アメリカのマーケット展望【2021年11月度】

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4700とします。

(出典:ヤフー・ファイナンス)

11月、12月、1月の三か月間は経験則的に米国の株式市場が1年で一番強い時期であることが知られています。

(出典:ストックトレーダーズ・アルマナック)

先高感が台頭しているひとつの理由は長期金利の上昇が和らいだことによります。市中金利と株式バリュエーションはシーソーの関係にあり、一方が上ると他方は下がります。金利の上昇が収まったということはようやく安心して株式投資に取り組めることを意味します。

■米国経済の現況

第3四半期のGDPは予想2.7%に対し結果2.0%と悪い数字でした。

(出典:セントルイスFRB)

GDPが予想を下回った理由は新型コロナのデルタ変異株の蔓延、サプライチェーンの混乱でメーカーや小売店が思ったように仕入れが出来なかった事などによります。

しかし今後のGDPはこのまま鈍化するのではなく再び力強く伸びるというのが多くのエコノミストの予想です。

その理由はこれからクリスマス商戦期間に入ってゆくにあたり米国の家計部門の状況は極めて健全だからです。全米小売業協会(NRF)は「今年のクリスマス商戦期間の売上高は前年比+10%もありうる」という極めて強気の関係を出しています。

消費は米国のGDPの70%を占めていますので消費が好調であれば当然GDPも再加速するというわけです。

■企業業績

いま第3四半期決算発表シーズンの真只中です。これまでにS&P500採用企業の56%が決算発表を終えておりEPSの面では82%の企業が、売上高の面では75%の企業がポジティブ・サプライズを出しました。これは過去最高水準ではないけれど、まあまあ立派な数字です。

前年同期比では+36%くらいのEPS成長となっています。

しかし個々の企業を見ると良い決算を出している企業の顔触れがかなり入れ替わっています。

一例としてアップル(ティッカーシンボル:AAPL)やアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)は、「はっ!」とするような悪い決算でした。

アップルの場合は折からの半導体不足で出荷が遅延したことが売上に響きました。アマゾンの場合はサプライチェーンの乱れと賃金上昇圧力が業績を圧迫しました。

これと対照的に石油のエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)、シェブロン(ティッカーシンボル:CVX)などは良い決算を出しました。

つまりテクノロジー株からエネルギー株へと好業績の中心がシフトしはじめているのです。これに加えて今期はバンクオブアメリカ(ティッカーシンボル:BAC)に代表される銀行株も好調でした。

■注目ETF

11月の米国株は好調が予想されるためロング、すなわち買いから入るトレードで臨みたいと思います。

原油ETF(コード:USO)、SPDRゴールドETF(コード:GLD)、エネルギー株ETF(コード:XLE)、金融株ETF(コード:XLF)、S&P500 ETF(コード:SPY)に注目しています。