プロが本音でおすすめする資産運用とは!?

老後の資金は年金とは別に3000万円とか4000万円必要と言われています。住宅ローンも支払ったうえの3000万円という資金です。20年後、30年後に年金制度や物価水準がどうなっているかもちろん分かりませんが、預貯金だけでは資産は増えないことは明らかです。ではいったいどんな資産運用ならば資産を増やしていくことができるのでしょうか。これからの資産運用をどうしようかと思っている方のために本音でおすすめできる運用方法、金融商品を分かりやすくご紹介いたします。

1.資産運用が必要な理由

かつては、定期預金に10年間預けておけばおよそ2倍になっているという時代がありました。年利7%の金利の複利計算ならば、10年間置いておくだけで実際に資産が倍増するのです。でも、今、そんな金融商品なんて存在していません。自分で積極的に資産運用をしなければ資産が増えない時代です。

1-1.預貯金は長く預けるほど目減りする

政府、日銀の大幅な金融緩和政策により消費者物価指数は上昇し、目論見通り物価上昇に転じデフレから抜け出しつつありますが、その一方で金利水準は低下を続けています。政府、日銀は2%の物価上昇を目指しています。ということは、預金金利も年2%以上ないと実質目減りしていってしまうのです。もちろん、これから何十年もずっと物価が上がり続けるということはないでしょうが、仮に物価が2倍になると、現在の100万円の価値は半分の50万円になってしまいます。だからこそ、今のうちからそうした物価上昇も考慮した資産運用が必要なのです。

1-2.老後に必要な資金は3000万円

総務省の家計調査報告書によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯)の1ヶ月の支出はおよそ28万円。年金収入22万円に対して、毎月6万円程度預貯金を取り崩している様子が見えてきます。平均寿命程度までは生きると想定すると、年金で足らない分は6万円×12ヶ月×25年で1,800万円となります。ゆとりある生活を考慮すると月の支出はおよそ35万円、不足分は約3,600万円となります。昨今の年金財源問題等を考える年金収入は目減りしていくことも想定しておかないとなりません。もしかすると3,000万円でも最低の生活に足りないのかもしれませんね。

1-3.資産運用を始めるならできるだけ早い方が良い

預貯金は複利計算ですが、一昔前のように利率が5%・6%と付いていれば長く預けているだけで雪だるま式に資産は増えていきました。現在そのような高金利確定利回りの金融商品は存在していませんが、もっとも効率よく資産を増やすにはこの複利効果を有効に活用することが大切です。そして、この複利効果は、時間が長くなればなるほど利益が大きくなることが大きな特徴です。

2.資産運用の具体的な方法

では、資産運用にはどのような方法があるのか具体的に見ていきましょう。ここでは、国内金融機関における預貯金・ハイリスクハイリターンのFX取引以外の方法をご紹介します。

2-1.国債

銀行預金よりは良い金利で運用ができる“手堅い金融商品”といえば「債券」です。個人向け国債としては10年変動金利、3年、5年の固定金利の3種類ありますが、中でも10年国債変動金利は優れた金融商品として定評があります。しかし金利は0.05%(税引き前)。実勢金利が下がっても保証されるとはいえ、100万円に対して税引き後約400円となるとさすがに資産運用とは言い難いですね。

2-2.外債

国内債券に比べて高い金利が魅力の外貨建て債券です。米国債をはじめ、オーストラリアやニュージーランドの資源国、トルコや南アフリカなどの新興国の高金利通貨建ての債券に人気があります。ただ、為替変動により円換算資産の増減リスクに注意が必要です。満期償還時に円高だったりすると、せっかくの利回りも円換算するとマイナスということも考えられます。もちろんその反対に円安が進んでいて想定よりも資産が増える場合もあります。

2-3.外貨預金

米ドルや豪ドルなど円以外の通貨での預金で、円預金よりも金利が高い傾向があります。ただ、円での価値はその時点の為替レートによって日々変動するので、円高が進むと円換算した価値が目減りするので注意が必要です。

2-4.個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金は月々の掛け金を積み立て、予め用意された金融商品で運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。60歳になるまで引き出しはできませんが、以下の税制優遇を受けられるため、老後資金を考えた長期の資産運用として、制度的には実はかなり良い運用方法です。

  • 毎月の積立金は「全額所得控除」の対象となる
  • 運用益は非課税
  • 受取の際には「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象

2-5.投資信託

投資信託はファンドマネージャーといわれるプロが投資先や銘柄を選定し市場平均よりも高いパフォーマンスを目指して運用するアクティブファンドと、運用に人手を介さずに主要株価指数などに連動し市場平均を目指すインデクッスファンドとがあります。最近はインデックスファンドが主流となっており、積み立て投資や配当金の複利運用などもできることから、長期の資産運用商品としてもっとも注目を浴びています。

