ETFにも配当はつくの? 覚えておきたい収益分配金の仕組みとメリット

日本では、手堅く収益が得られる金融商品が好まれるという傾向があります。

投資信託で圧倒的な人気を誇っているのは、定期的に分配金が支払われる(=運用収益の還元が行われる)タイプです。株式投資においても、配当利回りが高い銘柄を長期のスパンで保有している投資家が少なくありません。値上がり益も魅力的ではあるものの、思惑が外れて逆に値下がりしてしまう可能性も考えられます。その点、業績が悪化しない限り配当は着実に入ってくるため、それなりの資金を投じる余裕のある投資家ほど、配当に着目した運用を中心としているようです。資産運用において重要なのは、収益性と安定性のバランスだと言えます。

もう1つ軽視できないのは、運用に関わってくるコストでしょう。売買時に発生する手数料はもとより、投資信託の場合は保有中に負担することになる信託報酬も軽視できません。

■ETFの魅力

コストの安さやわかりやすい商品性、少額から気軽に売買できる利便性が高く評価されて、日本でも数多くの投資家から高く支持されるようになってきたのがETFです。正式には『Exchange Traded Fund』といい、「指数連動型上場投資信託」とも呼ばれています。

日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)をはじめとする特定の指数に、価格が連動するように設計された投資信託の一つです。株式と同じように証券取引所に上場しており、取引時間中ならいつでも時価で売買できます。価格の動向を把握しやすいうえ、売買手数料は株式と同じ体系のものが適用され、一般的な投資信託よりも信託報酬がかなり低めの設定です。

加えて、株式よりもずっと少額から投資できるのも魅力でしょう。試しに少しだけ買ってみて、次第に投入額を増やしていく投資家も少なくありません。

他にも、様々な指数に連動するタイプが豊富にそろっていることなど、ETFには数々のメリットがあることから、たくさんの投資家が盛んに取引するようになっています。また、安定的な収益という観点からもETFは注目に値する金融商品だと言えます。

■ETFの分配金について知る

意外と知られていませんが、ETFも定期的に分配金が支払われる仕組みになっています。ETFで分配金を得るには、所定の権利確定日にその銘柄を保有していて、受益権を獲得することが前提です。指数に連動させるための運用で保有している株式などから得られた配当や受取利息を原資として、所定の決算日に口数に応じた収益分配金を支払うことが義務づけられています。株式の場合、日本は4月を年度初めとする企業が多いことから、決算期である3月と9月に配当を支払うケースが主流です。これに対し、ETFは1月と7月に分配金を支払っている銘柄が多い傾向が見られます。

分配金利回りの高さにおいても、ETFは見逃せない存在です。最も高い銘柄では、実に13%超もの水準に達しています。

しかし、そういった銘柄は特定の業種に的を絞った指数に連動するタイプが多く、出来高が低い(=売買が活発でない)ので注意が必要です。売りたいと思っても、なかなか取引が成立しない恐れが出てきます。とはいえ、もっと著名な指数に連動する銘柄の分配金利回りもなかなかの水準を保っています。したがって、株式の配当利回りと遜色のない収益性を期待できるでしょう。

強いてデメリットを挙げるとすれば、ETFの分配金は自動的に再投資には回されないことでしょう。一般的な投資信託では分配金を再投資に充てるコースを選択できますが、ETFではそれが叶いません。ETFでは純粋に運用収益が分配されているのに対し、一般的な投資信託においては特別分配金(投資元本の払い戻し)が含まれているケースが多々見られます。気づかぬうちに元本が減っていて、その分だけ運用効率がダウンするというパターンが起こりうるわけですが、ETFの場合はそのような心配が無用です。分配金をプールしておき、ある程度の金額に達した時点でその銘柄を買い増しすれば、ETFでも手動による再投資が可能となります。

上記では分配金について簡単にご説明しました。ETFは低コストであるだけに運用効率も高く、一般的な投資信託よりも有利な選択肢だと評価できるでしょう。