初心者必見!ETFの分配金利回りにも注目2017年版

日本銀行の買い入れで注目されているETF。株の取引と同じように取引所でいつでも好きなタイミングで取引できるのはもちろんのこと、株の配当と同じように、ETFの投資対象に配当や金利などがあれば、『分配金』(株の配当のようなもの)が貰えます。

ETFに投資するなら、この『分配金』にも注目しておきたいです。銘柄によっては、分配金が無いものもありますが、継続的に高い分配金が期待できる隠れた銘柄もあったりします。そこで今回はETFの『分配金』に着目したお薦めの運用銘柄をお伝えいたします。

1 初心者がETFを買う時は分配金にも注目!

ETFも個別株の投資と同様、安く買って高く売れば当然売買益が得られますが、そもそもETFは個別株に比べてると値動きが小さめなので、特に短期的なトレードで利益を狙うにはあまり向いていません。そうするとETFは中長期的な運用となってきます。そして中長期的な運用を考える上で見落としてはならないのは分配金なんです。

1-1 分配金とは

ETFには分配金があります。これは、株式で言えば「配当」、預貯金で言えば「利子」に似た性質のものです。ETFの多くは株や債券、不動産などに分散投資をしているので、こういった投資対象で「配当」や「利子」が生じれば、これらをETFを買ってる人達で山分けしてくれるんです。これが、『分配金』です。殆ど株の配当と言っていいですよね。

1-2 分配金利回りって何?

分配金利回りとは平たく言えばETFに投資した投資金に対し、過去1年間にどのくらいの分配金があったのかを示したものです。ご存知の方も多いと思いますが、株式の配当利回りと同じですね。

『分配金利回り』は過去1年間の分配金を任意の時点の基準価格で割って算出します。

<計算式>

  • 分配金利回り(%)=「過去1年間の分配金の合計」÷ 基準価格 × 100

過去1年間の分配金の合計が300円で、現在のそのETFの購入代金が1万円なら、分配金利回りは3%ということです。

1-3 2016年の分配金利回りTOP10

それでは実際に2016年の分配金利回りTop10のETFを見て行こうと思います。

日本で上場されているETFの分配金利回りTOP10

まずは日本の取引所に上場されているETFで、取引量が多い(流動性の高い)上位50銘柄の中で2016年の分配金利回りTop10です。

201702_n1_0

銀行の金利に比べたら断然利回りが良いですよね。

米国に上場されているETFの分配金利回りTOP10

次は、米国の取引所に上場されているETFで流動性の高い上位50銘柄の中で2016年の分配金利回りTop10です。

201702_n1_1

日本に比べると米国は金利も高く、米国の企業は配当利回りが総じて高い傾向がある(株主を意識した経営をおこなっている)ので、ETFの分配金利回りも日本よりも米国の方が高くなっています。

ただし、通常、米国に上場しているETFを購入する場合は米ドルが必要なので、投資金は日本円でしか用意していないという方は、一度、その日本円を米ドルに両替する必要があります。

ETFでは分配金にも着目しておこう!

ここまで見ていただいた通り、ETFは価格が上がることを見込んで投資をする以外に、分配金を貰えるという利点があります。

上では取引量の多い銘柄の中で、分配金利回りの高いものを抽出してみましたが、取引量の少ないものを除外しなければ、日本で上場しているETFなら分配金利回りが4%前後のETF銘柄もあり、一方、米国に上場しているものには分配金利回りが30%を超える銘柄やなんと90%を超える銘柄もありました。

90%と言えば、もう配当だけで投資金がほぼ2倍という計算です。
※2016年末の基準価額に対する分配金利回りで計算

今後も同じような分配金があるかはわかりませんので、各銘柄の分配金の実績なども確認しておくといいでしょう。

過去の分配金の確認方法

  • 国内上場ETF銘柄は、モーニングスター(http://www.morningstar.co.jp/)
    • ETFのタブで興味のあるETF銘柄の右端にある「レーティング」(☆印)をクリックする
    • 左下にある『分配金履歴 詳しく見る』を確認する
  • 米国上場ETF銘柄は、米国モーニングスター(http://www.morningstar.com/etfs.html)※英語サイトです。
    • 上にある検索ボックスにティッカー(銘柄コード)を入力
    • 検索結果から価格などが表示されているものを選択
    • 下の方にある「Latest Distribution」が分配金の過去の履歴です。

2 分配金ばかりに目を向けてはいけない!

ここまでETFの分配金についてお伝えしてきましたが、分配金だけに目を向けてはいけません。いくら分配金があっても、買ってから値段から下がってしまい分配金以上の損失になっていたら意味がありません。これが価格変動リスクです。

また、何かしら突発的な事象、例えば、戦争やテロ、大規模な自然災害など、その状況によっても異なりますが、特に取引量が少ない銘柄は売るに売れないというケースもありえます。これが流動性リスクです。こういったリスクは株式でも債券でも程度の大小こそあれ、どういった金融商品にもあるリスクですが、できるだけこういったリスクを排除するような取引を心掛けましょう。

2-1 価格変動リスク

投資対象商品の価格が変動することによるリスクです。価格が「下落するリスク」だけでなく、価格の上下の「振れ幅」が大きいか小さいかを意味します。

もちろんETFにも価格変動があります。今後、価格が下落していくだろうというETFをわざわざ買う人はいません。

各国の経済状況や政治動向のニュースにも目を向けて、場合によってはチャート分析なども身につけておくと良いかもしれません。

⇒チャート分析についてはこちら

せっかくですから、分配金だけではなく、値上がり益も狙っていきましょう。

2-2 流動性リスク

流動性リスクは、売買が極端に少なくなることで取引が成立せず、売買したいときに売買できない可能性があるということです。ETFを取引する場合であっても、できるだけ取引量(出来高)が多い銘柄、又は純資産額が大きな銘柄を選ぶようにしましょう。

