アメリカのマーケット展望【2023年6月度】

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4050とします。

3月以降の米国株式市場、とりわけナスダックが堅調に推移してきた一因は「もし地銀の経営不安が飛び火したら……連邦準備制度理事会(FRB)は利下げに踏み切らざるを得ない」という考えが投資家の間にあったからです。

しかし地銀の経営不安問題は拡大する様相を見せていません。

そのことは投資家の注目が再びインフレに戻ることを意味します。6月の経済統計次第ではFRBが政策金利の引上げを継続しなければいけなくなるリスクがあります。

もし足下の経済が強いことが原因で長期金利が上昇し始めれば、ナスダックを中心に株式市場が値を切り下げるリスクもあります。

■米国経済の現況

米国経済は好調です。5月5日に発表された4月の非農業部門雇用者数は予想18万人に対し25.3万人、失業率は予想3.6%に対し3.4%、平均時給の伸びは予想4.2%に対し4.4%でした。

一方、5月10日に発表された4月の物価統計では消費者物価指数は予想5.0%に対し4.9%でしたがコア指数は予想に一致する5.5%で依然として高い水準でした。

つまり景気が弱すぎることを心配するのではなく、逆に強すぎることから来る金利上昇のほうが怖いです。

■企業業績

2023年第2四半期の展望ですが、このところ為替がドル高へ振れており輸出企業の業績に暗い影を落としています。四半期EPSの前年比較では第2四半期が最も悪くなる(-5%前後)可能性があります。

■注目ETF

そんなわけで6月はやや軟調な相場展開を予想します。パワーシェアーズQQQ信託シリーズ(QQQ)ARKイノベーションETF(ARKK)テクノロジー・セレクト・セクターSPDEファンド(XLK)をショートする戦法が良いかも知れません。金融セレクト・セクターSPDRファンド(XLF)、WTI原油連動ETF(USO)はロングしたいと思います。