アメリカのマーケット展望【2021年3月度】

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4000とします。

(出典:ヤフー・ファイナンス)

米国株は月末にかけて軟調な展開となりましたがその原因は長期金利の上昇を株式市場の参加者が嫌気したためです。下は米国10年債利回りのチャートです。

(出典:セントルイスFRB)

新型コロナワクチンの接種が捗りはじめていることが景気の先行きに関する楽観論の台頭を招いています。債券が売られているのはそのためです。株式もこれに敬意を表するカタチでバリュエーションが割高に買い進まれている銘柄を中心に調整が入りました。

3・4月は季節的に株式市場が強い時期です。

(出典:ストックトレーダーズ・アルマナック)

したがって今月は強気で臨むべきだと考えます。

■米国経済の現況

米国経済の見通しは明るさを増しています。これまでに世界では2.3億回、米国では7280万回の新型コロナワクチン注射が行われました。米国民の14.6%が第1回目の注射を終えており、1日の注射回数は165万回です。今後、製薬各社はワクチンの増産を見込んでいるため、1か月後には毎日の注射回数が現在の2倍になることも期待されています。秋ごろになれば、逆に米国内でワクチンが余るという観測すらあります。

2月末に下院は1.9兆ドルの追加景気刺激策を可決しました。この法案は上院に回され投票に付された後、バイデン大統領の署名を得て成立する見通しです。国民ひとりひとりに1400ドルを配ることが規定されています。前回、国民ひとりひとりに600ドルを配ったときは、その少なからぬ部分が株式市場へ向かったと言われます。いまアメリカでは個人投資家ブームになっているのですが、それがもう一度過熱の様相を呈する可能性もあるわけです。

米国連邦準備制度理事会(FRB)は緩和的な金利政策を堅持しています。FRBは新しく去年から打ち出された政策金利決定枠組みの中で、黒人などのマイノリティーを含めた、幅広い雇用の確保が達成できるまでは辛抱強く緩和的なスタンスを堅持する方針が打ち出されています。その関係で、すくなくとも短期的にはむやみにテーパーリングなどのメッセージを出すことはしないと予想されます。それは株式の投資家にとっては「まだ遊んでいて良い」ことを意味するわけで、FRBの動向をチラリと伺いつつ、引き続きパーティーに打ち興じるような展開が続く可能性が濃厚です。

■企業業績

いま2020年第4四半期決算発表シーズンが終わろうとしているのですが今回の決算は事前予想を上回る企業が相次ぎ、全体として前年同期比マイナスで終わるだろうと当初予想されていたのが、どうやら+1%になりそうな雰囲気になっています。

(出典:ファクトセット)

なお2021年のコンセンサスS&P500EPSは$140.42、2022年は$174.25です。

■注目ETF

冒頭の米国10年債利回りのチャートで示したように、いま米国の長期金利は上昇しており、その結果として長短金利差は拡大しています。長短金利差が拡大している局面では短期市場で資金を調達しそれを長期で貸付ける銀行の利ザヤは拡大しやすいです。そこで金融セレクト・セクターSPDRファンド(XLF)が面白いと思います。また経済は強いわけですから資本財セクターも活況となっています。資本財セレクト・セクターSPDRファンド(XLI)が好適だと思います。

新型コロナワクチンの接種が進むと人々が街に出て消費も活発化すると思われるので一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド(XLY)も良いと思います。

ハイテク株はざっくり調整したのですが、相場全般が高い局面ではバーゲン・ハンティングの対象となる可能性があります。そこでパワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(QQQ)をロングするアイデアも良いと思います。

最後のアイデアとして仮想通貨の影に隠れて出遅れ感の強いSPDRゴールド・シェア(GLD)にも妙味があると思います。