S&P500 恐怖指数連動 ETN【恐怖指数ETN】

『恐怖指数』と聞くと何やらおどろおどろしいものと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、近年『S&P500 恐怖指数連動 ETN(ティッカー名:VXX)』は急速に知名度が高まってきた注目の銘柄でもあります。

1.ETNとは

まず初めに、ETFとETNの違いについて説明させていただきます。
ETNとは「Exchange Traded Note(債権)」の略称で、ETFと同様に、株価指数や商品価格などに連動する商品です。ETFと大きく異なる点は裏付けとなる現物資産を持たない点です。裏付けとなる現物資産を保有しないことの最大のデメリットは、発行体の財務状況の悪化や倒産などの影響で、ETNの価格が下落し無価値となる可能性があるということです。一方で、投資先として設定が難しい指数や希少資源などを投資先として設定できるというメリットもあります。

2.S&P500 恐怖指数連動 ETNとは

S&P500 恐怖指数連動 ETN』は「VIX指数(Volatility Index)」と連動することを目指しているETNです。VIX指数とはシカゴ・ボード・オプション取引所によって算出された指数のことで、市場のS&P500指数のボラティリティに対する期待値を指数として表しています。
S&P500指数が安定している際にはVIX指数が下落していき、S&P500指数が大きく変動するとVIX指数が上がるとされています。このような傾向から、“株式市場に対する投資家の不安”を表す指数とされており、恐怖指数と呼ばれているのです。
過去には2009年のギリシャ危機や2020年のコロナショックでその指数を大きく上げたことが知られています。

※CBOE ボラティリティ指数(VIX指数)の推移 (週足、2006/11/3~2021/10/22)

3.運用目的は?

では、『S&P500 恐怖指数連動 ETN(以下、VXX)』はどのように運用するのが良いのか考えてみましょう。

※「S&P500 恐怖指数連動 ETN(VXX)」と「SPDR ®S&P 500® ETF(SPY)」「パワーシェアーズ QQQ 信託シリーズ1(QQQ)」のチャート(日足、終値)の比較(2018/1/18~2021/10/18)

先にご説明した通り、S&P500指数が大きく変動するとVXXが上がります。特に「SPDR ®S&P 500® ETF(SPY)」とは強い逆相関の関係にあり、他にも「パワーシェアーズ QQQ 信託シリーズ1(QQQ)」などの米国株価連動型ETFの下落に対して逆相関の関係を持つことが多くなっています。このような特徴から米国株価連動型ETFのヘッジ銘柄として運用していくことが、ポピュラーであると言われています。

一方で、VXXは株価の急変が想定しにくい安定した局面においては、つねにその指数を下げることとなります。
そのため、多くの期間においてVXXは右肩下がりの傾向となっており、買い増していく運用は考えにくい銘柄となっています。
したがって、裁量取引/自動売買取引のいずれにおいても、株価が急変した際に他の注文のリスクをヘッジする目的で運用をするのが良いと考えられます。