カナダ円-2020年相場予想と戦略-

“原油価格と中銀の政策スタンスの変化に注意”

【かんたんまとめ】

 まず、2020年のカナダ円相場のレンジ予想を文頭にて簡単に解説します。
その詳細については、本項以降をお読み頂きたいと思います。

◇想定レンジ幅

79~87円

◇売買戦略

79円方向への下落では、買い狙い。ただ、リスク回避の動きが強まった場合、75円までの可能性を考えて、買い下がりの余裕を持って対応しましょう。
・ターゲットは、85円が抑えるなら利食い優先、超えるなら89円、更に90円台などは、絶好の利食い場となるでしょう。
・90円台前半は、売りも検討できますが、96円などをストップとして、利食いは85円が逆に支えると買い戻しとなります。
・もし、カナダ中銀が利下げスタンスに転じることがはっきりとした場合・OPECが、減産を止めるようなことがあった場合には、しっかりと買いポジションがあれば利食って、レベル感は別として、売りも狙ってみましょう。

【2019年の相場を振り返って】

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 2019年の相場は、年初の1月3日に、円が大きく買われる「フラッシュ・クラッシュ」が起きたことで、波乱が予想されるスタートとなりましたが、米中通商協議に、合意の期待感が高まったことで、カナダ円相場は、85.23の年間高値を示現しました。ただその後は、カナダ中銀が、世界的に高まる通商協議の混乱に対する懸念から、景気にハト派的な見方を示したこと。加えて予想外に、中国が米国との合意文書に拒否感を示したことで、トランプ大統領が、次々と関税政策を強め、8月には、ドル円相場が、フラッシュ・クラッシュの時の下落でつけた安値を更に割り込む104.46まで下落したことで、カナダ円相場も1月の安値77.88に迫る78.48まで一時値を下げました。
 ただ、カナダ円相場では、OPECが年間を通して減産姿勢を継続、原油価格が反発し、良好なカナダ経済を背景にカナダ中銀が利下げスタンスを継続する中、政策金利を据え置いたこと、米国とのUSMCA(新NAFTA)交渉や米中通商協議の合意期待感、NY株価が史上最高値を更新し続けたことで、リスク志向に改善が見え、堅調に反発する形で引けることになりました。
 そうなると2020年のカナダ円相場は、通商協議に対する懸念は、若干和らぐとしても、カナダ経済の動向やカナダ中銀の政策スタンス、原油相場の動向や株価の行方などが、大きな焦点となりそうです。ただ年末には、米国の大統領選が控えています。現状トランプ大統領の優勢が伝えられえていますが、民主党の候補者が誰に決まるかによって、ドル円相場に思惑的な動きが出易いことは、留意して対応するほうが良さそうです。

【ファンダメンタルズ】

 それでは、ファンダメンタルズ面を見てみましょう。

〇 カナダ経済

 カナダは、世界でロシアに次ぐ2番目の面積を持ち、天然資源も多く埋蔵されています。世界的にも裕福な国のひとつで、古くからG8先進国のひとつとなっています。
 経済の中心はサービス業ですが、製造業でも自動車産業・航空機産業などが盛んで、鉱物資源としては、オイルサンドはサウジアラビア、ベネズエラに次ぐ世界第3位の埋蔵量を誇り、金、ニッケル、ウラン、鉛、カリウムなどが主に採掘されていますが、ウランは世界第1位の産出量です。また、広大な土地を有していることから、林業も盛んで、カナダの材木がないと米国の住宅が建たないとも言われています。
 1990年代前半までは、経済的混乱がありましたが、1997年以降は、失業率が低下し順調に回復を続けています。また、地政学リスクが低く、高格付けが維持されており、過去においては、高金利・資源国通貨として、本邦の投資家からの投資ニーズも旺盛でした。

◇地政学リスク
特定の国や地域が抱える政治・軍事・社会的な緊張の高まりから、世界経済の先行きが不透明なものとなり、関連性のある商品の価格を変動させるリスクのことを指します。
武力衝突などが勃発すると、その地域に対する投資や経済活動の先行きが不透明となり、投資資金の引き揚げに繋がる場合があります。

