アメリカのマーケット展望【2023年10月度】

短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4050とします。

9月は米国の10年債利回りが4.1%から4.65%まで上昇、それを嫌気するカタチで株式が売られました。

米国の長期金利が上昇している理由は二つあります。ひとつはインフレの見通しが混沌としてきたことです。

不安を煽る原因となったのは原油価格であり過去1カ月間に米国の原油の指標銘柄であるウエストテキサスインターメディエーツ(WTI)は80.5ドルから93ドルまで上昇しました。

折角いい感じで下がってきた消費者物価指数が再び騰勢を強めるのでは? という不安が投資家の頭をよぎり始めています。

二番目の理由は、そもそも米国経済が強いという点です。

9月の連邦公開市場委員会(FOMC)の際に発表された経済予想サマリー(SEP)によると、2023年末の米国のGDPの予想が前回6月の調査の時のコンセンサスだった1%から2.1%へとジャンプしました。

もちろん景気が強いことは大いに歓迎すべきことですけれど市場関係者が織り込んでいたような来年早々の利下げは遠のきました。

これらが9月を通じて株式市場が軟調だった理由です。

それでは10月はどうか? という事ですが、まず長期金利の上昇に歯止めがかからなければ株式の出直りは期待薄だと思います。そのためには原油価格が反落する必要があります。

米国経済の現況

米国経済は力強く成長しています。その推進力となっているのは消費の好調です。家計部門は新型コロナの期間、バランスシートの修復に努め、経済再開に際してはすっかり健全な姿で新しいスタートを切りました。

雇用市場が強かったので賃金の上昇も目を見張るものがあり、それらは消費者をして消費に積極的になる理由を提供してきました。

いまは収入の伸びよりも消費の伸びのペースの方が若干早いので、人々はクレジットカードなどの借入残高を増やしながら高水準の消費を維持している格好になっています。これは長期で見れば不健全ですが景気回復の初期では普通に見られる現象であり、特に目くじら立てる筋合いのことではないと思います。

問題は折からの高金利でこのような借り入れに依存した消費はどこかで息切れするということです。

企業業績

10月第3週から第3四半期の決算発表シーズンが始まります。今期は期中ドル高基調だったため決算の取りこぼしが多数発生することが懸念されます。とりわけ輸出比率の高いハイテク・セクターの決算が不安です。

2024年の業績予想に関してもアナリストの予想は楽観的すぎるので下方修正が入りやすいと思います。

注目ETF

9月は売りから入るトレードが功を奏しました。10月も前半はその地合いを踏襲するものと予想されます。

テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLK)、一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド(XLY)、資本財セレクト・セクターSPDRファンド(XLI)、パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(QQQ)などのファンドは先ず売りから入ると良いと思います。しかし10月のどこかで「こつん」とマーケットが底打つ可能性があるので、市場のセンチメントが極端に陰の極へ振れた場合にはトレード戦略を「どてん」して、逆に買い向かう柔軟さも必要だと思います。

WTI原油連動ETF(USO)に関しては上記の各銘柄とは真逆のトレード戦略が必要です。なぜなら原油価格の上昇がこれまでの軟調な相場の原因を作ってきたからです。従って月初はロングで入るものの反転する兆しが見えたらすぐにショートに切り替えたいと思います。