5月のマーケット展望

■ 短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは2980とします。

米国10年債利回りは2.57%と低い水準にあり、株式のバリュエーションにとって支援的です。向こう12ヵ月のS&P500指数の一株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率は16.7倍であり、リーズナブルな水準です。
機関投資家の多くは株式をアンダーウエイトしており、今回の上昇局面に乗れていません。
そのようなことから、目先相場は一段高する可能性の方が高いと思われます。

なお、株式、債券、為替などの原資産のボラティリティー(=価格のブレのこと)は極めて小さくなっており、じわじわとした相場が続くことを示唆しています。

■ 経済の現況

米国経済が拡大局面に入って以来、これまでに118ヵ月が経っています。

これは過去最長だった1990年代後半のドットコム・ブームの際に記録された過去最長の景気拡大(120ヵ月)に肉薄する長さです。
未だマクロ経済に関するデータには殆ど暗転は見られないので、たぶん今回の景気サイクルはドットコム・ブームの当時の記録を凌駕すると思われます。
連邦準備制度理事会(FRB)は、当分の間、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートを現行の2.5%のまま据え置くと発表しています。いまのところインフレの兆候も殆ど見られないため、この金利政策が当分維持されるというシナリオは妥当なものだと思われます。

■ 企業業績の現況

今年のS&P500指数の一株当たり利益(EPS)は168.67だと予想されています。

これは去年の伸び率に比べると低いです。四半期の業績が前年の同期に比べてどのくらい伸びたか?ということを示したのが下のチャートです。

それによると今期(2019年第1四半期)が-3%で変化率的にはここがボトムであり、来期以降、尻上がりに前年比較は良くなってゆくと予想されていることがわかります。
既にS&P500採用企業のうち17%程度がこれまでに第1四半期の決算発表を終えていますが滑り出しはまずまずです。
特にプロクター&ギャンブル、コカコーラなどの消費者を相手にする企業の好決算が目を引きました。またツイッターなどのネット企業も業績を急改善しています。

■ 注目イベント

52日からトランプ政権がイランに対する経済制裁を強化します。それによりこれまで特例としてイランからの原油の購入を認められてきた中国、インド、韓国、トルコなどの国々が今まで通りイラン産原油を買えなくなる可能性があります。これは原油相場の上昇要因です。
原油価格があまり急激に騰がると、それはインフレ懸念を誘発し、上に書いたような安定的な相場の見通しが崩れる原因になりかねません。従ってこの件に関しては注意を払いたいと思います。

■ 注目ETF

米国株は先高を予想しています。従ってSPDR S&P500 ETF(SPY、ナスダックの動きをなぞるパワーシェアーズQQQ信託シリーズ(QQQなどに加え、S&P5002倍の動きをするプロシェアーズ・ウルトラS&P500(SSO、ナスダックの3倍の動きをするプロシェアーズ・ウルトラプロQQQ(TQQQなどにも妙味があるかもしれません。

イランに対する経済制裁が原油高を招くというシナリオではWTI原油連動ETF(USOが面白いと思われます。

■ まとめ

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは2980を予想します。長期金利が低い事は株式のバリュエーションにとって支援的です。S&P500指数の株価収益率は16.7倍でリーズナブルです。機関投資家の多くは株式をアンダーウエイトしており、今回の上昇局面に乗れていません。そのようなことから、目先相場は一段高する可能性が高いと思われます。