ETFの取引量(出来高)等の確認方法

  • モーニングスター(http://www.morningstar.co.jp/)を表示
    • 「ETF」タブの「ETFランキング」を選択し国内か海外かを選択
    • 月間出来高を確認
  • ヤフーファイナンスのETF(http://stocks.finance.yahoo.co.jp/etf/)を表示
    • 「ETFを選ぼう」の「ランキングから銘柄を探す」を選択
    • 「出来高上位」、「売買代金上位」、「純資産上位」のもっと見るを確認

※出来高(=取引量)と売買代金(=取引されている金額)では、売買が頻繁におこなわれているかどうかがわかり、純資産額(購入されている金額)はそのETFにどのくらい資金が集まっているのかがわかります。

3 分配金利回りに注目したオススメ銘柄5選

3-1 とりあえず日本の株式を対象としたETFに投資をしたいという初心者向け

TOPIX連動型上場投資信託 1306

理由:日経平均に比べるとTOPIX価格の上下のブレが小さめになる傾向があります。

そのため、日本株を対象としたETFに投資をしたいというETF初心者の場合は日経平均に連動するETFよりもTOPIXに連動するTOPIX連動型上場投資信託(1306)がオススメです。

3-2 やっぱり日経平均!日本を代表する225社に投資をするなら

日経225連動型上場投資信託 1321

理由:メディアでもいの一番に取り上げられ価格情報やニュースなどの豊富さでは断トツな株価指数はやっぱり「日経平均」。TOPIXに比べると値動きは大きくなりがちですが、ザ・日本企業オブ日本企業に投資をするというならこれ。

あれって思われる方も多いかもしれません。

日経平均に連動するETF銘柄で、上の分配金利回りランキングで言えば、「日経225連動型上場投資信託」より「MAXIS 日経225上場投信」が良かったわけですが、日々の取引量は「日経225連動型上場投資信託」の方が「MAXIS 日経225上場投信」の数倍もあるので、流動性という観点で「日経225連動型上場投資信託」が個人的にはオススメです。

3-3 海外に上場する世界のETFに投資をするならこの3銘柄

日本株は1989年バブルで最高値を付けてから高値を更新できていませんが、海外の株価は高値を更新しています。

ただしネックは為替リスク。円高になると外貨資産(米ドルなど外貨建ての金融商品の価値)は目減りしてしまいます。為替動向にも注意しながら運用していくようにしましょう!

⇒為替動向を見る上ではこちら

3-3-1 アメリカの株価指数なら

SPDR S&P500 ETF(SPY)

理由:ETFオブETF、歴史も最も古く純資産額も最大のETFです。米国株はITバブルの崩壊やリーマンショック後も高値を更新しています。米国株を対象としたETFを始めたいというなら是非検討してみましょう!

3-3-2 アメリカの債券に投資するなら

iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド(HYG)

理由:海外のETFには債券(国債や地方債・社債など)を対象にしたものがあります。

価格変動リスクを考えれば、外国株式を対象としたETFよりも外国債券を対象としたETFの方が値動きは小さく、また、日本に比べれば米国は金利が高いので分配金利回りも高いです。ただし、米国が政策金利を急激なペースで引き上げるとなると、米国債の価格が下落する可能性があるので、米国の金融政策には注意をしておきましょう!

3-3-3 米国・カナダ以外の先進国を中心とした世界中の株式に投資をするなら

iシェアーズMSCI EAFE ETF(EFA)

理由:それぞれの国によっては、経済成長率がマイナスと言う国もありますが、世界経済は毎年数%で成長しています。

そういった中で、世界に分散投資をする方法もあります。

もっとも有名なのは「iシェアーズMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」です。先進国から新興国まで全世界の株式市場の時価総額の85%をカバーされており、まさに地球の株式市場にまるっと投資をするというイメージです。ただし、新興国の急成長が今後も続くのであれば、もちろんACWIで良いわけですが、何かのショックがあった場合脆弱なのが新興国市場。

そういった観点から先進国を中心としたiシェアーズMSCI EAFE ETFは、他のETFと組み合わせてポートフォリオを組むなどにオススメです。

4 分配金が無い(見込めない)ETF銘柄もある

今回、分配金に着目したETFを購入についてお伝えしてきましたが、そもそも分配金が無い、あるいは見込めないETFもあるってことです。

例えば、金や原油などの「コモディティ」を投資対象としたETF、また、株価指数の2倍・3倍の変動率で連動するレバレッジ型のETF、更に株価指数が下落するとその変動率分価格が上昇するというインバース型のETFなどです。

これらのETFは分配金はゼロと思って差し支えありません。したがって、こういったETF銘柄については分配金に着目した運用は見込めないのです。逆に、言い換えれば、金や原油などコモディティを原資産としたETFやレバレッジ型、インバース型のETFは値上がり益や、ヘッジ目的の運用に適しているということです。

※ヘッジ目的の運用:例えば日経平均に連動するETFを保有している場合に、何かしらの要因で日経平均株価が下落してしまいそうだという時に、日経平均に連動するETFの損失拡大に対して、インバース型のETFは日々の下落率分の利益がでるため、損失の急拡大をカバーすることができる。

5 まとめ

今回はETFの分配金に焦点を当ててお伝えいたしました。

ETFの値動きだけでなく、今後は分配金や分配金利回りにも注目してはいかがでしょう?