 ただ、直近では、通商面で米国のNAFTAに参加していましたが、トランプ大統領が就任後、米国がNAFTAからの離脱を表明したことで、経済面での懸念が高まりました。ただ、これも「USMCA(新NAFTA)」が、米議会で承認・発効されたことで、現在ではこの混乱も落ち着いています。

 金融面では、リーマンショック、続く欧州信用不安などを受けて、先進他国同様、歴史的な低金利の位置にあります。直近では、米経済の急速な立ち直り、原油価格や金相場の反発などからインフレ率が、カナダ中銀のターゲットとなる2%を上回ったことで、2017年から、政策金利の引き上げを行っています。

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 カナダ経済は比較的良好と言われていますが、ただ、直近のGDPの前年比を見る限り、世界的な景気低迷もあって軟調気味です。特にこの間カナダ中銀は、利上げで対応していますから、今後この悪影響が見えるかもしれません。資源国・オセアニア通貨が、総じて利下げに傾いている中で、カナダ中銀も一定の調整を迫られるかもしれません。

 以下が今年のカナダ中銀の理事会と政策金利の発表予定です。政策金利を動かさなくても、その声明や総裁の発言には注意しておきましょう。  

01月22日:カナダ中銀・政策金利および政策リポート公表、総裁記者会見
03月04日:カナダ中銀・政策金利公表
04月15日:カナダ中銀・政策金利および政策リポート公表、総裁記者会見
06月03日:カナダ中銀・政策金利公表
07月15日:カナダ中銀・政策金利および政策リポート公表、総裁記者会見
09月09日:カナダ中銀・政策金利公表
10月28日:カナダ中銀・政策金利および政策リポート公表、総裁記者会見
12月09日:カナダ中銀・政策金利公表

〇 日本経済

 カナダ円は、ドル円相場の影響を大きく受けますので、日本経済の状況もチェックしておきましょう。
 日本経済は、昨年の消費増税にも、事前に政府がポイント還元などの対策を打ち出したことで、一部改善が見えています。IMFや日本銀行も成長率の見通しを引上げました。今年は東京オリンピックも控えていることで訪日外人の増加など、一定の期待感が景気を支えるとの見方となりそうです。
 ただ、海外要因としては、米中通商協議は、フェーズ1の合意に署名が行われましたが、未だ対中追加関税の7割が残されています。中国は、産業補助金や人権問題など、受け入れ難い要求を米国から受けており、両者の壁は厚く、一部米国の大統領選が終わるまで、完全な合意の可能性は難しそうです。そうなると中国経済の急速な回復を想定することも出来ず、日本経済にも悪影響を与えそうです。
 また、イランや北朝鮮など、核問題に端を発した地政学リスクの問題は、偶発性が高く、想定することは困難ですが、今年もこういった懸念が続く限り、特にほぼ100%輸入に頼っている原油や天然ガスの価格上昇が続いた場合、日本の景気にはマイナス面が強そうです。6月9日と12月に開催されるOPEC総会には、最大の注意を払っておきましょう。

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 加えて、上の日銀が四半期毎に公表する日銀短期経済観測のチャートをご覧ください。
 日本の景気は、バブル崩壊後、回復過程にあっても、大企業の製造業・非製造業の現況指数(DI)は、25から26に達するとほぼピークをつけています。今後すぐにとは言えないまでも、今年6月末には、消費増税対策で実施したポイント還元が終わること、歴史的には、オリンピック終了後は、景気が反動的に減速する傾向があることを考えると、今年も日本銀行の低金利政策は、続かざるを得ないでしょう。その面では、円相場に関しては、上値の重い状況が続きそうです。

【テクニカル】

 次にテクニカル面を見てみましょう。

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 まずカナダドルの対ドル相場ですが、上の月足チャートをご覧ください。
 ドルカナダ相場は、比較的大きく動くことが多いですが、現状の相場は、2007年の0.9059の安値から反発も、2016年に、1.4690の高値で上昇トレンドのピークをつけた後は揉み合い気味となっています。こういったパターンからは、現状の揉み合いの次のブレイクが、大きなキーとなりますが、上値は1.3794と1.3666がダブル・トップ気味となっており、更に三段あるサポートの一番上部を割り込みかけています。また、下段に示しているスロー・ストキャスティクスが、反転下落となっていることを考えると、下方圧力が強いとみられます。

