■短期の相場見通し
S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4500とします。
連邦準備制度理事会(FRB)は7月27・28日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で現行の政策金利(0~0.25%)ならびに債券買い入れプログラムを堅持すると発表しました。米国経済は進捗を見せているものの債券買い入れプログラムの縮小を決断するには未だ早く、もうすこし今後の経済データを観察したいという意味の発言をパウエル議長がしました。テーパーのタイミング、規模、どの証券をどれだけテーパーする? という細かい事に関してはすでにFOMCメンバーの間で盛んな討議が始まっていますが結論は出ておらず、いま公に出来ることは少ないそうです。
そのニュアンスから考えて8月末にワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムでテーパーが打ち出される公算はやや後退したと言えるでしょう。その間、市場参加者は折からの低金利と空前の企業業績を素直に好感し、株式を買い進んでゆくことが予想されます。8月も強気のスタンスを堅持する理由はそこにあります。
■米国経済の現況
7月29日に発表された第2四半期GDPは予想8.5%に対し6.5%にとどまりました。
ただし下振れの原因は住宅(-9.8%)と在庫(-1.1%)であり、個人消費(+11.8%)は強かったです。住宅価格は余り短期間のうちに上昇し過ぎたので、消費者が買い控えをしたのが原因です。
■企業業績
米国の企業業績は好調です。7月23日までにS&P500採用企業の44%が決算発表を終えているのですがそのうち88%の企業がEPSで予想を上回りました。前年同期比で+70%前後の成長が出ています。
去年の第2四半期は新型コロナの外出禁止令で経済はパッタリと止まっていた時期なので業績の前年比較が強いのは当然といえば当然です。今後徐々に前年比較は厳しくなってゆきます。その意味では今が業績の変化率のピークであると言えるでしょう。
■注目ETF
現在は市中金利も低いし企業業績も極めて好調なので全てがバラ色のように見えます。FRBは今月何も発表しないと思うのでしばらくの間は強い株式市場が続くと考えられます。
しかしこれ以上の投資環境というのは金利的にも業績的にもあり得ないと思われるため、いまはいつ転機が訪れるか注意を払うべき局面です。その意味において今月のトレードは「早乗り早降り」に徹し、見込み違いの場合はムリしてポジションを引っ張らない謙虚さが必要だと思います。
SPDR S&P500 ETF(コード:SPY)は米国の大型株を中心に構成されている株価指数、S&P500指数をトレースするように設計されています。出来高が多く、サクサクとトレードできる関係でトレーダーに好まれるETFです。
同じくトレーディングに向いているETFとしてパワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(コード:QQQ)があります。これはナスダックの大型株100銘柄から構成されるナスダック100指数に連動するよう設計されています。このところGAFAM(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の株価が好調であり、それらの企業はナスダック100指数に占める割合が大きいので値幅撮りがしやすい環境となっています。
日頃あまり話題にしないのですが欧州経済も実は好調です。ウィズダムツリー欧州ヘッジド・エクイティ・ファンド(コード:HEDJ)は欧州の大型株に投資するETFとして好適です。
このところずっとお休みしていた金価格にようやく動意が見られています。SPDRゴールドシェア(コード:GLD)に出遅れ感が強いです。
同様に人気離散している投資対象としては中国の大型株に投資するiシェアーズ中国大型株ETF(コード:FXI)に割安感があります。