中間選挙で投資家が知っておくべきポイント

中間選挙が迫っている

116日(火)、米国は中間選挙を迎えます。今回の中間選挙では下院の435議席全て、上院の100議席の約3分の1にあたる35議席、39州の州知事を選ぶ選挙、さらに市長選挙などの地方選挙が行われます。

米国の下院議員の任期は2年で、大統領選挙(4年毎)と中間選挙(大統領選挙の2年後)の際に改選されます。

米国の上院議員の任期は6年で、大統領選挙と中間選挙の度に全上院議員の議席の3分の1が改選されます。

 

現在の見通し

選挙予想サイト、リアルクリアポリティクスによると下院は民主党が205議席、共和党が201議席を獲得すると見られています。接戦でどちらになるかわからない議席は29です。

上院は民主党が44議席、共和党が50議席を獲得すると見られています。接戦のためどちらになるかわからない議席は6あります。

 

メイン・シナリオは?

つまりかなりの確率で下院は民主党が、上院は共和党が過半数を握ると見られているわけです。言い換えれば「ねじれ」状態になる可能性が最も高いのです。これがメイン・シナリオです。

次に高い確率は民主党が下院も上院も支配するシナリオです。

いちばん低い確率は共和党が下院も上院も支配するシナリオです。

 

マーケットは「ねじれ」を好感する

マーケットは「ねじれ」を好感すると思います。その理由は既に税制改革など投資家が切望していた法案は成立済であり、むしろ議会がねじれることによりトランプ大統領の暴走に歯止めがかかることを市場は望んでいるからです。

言い換えれば何も決まらないことは悪いことではないという発想です。

 

民主党勝利で市場は荒れる

これに対して下院、上院ともに民主党が勝つシナリオでは下院議長(House Speaker)がナンシー・ペロシ議員になる可能性があります。その場合、トランプ大統領の弾劾動議が起こされる可能性があるのでその場合、市場は荒れると思います。

また下院、上院ともに民主党が支配するケースでは201712月に成立した税制改革法案の一部を廃案にすべきだという主張が出る可能性があります。これはマーケットにとってネガティブです。税制改革は2018年のGDPを少なくとも0.6%2019年のGDPを少なくとも0.4%押し上げると試算されています。

さらに連邦債務上限の引上げに際して民主党が駄々をこねる可能性もあります。

トランプ政権は銀行セクターの規制緩和を支持する立場です。しかし民主党はリーマンショックの後に施行されたドッドフランク法など規制強化を好む傾向があります。従って下院、上院ともに民主党が勝つシナリオでは規制緩和のトレンドが逆流する懸念があると思います。

 

民主党勝利ではインフラストラクチャ投資が注目される

ただその場合でも悪い事ばかりとは限りません。民主党は共和党ほど財政規律には頓着しません。さらに民主党はかねてからインフラストラクチャ投資を支持してきました。その関係で下院、上院ともに民主党が支配した場合は、同じくインフラストラクチャ投資に積極的であるトランプ大統領が手を組み、インフラストラクチャ投資法案を成立させる可能性が高まるのです。

インフラストラクチャ投資法案が動き出すとUSコンクリート(ティッカーシンボル:USCR)、グラナイト・コンストラクション(ティッカーシンボル:GVA)、ヴァルカン・マテリアルズ(ティッカーシンボル:VMC)、マーチンマリエッタ・マテリアルズ(ティッカーシンボル:MLM)、ユナイテッド・レンタルズ(ティッカーシンボル:URI)などの建設関連銘柄が動き出すことが考えられます。

 

共和党が下院、上院の両方を支配すれば?

可能性としては低いですが共和党が下院、上院の両方を支配するシナリオではトランプ大統領が就任した直後に試みられ、失敗に終わったオバマケアの廃案が再び議案として浮上する可能性があります。

 

 株式市場のジンクス

普通、中間選挙後の株式市場は堅調なことが多いです。その理由として中間選挙が終わると投資家は次の大統領選挙にフォーカスしはじめるからです。次の大統領選挙は2020年になります。一般に大統領選挙の前は現政権が経済のテコ入れをするために様々な政策を打ち出し、支出を加速させると言われています。