◇スロー・ストキャスティクスとは
相場の買われ過ぎ・売られ過ぎを判断する分析手法。「Slow%K」と「Slow%D」の2本のシグナルからなるテクニカル指標で、図はSlow%DをSlow%Kが下方向に抜けており、売りシグナルが点灯していると考えることができます。

◇サポート・レジスタンスとは?
・サポートライン
日本語では下値支持線といい、「相場はその水準以降は下落しないだろう」と多くの投資家が意識するラインのこと。その価格帯付近まで相場が下落すると、買いが意識されて相場が上に跳ね返され、安値更新の歯止めとなることがある。
・レジスタンスライン
日本語では上値抵抗線といい、「相場はその水準以降上昇しないだろう」と多くの投資家が意識するラインのこと。その価格帯付近まで相場が上昇すると、売りが意識されて相場が下に跳ね返され、なかなか高値が更新されない価格帯のことを指す。

 現状の安値圏である1.2950前後をしっかりと割れるとサイコロジカルな1.25や1.2062の安値を目指す動きが想定されそうです。一応この位置は、二段目のサポートと0.9059と0.9405の安値から1.4690の高値の半値位置が、1.1875-1.2048となっており、底堅い可能性が高いでしょう。

◇サイコロジカルとは
「心理的な」という意味です。サイコロジカルラインというテクニカル指標もありますが、ここでは「心理的に意識されやすい価格帯」という意味で用います。
キリの良い数字の価格は、時にサポートやレジスタンスとして機能することがあります。投資家の多くはその数字を強く意識する為、その価格帯付近では取引が活発になる傾向があり、明確にその価格を抜けた場合は、次の節目へと意識が移る過程で、値が大きく動く場合があります。

 更なる調整は現状不透明ですが、もし、これも割り込むと最終サポートなる1.1279や1.10622方向への調整リスクとなりますが、一応今年の動きとしては、そこまでの下落は想定しない方が良いと思います。
 一方上値は、既にレジスタンスからは、1.32-1.33ゾーンが抑えると弱い形です。ただ、オーバーシュート気味に、1.3328-1.3383ゾーンの戻り高値圏を目指す可能性はありますが、こういった位置も上値を抑えられそうです。あくまで1.3666と1.3794のダブル・トップを超えて、強い上昇期待となります。
 一応今年の想定レンジを1.25から1.33、下値は最低で1.20台としておきます。

 一方ドル円ですが、昨年は年間ベースでのレンジが、7円94銭と歴史的な低水準に留まりました。今年は、米国の大統領選が控えています。動きが激しくなるか注目ですが、ただ、動きが出ても年後半となりそうで、年前半は揉み合いが続くかもしれません。

有限会社フォレックス・ラジオ作成

 上の月足チャートをご参照ください。
上値はロング・ランの①レジスタンスを前に上げ渋っています。この位置は、今年の1月時点で、110.31となりますが、この上抜けの可否は、次の相場展開に重要となります。あくまで超えても112.40、114.55、114.73がターゲットとなりますが、こういった位置も抑えられるとレンジ相場からの逸脱は難しいでしょう。あくまでこういった上抜けが実現して、強気相場となります。
 下値は、一応サポートと104.56、104.87、104.46の②トリプル・ボトムが支えています。この維持では引き続き堅調な相場が続くとみられますが、トリプル・ボトムを逆に割り込むなら、大きな下落相場が訪れる可能性に注意しておいた方が良いかもしれません。 
 また、相場のモメンタム(強弱感)を見る上では、下限のスロー・ストキャスティクスに注目しましょう。現状は、弱気を維持しています。つまりまだ円高リスクが残っている形です。ただ、これも前述の通り、レジスタンスをクリアに上抜けてくれれば、陽転する可能性も残っています。今後もこの動きに注目して対応しましょう。
 下値は、サポートから107-108円が支えると堅調が続きます。またもし、割り込む動きがあっても、トリプル・ボトムを前に、105円が維持されると更なる調整は難しそうです。ただ、逆にトリプル・ボトムの下方ブレイクが発生するとスロー・ストキャスティクスも反落を続け、その場合フィボナッチ・リトレースメント(75.31から125.86)の50%となる100.58が、グッド・ターゲットとなります。ただ、フィボナッチの61.8%=94.62までの調整は、最悪の状態として、トランプ大統領の選挙での敗北、米中通商協議の完全決裂、FOMCの利下げスタンスへの転換などの悪い状況が重ならない限りは、現状想定していません。 
 一応今年のレンジを105円から115円に想定しておきます。