2-6.ETF

ETFとはExchangeTradedFundの略で上場投資信託と呼ばれ、証券取引所に上場され株と同じようにいつでも売買できる投資信託です。投資信託でいえばインデックスファンドに分類されますが、マーケット時間中にいつでも売買できる機動性と信託報酬などのコストが割安なことで、過去10年間で純資産残高が7倍に成長する注目の金融商品なんです。米国最大の公的年金基金のカルパース(米国カリフォルニア州職員退職金基金)が運用商品に組み入れていることは有名な話です。

>>ETFとは?現役証券マンの初心者講座

2-7.国内株式

値上がり益を狙った売買はもちろんですが、配当や株主優待などを目的とした投資方法も人気です。これから資産運用を始めようという初心者は、いきなり値上がり利益を求めた売買をするよりも、長期に渡り保有することで得られる配当や株主優待などを目的とする方が、必要以上に時間を取られることなく長期投資ができるでしょう。

2-8.外国株式

例えば、P&Gやジョンソンアンドジョンソン、コカコーラは日本でもお馴染みの世界的に有名な企業ですが、実は50年以上増配を続ける超優良企業です。配当を増やし続け株価も右肩上がりを続けていますが、日本にはこんな企業はなかなか見当たりませんよね。とはいえ、こうした個別の銘柄を選ぶのは、日本株であろうが米株であろうが企業情報、決算情報、過去の値動きの理由を調べたりするなど手間暇かける必要があります。

2-9.不動産投資

不動産投資にもいろいろな種類がありますが、少額でできるREIT等はどちらかといえば投資信託、ETFの分野になります。一般的に不動産投資といえば、値上がり転売を目的とした不動産購入か、ワンルームマンション投資などがありますが、いずれもまとまった資金が必要な投資となります。ワンルームマンション投資などは低金利だからお金を借りて投資してもそれを上回る利回りを得られるなどとよくうたわれていますが、そもそも借金をして投資をしてはいけません。

3.10年で資産を2倍にする方法

10年間で資産を2倍にするためには、年利7%で複利運用する必要があります。今時、そんなに都合の良い金融商品がないことは皆さんご承知のことでしょう。でも、リスクをとることにより資産を2倍にできる可能性のある金融商品は存在しています。誰でも簡単にできるとは言いませんが、知っておいて損はない運用方法をご紹介いたします。

3-1.元本が2倍になるまでの利率と必要な期間

まずは、元本が2倍になるまでどれ位の期間が必要なのか利率に応じて計算すると、現在の預貯金では無理なことは明らかですが、5%以上の運用利回りを確保することができれば、10年とは言えないまでも15年内には2倍にすることができます。

3-2.海外ETFで5%以上の利回り

実は、外国債券ETFの中には、年間利回り5%以上の分配実績を出しているETFが存在します。それが「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(ティッカー:HYG)」です。米国社債関連ETFでは最大規模で、値動きは年間で5~10%程度と他のETFと比較しても小さいため、安全資産として運用されるETFです。分配金利回りは予め保証されているものではなくあくまで実績ベースです。また、海外債券なので、円換算する際に為替リスクが存在することや、複利効果を得るためには自分で再投資しなければならない手間はありますが、年5%以上という実績は魅力的ではないでしょうか。

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3-3.さらにリスクをとったちょっと高度な運用方法

「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF」は、日本円換算で1口1万円程度購入することができますが、これをFX取引と同様レバレッジをかけて運用することができます。それがCFD(差金決済)取引です。海外の株式やETFなどを円建てで取引できる方法として広まりつつあります。

レバレッジをかけて取引する

本来必要な現物購入代金よりも少ない金額で取引できる仕組みで、投資金の数倍の取引をすることができます。株式CFD取引の場合レバレッジは5倍が上限のため、1口1万円の銘柄をその5分の1の2,000円で購入することができます。言い換えると同じ1万円でその5倍の5口まで購入することができます。1口あたり5%の分配金利回り(※)ならば1万円で5口分、25%の分配金利回りを得られる可能性があるのです。

※CFD取引の場合店頭取引となるため、実際の分配金相当額は5%に満たない場合があります。

リスクはどれくらい?

価格変動リスクは当然ありますが、本来必要な金額よりも小額の資金を担保金として取引するため、価格変動により担保割れとなった時には、FX取引と同様、強制決済のルールもあります。初心者がいきなり投資するにはハードルが高いかもしれませんが、FXよりもレバレッジが低い分低リスクで運用でき、しかも今時なかなかないレベルの分配金利回りを享受できるかもしれません。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。資産運用にもいろいろな種類がありますが、何もしないで預かけているだけでお金が増える時代は遥か昔です。どこかでリスクをとって資金を運用しなければ、退職後いざ生活しようと思った時に必要な資金がない、年金もない、なんていう事態にもなりかねません。ここで紹介した以外にも様々な金融商品、投資方法はありますが、少なくとも税制優遇の個人型確定拠出年金や非課税枠のあるNISA口座は積極的に活用しましょう。さらに増やすためには、国内ではなく海外資産へ目を向けることが必要になるでしょう。