チャート分析のススメ③ ~銘柄の「トレンド」を知る~

こんにちは!テクニカルアナリストの山口です。

チャート分析の第3弾はチャート分析で最も重要な「トレンド」です。

日経平均は昨年6月に20952.71まで上昇しましたが、今年に入ってからは2月に一時14865.77まで下落。足下は15,000円前後での推移となっています。相場が下がると実際にお取引されている投資家の方々はとても不安な気持ちになりますよね。

相場が上下するのは当たり前のことですが、投資の判断をする上では特にトレンドを把握してそのトレンドに乗ることがチャート分析では最も重要です。

具体的には、「移動平均線」や「トレンドライン」などを利用して、相場の方向性を把握し、そのトレンドに乗るということですが、特に初心者は「移動平均線」を利用するのがいいと思います。

移動平均線の見方とトレンド

下のチャートは東京証券取引所の1部上場銘柄のうち、市場を代表する225銘柄で構成される日経平均株価指数の月足チャートに、12カ月移動平均線、24カ月移動平均線、48か月移動平均線の3つの移動平均線を表示したものになりますが、緑色の矢印のように相場が移動平均線の上側で移動平均線が上昇傾向になっている際には相場は上昇しており、相場が移動平均線の下側で移動平均線が下降傾向になっている際には、相場は下落していることがわかるかと思います。

日経平均株価指数 月足チャート

長期的な投資を考えるのであれば、月足チャートでトレンドを見て売買を考えるといいでしょう。こう見ると日経平均に投資をするのは、今はちょっと微妙なタイミングですね。

下のチャートは米国のS&P500種指数の月足チャートです。S&P500種指数は米国の全主要業種を代表する500銘柄で構成され、米国の経済状況を示していると言われています。

S&P500種指数 月足チャート

このチャートも日経平均株価指数同様、移動平均線が上向きか下向きかと、相場が移動平均線の上側か下側かで相場の方向性(トレンド)が確認できると思います。

チャート分析の基本はトレンド

日本テクニカル分析大全

上の「日本テクニカル分析大全」はテクニカルアナリストの教科書の1つですが、こういったチャート分析(テクニカル分析)の教科書には、チャート分析の大前提は、次の3つだと書かれています。下の矢印は私のコメントです。

1.「市場の動きは全て相場に織り込まれている」

実際に売買している投資家の心理状況が全て相場に反映しているので、相場の値動き自体を検証することに意味がある。

2.「相場はトレンドを形成する」

ハーディング現象(群集心理)人間の心理は一方向に傾きやすく、投資家心理も同様。そのため、相場は上昇トレンド、下降トレンド、横ばいトレンドを形成する。

3.「歴史は繰り返す」

技術が進歩しても、人間の感情や心理は変わらないため、状況や環境が変わっても全く同じというわけではないが、同じようなことが繰り返される。

それでは、「トレンド」の定義について見てみましょう。

トレンドの定義とは

トレンドってなんでしょう?

辞書には「傾向、趨勢、ファッションの流行」となっていますが、相場、ことチャートにおけるトレンドとはズバリ「相場の方向性」になり、その定義は方向性に関して以下のとおりです。

上昇トレンド

安値と高値が共に右肩上がりに切り上がっている状況

【上昇トレンド】安値と高値が共に右肩上がりに切り上がっている状況

下降トレンド

高値と安値が共に右肩下がりに切り下がっている状況

【下降トレンド】高値と安値が共に右肩下がりに切り下がっている状況

横ばいトレンド(トレンドレス) 

上昇トレンドでも下降トレンドでもない状況

【横ばいトレンド(トレンドレス)】上昇トレンドでも下降トレンドでもない状況

また、トレンドの期間に関しては、ウォールストリートジャーナル紙やバロンズ紙で有名なダウ・ジョーンズ社の創業者の1人、チャールズ・ヘンリー・ダウの「ダウ理論」で、以下の3つの期間に分類されるとしています。

  1. 主要トレンド:1年~数年
  2. 二次トレンド:3週間~3ヶ月
  3. 小トレンド :3週間未満

トレンドラインと移動平均線

実は「トレンドライン」も「移動平均線」も同じようなものです。

移動平均線は過去一定期間の終値を平均したものになり、相場の方向性を示したものになりますが、トレンドラインは、トレンドの定義にしたがって、上昇トレンドの場合は安値と安値をつなげたもの、下降トレンドは高値と高値をつなげたものになります。

S&P500種指数の月足チャートにトレンドラインを引いたものが下のチャートになります。

S&P500種指数の月足チャートにトレンドラインを引いたもの

大体、移動平均線をなぞるような形になっていますよね。

トレンドラインも移動平均線も相場の「方向性」、所謂「トレンド」を把握するために使うということがご理解いただけたのではないでしょうか?

移動平均線の売買サイン

移動平均線を利用して売買ポイントを探る方法があります。特に有名なものは次の2つです。

1.グランビルの法則

グランビルの法則

実際にグランビルの法則①のサインについて、先程のS&P500種指数の月足チャートに売買ポイントを書き込んだものが下のチャートになります。移動平均線は24カ月移動平均線を利用しています。

S&P500種指数の月足チャートに売買ポイントを書き込んだもの

2.ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスの法則

こちらもグランビルの法則同様、実際にS&P500種指数の月足チャートに売買ポイントを書き込んだものが下のチャートです。移動平均線は12カ月移動平均線と24カ月移動平均線の交差利用しています。

S&P500種指数の月足チャートに売買ポイントを書き込んだもの

トレンドが一番大事

ただし、グランビルの法則やゴールデンクロスやデッドクロスなどの売買サインは、横ばいトレンドの際には上手く利用できません。

そして横ばいトレンドとなる際には、移動平均線が横ばいに近い状態になっています。移動平均線を使う上で一番重要なのは、移動平均線が上昇傾向なのか、下降傾向なのかです。トレンドが一番大事なんですね。