◇フィボナッチ・リトレースメントとは
「フィボナッチ比率」をトレードにあてこんだテクニカル手法です。
「23.6%・38.2%・61.8%・76.4%」という比率を、フィボナッチ比率、または黄金比率と呼びます。多くの投資家がフィボナッチ比率で求められた価格帯を意識する為、相場に影響を与えると考えられています。チャートの高値・安値の間をフィボナッチ比率で区切られたラインを引くことで、サポートライン・レジスタンスラインを判断します。

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 最後にカナダ円ですが、月足チャートからは大きなH&Sの形を形成しています。
 価格帯がぴったりときませんが、現状は74.80-78.49から91.54-93.26のこの右肩の範囲に留まっています。ただ、この期間は、左肩がだいたい47か月の動きとなっていますが、右肩も同様の期間と仮定すると既に、昨年末でこの期間を経過してしまっています。つまり、次の展開となる可能性が示唆されることは、留意しておいてください。

◇H&Sとは
日本語で「三尊」とも呼ばれるチャート形状です。左右にショルダー(肩)、中央にヘッド(頭)があるように見える事からH&Sと呼ばれます。
「三尊天井」という言葉は投資の世界では有名なテクニカル指標で、チャート上にこの形が現れる場合、上昇局面から下落局面へのトレンド転換局面と判断されます。
上昇相場の中で、上値をアタックするものの、高値を超える事ができず、アーム(腕)形成部分まで下落してしまうのを「売り」の判断します。

 一応下値は68.40の安値からのロング・ランのサポートの支えらえています。また、モメンタムを示すスロー・ストキャスティクスも、反転上昇の可能性が示唆されており、期待感は上値トライです。ただ、77.88-78.49の安値を割れると75円がターゲットとなりますが、こういった位置も支えられるとまだサポートが有効のようです。
一方上値は、一段目のレジスタンスが85円前後にあって、超えても87円前後は、売りが出易そうです。その場合、78円から87円でのレンジ相場に留まってしまいそうです。あくまでこの位置を超える動きから、90円方向への期待感となります。ただ、それでも91.54-93.26の戻り高値圏の上抜けは、当面期待できそうもありません。
今年のカナダ円の想定レンジを79円から87円としておきます。

【カナダドル相場のアノマリー】

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 通常、高金利・資源国通貨は、金利との連動性が高いですが、上は、ドルカナダ相場と米国とカナダの10年物国債利回り差を比較したチャートです。
 ご覧の通り比較的連動性の高いことがわかると思いますが、水色の部分は、連動性が薄れている時期です。2008年以降は、リーマンショックや欧州信用不安で、相場が荒れた時期です。つまり、総じて金利に連動するといっても、リスク回避的な展開となると、このアノマリーに該当しないことは、覚えておきましょう。
 そうなると現状はどうでしょうか?
 米加金利差が縮小(米金利が低下)していますが、ドルカナダの下落(カナダドル高)とは、なっていません。これが、米加の通商交渉を睨んだ信用不安の動きなのか、それとも出遅れているのか、不透明ですが、もし、USMCA(新NAFTA)に対する懸念が影響していたと考えると、カナダドル相場が、急速に金利差に連動する動きが出るリスクがあることは、留意しておきましょう。

