
■短期の相場見通し
S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4100とします。

米国株は2月後半から下げる局面がありました。しかしダウ工業株価平均指数とS&P500指数はすぐに立ち直り、いまは新値を追う展開です。
一方、ナスダック総合指数だけが二番底を試しに行く展開となっています。ナスダック総合指数の動きが悪い理由は、高いバリュエーションで取引されているグロース株は長期金利の上昇に弱いからです。その長期金利は10年債利回りで1.74%まで上昇しましたが、月末にかけてやや騰勢が衰えました。

3月下旬にはレバレッジを用いて主に成長株に投資しているヘッジファンドのひとつが保有銘柄の下落でマージンコール(信用取引の追証の要求)に応えられなくなり、ポジションをバッサリ落とすドラマがありました。
このようなニュースに接し、市場参加者はリスクに敏感になっており、慎重なスタンスを取りはじめています。そのことは安全資産としての長期債が見直される可能性を示唆しており、これまでに見たような10年債利回りの上昇は一段落すると考えるのが自然です。
そのシナリオではグロース株が受けてきた金利面での逆風が止むのでナスダック総合指数とダウ工業株価指数ならびにS&P500指数との間のパフォーマンス格差は今後詰まってゆくと考えるのが自然です。
■米国経済の現況
いま米国では新型コロナワクチンの接種がどんどん捗っています。3月30日の時点で延べ1.45億回のワクチンが注射されました。少なくとも1回目の注射を終えた人は米国の人口の28.6%にのぼっています。
人々は注射さえ打てば新型コロナに感染しても重篤になるリスクが大幅に軽減されることから積極的に街に出始めています。
このため足下の米国の景気はとても強くなることが予想されます。事実、3月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で発表された経済予想サマリー(SEP)ではFRBメンバーの今年末のGDP予想は6.5%となっていました。

今回の景気回復はワクチン接種という特殊要因によるため急速かつ短命です。そのことは景気が夏頃にピークをつけるということです。その後、景気は減速すると見込まれています。
景気敏感株は景気拡大局面の前半では株式市場をアウトパフォームしますが、後半ではアンダーパフォームすることが知られています。したがって素材、工業、消費循環株などのシクリカル(市況)株は「早乗り・早降り」のスタンスを徹底させるべきだと思います。
■企業業績
米国の企業業績は好調です。

2020年から2021年にかけてのS&P500の一株当たり利益(EPS)成長率は25%、2021年から2022年にかけては15%です。これらはとても立派な成長率です。言い換えれば企業業績は良いのだから金利さえ落ち着けばマーケットには強気で臨んで良いのです。
■注目ETF
4月はナスダックが他の指数より急に上昇する可能性があります。その場合、パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(コード:QQQ)が好適な投資対象となります。
さらにレバレッジをかけたい場合は、S&P500の2倍の値動きをするよう設計されているプロシェアーズ・ウルトラS&P500(コード:SSO)、あるいはナスダック100指数の3倍の動きをするように設計されているプロシェアーズ・ウルトラプロQQQ(コード:TQQQ)という銘柄もあります。これらの高レバレッジの銘柄はリスクも高いので上手いリズムで乗ることが出来なかった場合はポジションを放置せず、直ぐに手仕舞ったほうが良いでしょう。
ナスダックがアウトパフォームするということはテクノロジー・セクターも好パフォーマンスを予想しているわけで、その場合テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(コード:XLK)がトレード対象として好適です。
もう少し低いリスクでトレードしたい場合は生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド(コード:XLP)が良いと思います。