iシェアーズ MSCI ACWI(MSCIワールド) 

iシェアーズ MSCI ACWI(MSCIワールド)

MSCI社は、アメリカで40年以上に渡り、投資家がより良いポートフォリオで投資が出来るよう、リサーチを元にしたインデックスや、分析レポートを世界の運用会社に提供しているリサーチ会社です。世界の上位100社のアセットマネジメント会社のうち、実に97社に情報を提供しています。

MSCI ACWI

このMSCI ACWIは、そのMSCI社が提供する指数の一つである同じ名前のインデックスに連動するよう設計されたETFです。ACWIとはAll Country World Indexの頭文字を取ったもので、直訳すると全世界指数、ということになります。

この指数はその名の通り、世界全体の株価の動きを表す指数として生み出され、世界の23の先進国+23の新興国の大型および中型株で形成されており、組み込み銘柄数は実に2480銘柄にも上ります。(2016年5月時点)時価総額で言うと世界全体の約85%を包括しており、世界経済の成長度合いを表す壮大な指数だと言えます。毎年5月と11月の2回見直しを行っているため、その時々での情勢や企業の状況により銘柄が入れ替えられており、常にその時勢に合った指数を提供しています。

指数としての優位性から、この指数に連動するように設計された投資信託やETFは複数ありますが、ブラックロック社が提供するこのiシェアーズMSCI ACWIはその中でも最大の資産規模を誇ります。流動性も高いことから、元の指数との誤差(トラッキングエラー)が少ないのが特徴で、直近の価格が55ドルなので、約6000円から、世界に分散投資できることになります。

中身はどうなっているの?

国別の比率は、米国51.70%、日本7.65%、イギリス5.75%、次いでスイス、フランス、ドイツ、カナダ、中国の順です。米国が半分以上を占めていることに驚かれたかもしれませんが、これは単純に米国に時価総額が高い企業が米国に集中しているためです。2016年の世界時価総額ランキングでは、1位から10位までを全て米国が独占しています。(一位はもちろんアップル)。と言っても、米国だけでもかなりの銘柄数が組み込まれているため、保有最上位であるアップルでも組込比率はたったの1.5%。2位がマイクロソフトの1.09%、3位がエクソンモービルの1.01%となっています。もちろん、米国だけでなく、約50の国と地域が組み込まれているので、チェコ、イスラエル、ザンビアなどもちゃんと入っています。日本はと言うと、我らがトヨタが日本の銘柄の中では1番上に来るのですが、残念ながら24位。それもそのはず。トップ30位までで、米国以外の銘柄はたった3つ。キットカットやネスカフェでお馴染みのスイスのメーカー・ネスレが10位に、スイスの製薬会社2社がそれぞれ19位と23位、それに先ほどのトヨタを入れてたった4銘柄しかトップ30位内に入っていないのです。アメリカの企業がいかに時価総額が高く、かつ影響力を評価されているかが分かりますね。セクターは、昨今のハイテクブームで、アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、グーグルといったハイテク銘柄が上位を占めています。ちなみに、組込割合が少ない順でいくと、ポルトガルの銀行バンコ・エスピリト・サント、イギリスのロールスロイス、南アフリカの金融機関、バークレイズ・アフリカグループが名を連ねています。指数組込銘柄でなければ名前も知らなかったような世界の企業がずらりと名を連ね、見ているだけでもスケールの大きさを実感できます。

値動きは?

ちなみに、このETFはというと、世界の経済を反映しているので、値動きは世界の大きな流れに沿いますが、分散が効いているためか、動き自体は少しマイルドです。日経平均、S&P500と比較したものがこちら。

世界中のこれだけの銘柄に自分で投資しようとしたら途方もない労力と資金がかかるうえ、日本ではどこの証券会社も取り扱っていない銘柄や、もともと外国人が市場に参入するのに高いハードルを設けている国も少なくありません。長い目で見れば世界はゆっくりでも成長していくだろう、と思われる方は長期投資目的で保有される事をおすすめします。