いイベントが起こることなく世界のマーケットがリスクオン相場になる場合はSPDR S&P500 ETF(ティッカーシンボル:SPY)、ナスダック100指数に連動するパワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(ティッカーシンボル:QQQ)に注目したいと思います。