こんにちは!インヴァスト証券テクニカルアナリストの山口です。今回は相場の方向性ではなくて、ETFの値動きから算出できる損益についてご紹介しようと思います。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
ところで。梅雨明けまでもうちょっとかかりそうですが、だんだんと夏の足音も聞こえてきています。
夏と言えば、期間限定のお化け屋敷ができたりします。実はこういったお化け屋敷、本音を言えば作りものだとわかっていてもあまり好きではないのですが、カッコいいところを見せようと私も何度か挑戦したことがあります。
故事成句で「幽霊の正体見たり枯れ尾花」なんていうものがあります。
「うわー、お化けかも!!!怖いよ!!」と思って、よく見てみると何でもない。「ただの枯れたススキの穂だった」という話からできたそうです。
「怖い怖いと思っていても、その正体を知ってしまえば、それ程怖く無いんだよ」ということです。
投資もこれと同じではないでしょうか?
投資をする場合はリスクとリターンをイメージしよう
「どのくらいの投資金」で「どのくらいの利益が期待できるのか」、また「どのくらい損する可能性があるのか」というイメージがあれば、それ程怖くないですよね?
例えば100万円投資をしてこのぐらい損する可能性があるというイメージがあり、そのリスクが許容できれば投資は怖くないということです。
特に外貨建ての商品に投資をする場合は、損益を円換算しなければならないので、なんとなくこのリスクに対してのイメージがつきにくいものです。
そこで今回はETFを取引する上で、各銘柄の証拠金とそれに対するリスク・リターンをイメージできるよう、以下の表にまとめてみました。
※6月30日現在のレバレッジ1倍と5倍の証拠金 ※「日」は6月29日まで、「週」は6月20日週まで、「月」は5月まで、「年」は2015年までの平均値
※「日」は過去6ヵ月間の日足の高安を元に平均値を算出 [計算式=average(High-Low,130)]
※「週」は過去1年間の週足の高安を元に平均値を算出[計算式=average(High-Low,52)]
※「月」は過去2年間の月足の高安を元に平均値を算出[計算式=average(High-Low,24)]
※「年」は過去3年間の年足の高安を元に平均値を算出[計算式=average(High-Low,3)]
※スプレッド、手数料、分配金相当額、金利相当額は考慮しておりません。
※ドル建ての平均値幅に対して米ドル/円のレートを105円で換算
上の表の見方は、一番上の「WTI原油連動ETF【原油ETF】(ティッカー:USO)」を例にとると、レバレッジ1倍の証拠金(投資金)1500円であれば、1日の値動きで平均35円程度の損益、1週間の値動きで平均110円の損益、1ヵ月の値動きで平均315円の損益、1年間の値動きで平均1,376円の損益の可能性があるということを示しています。
もう少しつけ足せば投資のリスクリターンは期待値に対しての分散や標準偏差になるので、平均値で算出しているこの損益自体が期待値ということになるのですが、おおまかに各銘柄の期間あたりの損益がいくらぐらいになるのかをイメージできるのではないでしょうか?
これで終わりではあまり面白くないので、次に運用スタンスにあった銘柄選びについてお伝えいたします。
運用スタンスにあった銘柄選び
運用スタンスとは、長期投資とか短期売買とかさや取りとかいった売買の仕方になります。
特に初心者の方はリスクをできるだけ抑えて長期的に運用したいという方が多いと思いますし、慣れた投資家の方であれば多少ハイリスクハイリターンな銘柄でも短期的な値上がりを狙うなんていう売買をしたいという方も多いかと思います。
上の表を証拠金(投資金※レバ1倍)に対する期間あたりの損益を「期間あたり平均損益/証拠金(=変動率)」で計算し、割合(%)で示したものが下の表になります。
変動率ですからボラティリティという表現をしてもいいです。
投資金に対しての損益の比率は、それぞれの銘柄によって証拠金(投資金)が異なるので、上の表(投資金と期間あたりの損益金額)ではわかりにくいのですが、これを変動率にするとわかりやすく、銘柄間での比較が可能になるというか、し易くなります。
なお、この表では1日あたりの平均変動率を昇順でソートしており、各期間、「日・週・月・年」、それぞれにおいて変動率が低いものから高くなるにつれて緑色から赤色になるよう、グラデーションの網掛けをしています。
この表からわかることは何かというと、変動率が低い緑色の網掛けの銘柄は短期売買には不向きで中長期的な運用向け、逆に変動率が高い赤色の網掛けの銘柄は短期トレードやスウィングトレードにも対応しうる銘柄だということです。
投資家目線で言えば、中長期的な運用を考えているなら緑色の網掛けの銘柄の中から、また、ある程度、投資経験が豊富で中短期的なトレードに興味をお持ちの方は、どちらかと言えば赤色に近い銘柄の中からお取引する銘柄を選択されるといいと思います。
特に、初心者の方は、緑色のあまり値動きの大きくない銘柄の方が向いていると思われます。
なお、今回は取り上げませんでしたが、どの銘柄を取引する場合でも、その銘柄の特徴や相場を取り巻く環境、相場の方向性や、分配金の状況も確認してくださいね。