FOMC議事録はハト派 「メンバーの過半数が利上げ幅の縮小を支持している」

■FOMC議事録


11月1日と2日の両日に渡って開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が11月23日に公表されました。

結論から言えばその内容はハト派的であり、声明文がほのめかした通り、12月14日のFOMCから米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)の利上げ幅をこれまでの0.75%から0.50%へ狭めることを肯定する内容でした。

議事録ではまず金融コンディションが引締め的になったことが指摘されました。

FOMC参加メンバーからは市場が予想する政策金利を見ると今後もFRBが引締め的な金利政策を継続すると市場が予想しているという指摘がありました。つまりインフレに対して断固とした態度を取るというFRBのメッセージはじゅうぶん市場参加者に届いているということです。

先月はコア・インフレが予想より上振れした関係で11月のFOMCでの利上げ幅は0.75%だという強いコンセンサスがありました。そのコンセンサス通りにFRBは利上げしたというわけです。

しかし議事録はこと将来の利上げに関する限り「何時ペースを減速させる?」という点に市場参加者の関心が移ってきていることを指摘しています。そして12月には0.50%の利上げ幅に減速すると考えているトレーダーが多いことが指摘されました。

■経済の現況


議事録では米国経済の現況を次のようにまとめています。

まず労働市場は引き続き強いです。またPCEインフレは+6.2%と引き続き高水準にあります。しかし求人数は少し減少しました。いっぽう名目賃金は相変わらず強く、前年比で+5.0%でした。

次に企業の借入コストが上昇したことで信用市場における調達活動は低迷しています。貸付内容は引き続き健全です。但し一部の低格付けの借り手では貸付の内容が劣化しています。

消費者の方に目を転じると住宅ローンはまだ簡単に組むことが可能ですが住宅ローン金利はだいぶ上昇しました。住宅購入ならびに借り換え件数は8月から9月にかけて横這いでした。いっぽうノンバンクの貸付内容には劣化が見られています。

家計部門の貸付内容は健全です。住宅ローンの支払遅延は引き続き件数が減少しています。クレカ債務、オートローンの焦げ付きは増えています。しかし新型コロナ前の水準に比べるとまだ健全な水準です。

■議事録のハイライト


今回の議事録で最も需要な箇所は「メンバーの過半数がそろそろ利上げ幅を縮小したほうが好ましいと考えている」という記述があったことです。

株式市場はこれを好感し、11月末にかけて一段高することが予想されます。