◇アノマリーとは
理論では説明することができないものの、経験則的に「そんな傾向があるよね」と考えられているマーケットの規則性のことです。相場には多くのアノマリーがありますが、例えば「セル・イン・メイ(5月に売れ)」という相場の格言があります。5月~9月ごろまでは市場参加者がバカンスを取る事で相場が閑散とするため、取引は行わずにいなさいという意味ですが、その根拠は乏しいとされています。ただ、その時期になると確かに相場は閑散として、取引を行うには難しい相場である場合が多いです。アノマリーとして多くの投資家が同じ考えを持つことで、実際に相場の動きとしてアノマリー通りの動きが具現化される場合もあります。

 また、以下の2つのチャートは、カナダドルの対ドル相場とカナダ円に、原油価格を比較したチャートです。

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成
出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 ご覧のように、カナダ円は、若干円相場が絡むので、リスク回避には弱いですが、連動性が非常に高いことが良くご理解頂けると思います。金利差もある程度参考になると思いますが、そうなるとカナダドル相場は、原油価格の動向を見てトレードすれば、良いことになります。

 では、原油価格は、今年どういった展開となるでしょう。

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 上は、WTI原油先物のつなぎ足の月足チャートです。
 OPECの減産体制が維持されていること、直近では、米イランの緊張から堅調な展開ですが、上値は66ドル台が抑えると上昇も難しそうです。また反転中のスロー・ストキャスティクスも、再下落の可能性が示唆されています。50ドルのミドルが支えると堅調が維持されるでしょうが、割り込むと40ドル台へ調整リスクです。
 一方上値はこの66.60ドルや76.90をしっかりと超えないと上昇期待は持てません。また超えても、過去の三角保合の下限レベルからは、80-81ドルが重い位置となりそうです。 
 特に現状は、OPECの減産も2016年から3年を超えていますが、産油国経済は厳しい状況が続いています。また、サウジアラビアのスタンスも、アラムコの上場で、雰囲気に変化が見えています。加えて米国のシェール・オイルも原油価格の圧迫要因となっており、今年もし、減産政策を放棄するようなことがあれば、一気に調整を深める可能性に留意しておきましょう。 

【今年のカナダ円相場の見通し】

 それでは、今年のカナダ円相場の見通しですが、3つのポイントに注目しましょう。

・カナダ中銀に、利下げの可能性が指摘されること。

・原油価格には、下落圧力がかかり易い。

テクニカル面からは、カナダドルは買いのモメンタムが優勢。

 上記からは、今年はファンダメンタルズ面が、カナダドル相場の上値を抑え、テクニカル面が下値を支える構図になることが想定されます。そうなると時々に個別の材料でカナダ円相場が動いても、大きなトレンドにはつながり難い可能性が指摘できそうです。 

出所:有限会社フォレックス・ラジオ作成

 また、上はクロス円のレンジを想定するのに利用しているラダー・チャートです。ドル円の想定レンジを前述の通り105円から115円として、ドルカナダを1.25から1.33とすると、マックスでこの表からは、78.95から92円が今年のカナダ円の想定レンジとなります。 
 下限は、前述のカナダ円の想定レンジの下限と整合性があります。上値はドル円が111円前後まで反発てきないと厳しいかもしれません。

【具体的な戦略】

 それでは、これまでの話を総合的に検討して、今年のカナダ円相場の戦略を考えてみましょう。

・基本は、テクニカル重視で、時期は不透明ですが、79円方向への下落では、買い狙いです。ただ、リスク回避の動きが強まった場合、75円までの可能性を考えて、買い下がりの余裕を持って対応しましょう。

・ターゲットは、85円が抑えるなら利食い優先ですが、超えるなら89円、更に90円台などは、絶好の利食い場となるでしょう。また、90円台前半は、売りも検討できますが、96円などをストップとして、利食いは85円が逆に支えると買い戻しとなります。

・ただ、もし、カナダ中銀が利下げスタンスに転じることがはっきりとした場合、OPECが、減産を止めるようなことがあった場合には、しっかりと買いポジションがあれば利食って、レベル感は別として、売りも狙ってみましょう。