アメリカのマーケット展望【2022年2月度】

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4300とします。

(出典:ヤフー・ファイナンス)

1月のS&P500指数の月次パフォーマンスは-5.2 %でした。「ストックトレーダーズ・アルマナック」によると1月がマイナスで終わった年は通年もマイナスになる確率が84.5%だそうです。つまり今年の米国株は厳しい未来が待ち受けているということです。

なぜ1月に相場が下げたか? と言えば、それは米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ退治の目的で金融引締めに乗り出すスタンスを明快に打ち出したからです。

最初の利上げは3月に実施されるということが既にシグナルされています。また6月くらいからは連邦準備制度の総資産の圧縮、言い換えればFRBのバランスシートの縮小が開始される見込みです。

それは具体的に何を意味するか? と言うと、いまFRBの金庫の中に眠っている債券の保有高を今後だんだん減らしてゆくということです。それらの保有証券の少なからぬ部分は、向こう1~2年くらいで償還期限が到来する短期債なので、FRBが何もしなくても償還が来た債券は現金へと化けるというわけです。

これまでFRBは市場にキャッシュを供給し続けるために、そんな風に現金化された分に関してはもう一度短期債を買い直していたわけです。だからその短期債の買い直しを今後はしないということになります。

そう聞くと何だか些細な事のような印象を受けるわけですが、このような政策変更により3兆ドルくらいの現金を市中から吸い上げることが出来てしまうのです。

それは世の中の金回りが悪くなってしまう事を意味し、当然、株式投資に回ってくるお金も細ってしまいます。

1月にマーケットが下がったのはこのような理由によります。

2月に関しては例年、相場が悪い月だというジンクスがあります。いよいよ3月に一回目の利上げを控えているということもあって余り楽観視は出来ません。

向こう1カ月のS&P500のターゲットを4300という控え目なものにしたのはそのためです。

■米国経済の現況

米国経済は好調です。先週発表された2021年第4四半期のGDP速報値は前期比年率+6.9%でした。

いまの米国経済に懸念材料があるとすればそれはインフレです。足下のインフレは前年比+7%となっています。

(出典:セントルイスFRB)

このインフレは過去39年でもっとも酷い水準であり直ちに抑え込みにとりかかる必要があります。

FRBが慌てた素振りを見せることを投資家は恐れています。なぜなら、ぎこちないFRBの采配ほど市場参加者を恐怖に陥れる行為は無いからです。

■企業業績

現在、2021年第4四半期の決算発表シーズンの真只中で、S&P500指数に採用された企業の約3分の1が決算発表を終えています。良い決算を出す企業の割合は、大体過去平均と同じかそれより少し良い程度であり、大きな異変は感じられません。ただ来期以降EPS成長率は下のチャートにあるようにかなり鈍化すると見られています。

(出典:ファクトセット)

■注目ETF

2月は季節的にマーケットが弱いです。そこでトレード戦略としては米国を代表する株価指数であるS&P500に投資するSPDR S&P500 ETF(コード:SPY)、さらにナスダック100指数に投資するパワーシェアーズQQQ信託シリーズ(コード:QQQ)を売り建てるやり方があると思います。小型株指数であるiシェアーズ・ラッセル2000ETF(コード:IWM)をショートする手もあるでしょう。

原油価格は引き続き堅調が予想されますのでWTI原油連動ETF(コード:USO)、エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド(コード:XLE)をロングすることも可能だと思います。