アメリカのマーケット展望【2023年8月度】

短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4300とします。

10年債利回りは4%を試す展開となっています。

(出典:セントルイスFRB)

経験則的に10年債利回りが4%を超えると株式のトレーダーは利食いを先行させます。

原油価格は80ドルに乗せています。この水準は過去に何度も試されたテクニカル的な節目でありここを上に切るようだと原油価格は反騰局面に入る可能性があります。

(出典:セントルイスFRB)

原油価格が上昇している一因は米国内でのガソリン価格が折からのサマー・ドライビング・シーズンで堅調に推移していることによります。米国の消費者のマインドは堅調であり行楽需要は強いです。それが高水準のガソリンの消費につながっています。

エネルギー価格の上昇は去年の6月以降続いてきたインフレ鎮静化の流れに逆行する、歓迎せざる展開です。株式市場の上昇がそれに耐えられるか注目されます。

米国経済の現況

米国の実質GDPは2023年第2四半期に予想を上回る前年同期比+2.6%で成長しました。

(出典:セントルイスFRB)

これを受けてソフトランディングへの期待が高まっています。ソフトランディングとは、経済を不況に陥れることなくインフレ率をターゲットの2%にもってゆくことに成功することを指します。

企業業績

7月28日の時点でS&P500指数採用企業の51%が第2四半期決算の発表を終えており、80%の企業がEPSで事前予想を上回りました。これは過去10年の平均より良い成績です。また64%の企業が売上高で事前予想を上回りました。これは過去10年の平均にほぼ一致する成績です。

S&P500四半期EPS成長率は今が変化率的にはボトムと考えられます。

(出典:ファクトセット)

率直に言って米国の企業収益はパッとしません。

注目ETF

現在S&P500指数は向こう12か月の一株当たり利益(EPS)の19倍以上で取引されています。これは過去10年の平均より割高です。しかも政策金利は5.25~5.50%と高くなっています。株式バリュエーションの決定要因である企業収益と金利の両方が逆風なのです。そのことはちょっとした悪いニュースで株価は売られやすいことを意味します。

テクノロジー株ETF(XLK)、破壊的イノベーションETF(ARKK)、ナスダック100ETF(QQQ)、S&P500ETF(SPY)などの売り建てを考えたいと思います。

ロングサイドではSPDRゴールドETF(GLD)、シルバーETF(SLV)、原油ETF(USO)を買い持ちにしたいです。