ECB:ドラギマジックは止まらない?

こんにちは!インヴァスト証券の山口です。

 

昨日、ECB理事会についてラーメンの「全部のせ」の話をしました。

 

結果は

・政策金利を0.00%(従来:0.05%)

・限界貸出金利0.25%(従来:0.30%)

・預け入れ金利を-0.4%(従来:-0.3%)

・月間の資産買入額800億ユーロ(従来:600億ユーロ)

・資産買入の対象に「ユーロ圏企業の投資適格とする社債」を含める

・6月から新しいTLTRO(銀行が民間にお金を貸す金額が増えるほど、銀行が超低金利でECBからお金を借りることができる)の導入

 

と、「おっと、意外にのってるね!」という内容です。

 

こういった意外性(=サプライズ)はマーケットの心理を動かします。

ECB理事会前までユーロ/米ドルは1.0950から1.1000ドルでの推移となっていましたが、21時45分の発表後には予想以上のボリューム感だったことで1.08ドル台半ばまで急落し、ドラギ総裁の定例会見が始まる22時45分前には、ドラギ総裁の過去の会見のように「更に追加緩和をする用意がある」という発言に期待感をもったマーケット心理から1.0822をつけました。

 

 

【市場の期待を裏切るドラギ総裁の発言】

そういった市場心理になっている中で、ドラギECB総裁の発言は以下のようなものでした。

・政策金利は長期的に今の水準かそれ以下の水準にとどまる。

・資産買入が終わっても相当な期間低金利は維持する。

・現段階ではこれ以上の利下げが必要だと考えてない。

・世界経済の見通しが悪化してるので、ユーロ圏の経済成長率の予想を引き下げました。

・2016年のユーロ圏の経済成長率の予想は1.7%から1.4%に下方修正しました。

・2016年の物価上昇率の予想は1.0%から0.1%に下方修正しました。

・景気物価見通しは長率が2017年で1.7%、2018年で1.8%、物価上昇率が2017年で1.3%、2018年で1.6%

・TLTROの金利は-0.4%程度まで低くなる可能性もある(ECBからお金を借りたらECBが利子を払ってくれる状態)

 

マーケットは今までのドラギ総裁の会見で発言されていた「更に追加緩和をする用意がある」という内容に期待を持っていたわけです。

もう、それはパブロフの犬のようにベルが鳴るのを待ち構えていたわけです。

ところが、今回の会見で「現段階ではこれ以上の利下げが必要だと考えてない。」という発言。

これを受けてマーケットは瞬間的に「え!もう追加緩和は無いんだ!」という心理になり、結果、1.0822から一気にユーロは買い戻されて1.11ドル台まで上昇しました。

これが昨晩ECB後の顛末(プライスアクション)です。

 

 

 

なお、昨晩のドラギ総裁の会見は以下のリンクから見ることができます。

YoutubeのECBeuroチャンネル

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さて、ではファンダメンタル的にどうなのかといえば、中長期的な視点でユーロは売りだと思います。昨晩の高値などは絶好の売りポイントだったかもしれません。

 

また、「もう追加緩和は無い!」というのは「今はこれ以上の利下げの必要が無い」ということで、今後、ECBは今回の追加緩和で景気や物価動向をチェック、詳細を点検した上で、必要であれば「更に追加緩和をする」、若しくはそういった発言がECBの要人から聞こえてくると思います。

 

今回のECB理事会の結果から、これから「ユーロを買おう」というのは早合点になる恐れがあります。

 

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